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で あう

海外一人旅
は実はしていない

と思って
先日ベルギーのブリュッセルに行ってきました

目的はですね
この旅するたたき場の前身といってもいい
福井県池田町「うみのいえ」での滞在時に
一瞬時を共にしたアーティストである
桜井くんと遊ぶためです

いや、一人旅じゃねえじゃん

と思うかもですが
海外のバスで国を越えるのも
Hostelに泊まるのも
一人だと初めてなんで

「これは一人旅でしょ」

と強く思うようにしました

たった1泊3日でしたが、
とても学びが多かった
そんな3日間

移動は Flixbus
未だ正式なビザが手元にない日本人ことホシヨシユキは
Fiktionbescheinigung(仮ビザ)で果たして国境を超えられるのか
不安でした

結果・・・

超えました

(ちゃんと超えられる要件を満たしているFiktionbescheinigungでした)
夜中の2時に叩き起こされて疲れも残っていましたが、無事にベルギーに到着しました

桜井くんに会うまで時間があったので
Magritteを見にベルギー王立美術館に足を伸ばしました

ちなみにブリュッセルに着いたのは午前4時50分。
それからは駅構内を歩き回り、眠気との戦いをし、
早朝から空いている喫茶店で2時間ぐらいドイツ語の勉強などをしてから
町を散策し始めました


通りが一本違えば文化も違う


有名な通り アート作品が多数 劇場もある

ある通りは商店通り
ある通りは何かがありそうな裏通り
ある通りには小便小僧がいて
ある通りにはチョコレート店が立ち並ぶ
ある通りには劇場が鎮座し
ある通りには夜の匂いが漂う

同じ町なのに、違う世界のように感じられる

東京で生活していると、どこを通っていても
大体は同じ質感である
地面はコンクリートだし、建物もコンクリートだし
どこを歩いても同じコンビニがある
何より道が狭い
その狭い道の中を掻い潜り、ストレスを感じながらどこかへと向かう

文化は楽しめず、消費を楽しむ
時間を楽しまず、行為を楽しむ

歩くだけで楽しい

そう口ずさめる時代は、相当昔に終わっていたと思います

でも、海を渡れば、そういう楽しみ方ができる場所が
まだまだたくさんあるみたいです

通りが違えば文化が違う
歩きすぎて足がすでに限界点に達していました


これもマグリットだったかな・・・吸い込まれる
Push = 推す

話し込みすぎて、予定を忘れる

桜井くんと待ち合わせをし、握手をして再会の喜びを分かち合いました
2人はご飯を求め、街中に繰り出します
いい雰囲気のお店に入り、読めないフランス語を文明の力で解読し、料理を頼みます
日本だったら躊躇する値段も、ここでは思い切れる

これはどうしてだろうか、と思うと
日本はあちこちにお金を使える場所が多いんだと思う
コンビニが発達しているから、日常的に料理をしないでも済む
そうすると、小さなお金が積み重なり、
気づいたら手元にはお金が残っていない

でもこっちにいると、コンビニがあんまりないから、出先で気軽に何かを買うことは少ない。買うことがあっても、買ったら買ったで少し心に傷を負ってしまう。
お金がどんどん減っていく感覚が、日本にいる時よりも強く感じる。

この感覚は、地元西会津にいる時と近い。
お金を使える場所が極端に少ないから、お金はあんまり減らない。
必要なところにお金がかかるのみで、あとは特には減らない。
もちろん娯楽も少ないし、便利ではないけれども、五感が磨かれ、
時間を楽しむ心は復活する。
柵も多いけれども、その空気感はとても好きだ。

思いっきってお金を使い、美味しいご飯を食べていると、不思議と話も弾みます。池田町の時はそんなに話していなかったというのだけれども、この日はずっと喋っていました。演劇と油絵の世界の共通点、プロジェクトの話、桜井くんがやってきた仕事の話など。
話し込んでいたらあっという間に、2人で見るはずだった演劇の開演時間を過ぎていました。


ビーフシチューのようなもの

遅れても入れてもらえるだろう、
とか考えちゃいけないですね。
ドイツの公共劇場だと、割と入れてくれるんですが、今回はNGでした。
ちょっと残念な気持ちはありましたが、まあ、こういうこともある、と。
せっかく時間ができたから、ワッフルを食べよう!ということで町を歩き回り、ワッフルが食べられるカフェに。

ここでも話は尽きず。
途中で日本に経済の勉強をしにいくという大学生が突然店内に入ってきて話しかけられるハプニングもあったけれども、そういうのを含めて楽しい時間はあっという間に過ぎて行きました。

Hostel→Stand up Comedy その途中で

チェックインの時間があったのと、夜にはStand up Comedyを見る予定だったので、ここいらで桜井くんとはお別れ。
Hostelはとても対応のいいスタッフと、綺麗なベッドで感激。
そんなに高くもなかったので、今度もここを利用しようと思いながら、急いで準備をしてStand up Comedyを見にHostelを出ます。


ここも行きたかった(また別の劇場)

ここいらで足が痛すぎて歩くのもしんどかったのですが、乗ろうと思っていたバスが目の前で出発してしまい、結果走ることになりました。

ギリギリで生きていると、こんなことにもなるんだな。
痛い足を抱えながら、町を颯爽と走り抜ける。
どうして僕はいつも走っているのだろうか。
という疑問を抱きながら町を眺めると、
辺りはだいぶ暗くなっていました。
そうするとちょっと様相が変わり、少し怪しげな雰囲気に。
だけれども歩み、いや走りを止めずに階段を駆け上ります。
途中でベビーカーを苦しい形相をして持ちながら階段を登る家族に
「助けましょうか?」と声をかけてしまいました。

これは、結構なご法度だったような気がして、今では反省しています。
というのは、大体こういう親切をする人というのは
あとでお金を要求してくるのが、まあ目に見えているわけですよね。
もしくは人攫いの可能性もある。
自分は日本人だからと油断していましたが、向こうからしたら日本人かどうかもわからない。というか身分もわからない人なわけです。
当然父親は、子供を守るため、ベビーカーと僕の間に身を置きはっきりと
「No Thank you!」と出てきました。
いい父親だなと思いました。
母親もまた、一切僕とは目を合わさず、子供の前に乗り出します。

この人たちにとって、今僕は危険な存在になっている。

そして、これは今後、「アジア人」(とくくられてしまう可能性がある)は危険な人物かもしれない、というイメージを与えてしまったかもしれません。

そんな後悔を抱えながら、再び会場を目指して走り始めます。
吐く息はふいごのよう。
もう足が動いているのか、どうなのかもわかりません。
とか、よだかの星みたいなことを考えながら、無事に到着、足は本当に痛かったですが、まあ、Comedy見ればきっと治るだろう。

Stand up Comedyでの出会い

ここはブリュッセル。
公用語はフランス語。
なんとかバーでお酒を買い、開演まで待っていると、突然アラスカから来た
という人に話しかけられた。

ブリュッセルでは一般的なビール

不思議とこういう時話は続かないんだが、僕にもわかるレベルの英語でずっと話しかけてくれる。
出演者のBrotherだと。なんていいBrotherなんだ。でもブリュッセルにはこの日までしかいないって。世界中旅しているのか、仕事で世界中移動しているのか。核心までは聞けなかったけど、この人もまた移動している民なんだな。なんか、そんな感じがしたのか、だから話しかけてくれたのか。真意はわからない。わからなくたっていい。

さて、初めてのStand up Comedy
想像以上に話芸。とにかく身内話、お国の皮肉話、あとは下ネタ。
中には自身のADHDを笑いに変えている人がいた。なんて勇気なんだ。
こういう克服の仕方もあるのか。
でも、日本ではもう無理だな。ご法度な気がする。
国を皮肉るのも、多分日本だと無理だよな。
「フランス人がさぁ!ドイツ人がさぁ!」とかで笑いをとる。
たとえ客席にドイツ人がいようが、お構いなし。
といっても笑いをとっている部分は、いわゆる「らしさ」のところだとは思う。悪意は、まああるっちゃあるか。
これを許してはいけない、という文化はあるだろうし、嫌な人は見にこないのも事実。けど行きすぎた政治を笑いで批判できることもまた、芸の一つだろうな、なんてことを考えながら、不謹慎にも笑ってしまうところはたくさんあった。

ただ、どうしても一つだけ許せないことがあった。
それは「ドイツ人が〜みたいなこと行ってきたから思わず「WWⅡをまたおっ始めてやろうか!」って言いそうになったわ!」っていうので笑いをとっていたのはいただけない。
うん。さすがに、違う。しかも、たぶんその芸人はアメリカ人だ。戦勝国だろうとなんだろうと、今のこのご時世でWWⅡをそういうネタにしてはいけない。しかもガザ侵攻が深刻化し、ドイツ国内でも大きな揺れが起きている今、高度なコンテクストがあったとしてもだ、それはよくない。WWⅡを笑いのネタにできるタイプの人間とは、友達にはなれない。
会場は爆笑。でも隣の、その日限りの友人は、笑っていなかった。
この人は、いろんな経験をして、今この場にいるんじゃないだろうか、旅をして、考えて、何かに悩んでここまで辿り着いたような、そんな顔をしていたが、ここで笑っていないのも、そういうことだからじゃないだろうか、などと勝手に妄想した。

別れと2日目

その日の友人と、その日限りの友情を確かめ合い、僕はその場を去った。
連絡先を交換せずとも友人だと言ってくれる、僕はその一期一会がとても好きだ。出会った先でつながりを作ろうと連絡先を聞くことが常だったが、そうじゃなくても、友人にはなれる。世界のどこかでまた会えたら、その時もまた友人でいてくれると、そんな気がする。

2日目はダイジェストで進む

寺社仏閣が好きな人が教会でテンションが上がらないわけがない

教会を歩き回り、桜井くんの留学成果展を見に隣町ゲントまで移動。
途中で神保さんのスペースにお邪魔して話し込む。

桜井くんの作品は、とてもよかった。
奥行きのある絵だったし、手紙と絵の交換プロジェクトもまた素晴らしかった。油絵という西洋の文化の中で戦っている桜井くんの姿は、同様に西洋の文化である演劇の中で戦っている僕らとも重なる。桜井くんはすでにいろんな活躍をしているけれども、いつか日本の油絵画家といえば、誰しもが知っているような存在になってほしいと、心から思う。
来場者の中には、彼が描いた絵を気に入って購入していく人もいた。
大体の人が桜井くんと話したがり、彼の周りには常に人がいた。
桜井くんは、いい人だ。話好きだし、話を聞くのも好きそうな気がする。

彼の絵を見てニコニコしている人たちの顔を見ると、不思議と僕もうれしくなった。その日僕は彼と長くは話せなかったけれども、あとで彼から連絡があった。日本でも彼の絵を見て、ニコニコする人がたくさん現れることを願う。と同時に、この旅するたたき場も、そういうニコニコする人たちとたくさん出会う場になればいいなと思う。


桜井くんの絵 ここに行きたい
絵と手紙の交換 なんて素敵なプロジェクトだろう
温かみと 人間の交流を 肌で感じられる

歩き疲れた僕は、帰りのバスの中で、これもたたき場としての活動だろうなとふと思った

歩くこと
文化の違いを感じること
時間を忘れること
美味しいご飯に出会うこと
ゆったりと話すこと
誰かに話しかけること
誰かの敵になってしまうこと
誰かと思いを共有できること
誰かの喜んでる姿を見ること

ほしぷろとは違う旅を、ここではやっていく

(星)

正面が有名な絵の裏側
Magritteは好きな画家の1人だ

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