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「海ってあんなに綺麗だっけ? in クロアチア」

世界一周411日目(8/13)

7時前にはガソリンスタンドの裏で目を覚ました。

今日こそはなんとしてでもドブロヴニクへ行くぞ!

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ここはクロアチア、
ボスニア・ヘルツェゴビナとの国境の町、
オプゼン。

僕が本格的にヒッチハイクを
始めたのはトルコからだったけど、
なんだかんだで必ず目的地までヒッチハイクしてきた。

だけど、昨日初めて
目的地まで辿り着けない状況に陥った。

挙げ句の果てに
14kmを歩いて行くっていう…。

いやー、昨日は散々だったよね。

それもいまではいい思い出さ♪(はやっ!)

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荷物を整理して、目をつけていた
ガソリンスタンドへと向かう。

朝焼けに、心地よい風が体に当たる。

なんだか旅してるなぁ。
そう思わせてくれる光景だった。

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ガソリンスタンドの手前にあるバス停で
朝早くからチェコ人のカップルがバスを待っていた。


「ドブロヴニクまで行くの?」

「そうよ。7時半のバスでね」

iPhoneを取り出して時刻を確認する。
現在7時15分。ドンピシャのタイミングだ。


「ねえ、バスがいくらかかるか知ってる?」

「さぁ、でも高くはないはずよ」

もういいや。ここは素直にバスに乗って
無難にドブロヴニクを目指そう。
もう余計なタイムロスはなしだ。

このドブロヴニク
(って何回この単語書けばいいんだろ?)は
ボスニア・ヘルツェゴビナとの
領土問題のイザコザがあってか、
一度クロアチアからボスニア・ヘルツェゴビナへ
入らなければならない。

たぶん海に面した領土を持っていると、
漁業権なんかが違ってくるんだろう。

観光資源の取り合いがどうのこうのってのも
誰かのブログで読んだ気がする。


まぁ、ドブロヴニクに行くのはめんどくさいんだ。
バスに乗ってサクっと行きましょう。
最初っからそうしとけばよかったのかもしれない。

やってきたバスに乗り込んだ。
10ドルちょっとの料金だった。

バスの中では爆睡。

ウトウトしながらいつもの綺麗な海を見た。

国境はあっという間に越えたのは覚えている。

パスポートのチェックなんてなかったな。
バスに乗って正解だった。



乗客たちは一斉にバスを降りた。

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僕ものそのそと一番最後に降りた。

ようやくドブロヴニクにやって来たのだ。

ここまで来るのにえらい苦労したよ。

そして明日には
モンテネグロへ言ってしまおうと考えた。

手持ちのクロアチア・クーナで
モンテネグロ行きのバスチケットを買う。

よく分からないけど、コトルまでの
チケットを買っておいた。26ドルくらいだった。


マップアプリで確認すると、
僕が今いるバスターミナルは
みんなが行くいわゆる「ドブロヴニク」から
5kmくらい離れた場所にあった。
観光客たちはそそくさとバスに乗り込む。

手持ちのお金は8ドルちょっと分のクーナ。
マジでこころもとない。

どうせ宿には泊まらないし、
食費もいつものパンとトマトだから
安くあがると思うけど、ここは節約しておきましょう。

バックパックをクロークに預けることもなく、
町へと繰り出す僕。

まぁ、僕には僕の街の歩き方があるさ♪

そんな中でも僕にしか会えない人、
見れない景色というものがあった。

朝のマーケットで会った香港のおばちゃんと
楽しくおしゃべりをした。

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途中のマーケットで食糧を買い込み、
クルーザーが停泊している港を横切った。

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何度か休憩を挟んだ。

アップダウンの多いこの街を
ぶっ通しで歩くのは骨だった。

昨日長い距離を歩いてきた疲れからか、
ちょくちょく休憩を挟んだ。

なんでおれ、こんなクソ重い荷物かついで
歩いてるんだろう?って何回も思った。

あれ?全然イメージと違う?

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このドブロヴニクというのは
城壁のある要塞の町のようだった。

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海に面していながら、
城壁みたいなのがぐるっと囲んでいる。

誰が言い出したんだろうな?

「魔女の宅急便」って。

悪いけど、キキはこんな場所に来ないと思うぜ?

自分の中には自分のイメージしたあの世界観がある。

むしろこのリアルの世界で
あの場所とそっくりな場所なんて存在しないで欲しい。

あれは桃源郷なんだ。


城壁の中に入る前に昼寝をすると頭が大分スッキリした。

近くにあったトイレは有料だと思いきや、
ゲートのバーが緩んでおり、
みんな出口側からタダで出入りしていた。
そのことを他の観光客が教えてくれた。

トイレを済ませてアイスクリームを
ワンスクープ買うと、もう心は観光客だ!

あれ?バックパック背負って
歩いているのは僕だけだ。
でも気にしないぞーーー☆

「気にしな...」

もちろんバックパックを背負いで移動している観光客なんて
僕しかしなかった。

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一通り、城壁の内部を歩き周ると、
僕はコインランドリーで一休みした。

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『あれが僕の思い描いていた
ドブロヴニクだったっけ?』
と自分に問いかける。

あの町は上から見渡すと、
屋根がみんな一様に赤く見えて、
それがまるでー…、

ってここまでにしておこう。


やっぱり、この町は上から
見渡さないといけない気がする。

そこまで手っ取り早く行くのには
ケーブルカーに乗っちまうのが一番だ。

だが、僕にはお金がない。

マップアプリを確認する。

最近使わなくなったパックセーフを取り出し、
バックパックを包むと、それを柱に固定した。

洗濯機の後ろにPenny Boardを隠せば僕はもう身軽だ!

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いいよ!金なんて払わなくてもなぁ~!
てっぺんまで行ってやんよ!

足早に頂上を目指した。

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その途中でふと足を止める。

少し高いところに登っただけでも、
ドブロヴニクの旧市街を一望することができた。

あんなに海って綺麗だったけ?

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汗をかいた体に風がひんやりと気持ちいい。

どこが一番眺めがいいだなんて誰が決めんだよ。

僕にはここからの景色で十分だ。

町を一望して満足すると、
僕は再びコインランドリーへと戻った。



コインランドリーにはなんと
フリーのWi-Fiが流れていた。

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壁にWi-Fiのパスコードが書かれた紙が貼ってあった。

なんだかお洒落だけど、まさかWi-Fiまで使えるとはな!

あいにく電源は確保できなかったが、
Facebookの近況報告をしたり、
日記を書いたりした。


そんな時に今さっきしたFacebookの投稿に
メッセージが返ってきた。

インドのバラナシ、サンタナゲストハウスで会った
「カエルダッシュ」というブログを書いている
ツバサさんからだ。



「今僕もドグロ?
ドブロにいるんですよ!」



またぁ~。

いつものギャグっしょ?
今はギリシャにいるんじゃなかったでしったけ?



「いや、僕も同じ場所にいますよ」

ってマジ??!!



すぐにメッセージを送った。

しかも会いに来てくれるっていう!

30分でそちらに向かいますとのことだったので、
僕はコインランドリーで待つことに。



「あ~、でももしかしたら
すっぽかすかもしれません」

その時は丑の刻参りで
呪殺してさしあげます♪



そこから僕はコインランドリーに
入って来るお客さんにソワソワしながら
ツバサさんのことを待った。

時間きっかしにツバサさんが
現れると思わずハグをした(笑)。

それは僕にとって世界一周という旅路の中で
たまたま軌跡が重なったことを祝う
一種のボディーランゲージだった。

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不思議なものだ。

お互い会って話したのは4ヶ月前の
インドでの2時間あまり。

それなのに、全然懐かしい感じはしなかった。

あれ以降僕はすっかり
「カエルダッシュ」のファンになってしまって
Wi-Fiが入る状況で彼らの動向を
しっかり追っていたってのもある。

近くのスーパーで缶ビールと
おつまを買うとベンチに座って旅のことについて話した。

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ツバサさんは僕の旅を「旅っぽくていい」と言った。


「電波少年、よく見てたんですよね。
ああいうヒッチハイクとか野宿とかする旅って
憧れるところがあって」


毎回毎回、充実した旅を
ブログにしているツバサさんがこう言ったのだ。


「そんなことはないっすよ。
ツバサさんだって相方さんと二人で
旅してるじゃないですか。
あれって僕には"できない"旅なんですよ?」


夫婦で世界一周という言葉に、
僕は高橋歩と奥さんのことを
思い出さずにはいられない。

世界で一番大好きな人と一緒に
世界を旅するなんて素敵過ぎる!

それに、世界でたった二人だけになったら、
相方さんから相当「男」としての
価値が問われると思う。

まぁ、いずれにせよ、
大好きな人と世界を旅するってのは
とても素敵なことだと思う。

そして旅は人それぞれ。

やっぱり隣りの芝は青いのだ。



僕とツバサさんは夢を語った。

「ブログには書いてないんですけど」という
ツバサさんの口から聞かされた夢に
こっちまでワクワクしてしまった。

こういう時、いつまでもグダグダ喋ってしまうので、
タイム・キーパーをすることを僕は忘れない。

ちょくちょく「時間大丈夫っすか?」と訊き、
ツバサさんの要望もあって、バスキングをかますことに。

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内容としてはアルコールが入って、
全然声の出ないダメダメなバスキングだったけど、
周りの人はニコニコしてレスポンスをくれた。
自分でも驚きだった。

お互いの旅路にエールを送る意味で
奥田民生の「さすらい」を唄い終わると、
ツバサさんは「ちょっと泣きそうになりました」と言った。

いつものギャグだろうけど、
なんだかそれが嬉しかった。

だって
「さすらいもしないでこのまま死なねえ」
んだぜ?

今僕らは世界をさすらってる。

やりたいことをやらないで死ねるかってんだ。

僕たちはまだまださすらいの途中だ。



「相方とは19時に
待ち合わせしてるんですよね」
というツバサさん。

時刻は既に19:19。

「まぁ、でもいい笑い話ができたんじゃないっすか?」

「それじゃあ気をつけて」

まるで親しい友達との別れのように
ツバサさんは観光客の中にまぎれていった。

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後に残された僕は雑貨を仕入れて
コインランドリーでWi-Fiにありついて、
夜が深けてくると寝床へと向かった。

新市街を見下ろせる場所でタバコを吹かした。

街のかすかな灯りが海にきらきらとゆらめいていた。

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。