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「ドブロヴニクを目指して in クロアチア」

世界一周410日目(8/12)

しれ~っとホテルから抜け出した。

「おい!あんた!鍵を返してくれ!」
とスタッフに言われて、
「友達が中にいるから」と
なんでもないように切り抜けた。

あとから昨日一晩の宿を与えてくれた
心優しきアサイくんがやって来て、
スタッフに事情を説明した。

特に追加の料金が発生するでもなく、
「友達にシャワーを貸して
そのまま泊まってったんだ」
で済んだらしい。

ここはクロアチア、スプリットという港町。

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「20日間でチェコを含む
国々を回る強行軍ツアー」
を僕はやっている。現在2日目。


クロアチアでどうしても行きたかった場所がある。

日本にいたころから、
いろんな人のブログを通してその街の写真を見てきた。

日本人にありがちな
「〇〇っぽい」と当てはめるのが
ちょっと気に喰わなかったけど、

頭の中で美化されたイメージと実物がどんなものかを
照らし合わせてみたい欲求があった。

そうだ!
ドブロヴニクへ行こう!

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今日もヒッチハイクだ。

距離はざっと200kmくらい。
こんなのわけないよ!

だって海岸線を一直線だもん。
らくしょーらくしょー♪

とりあえずベンチに座ってタバコをふかす。
足元には両膝の破けたお気に入りのnudie jeans。
もう修復できないくらいにボロボロになってしまった。

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ヒッチポイントへとバスを乗り継いで向かった。

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バスの窓からクロアチアのビーチが見えた。

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ここはビーチの国なんだなぁ。山もあるらしいけどね。

海はつながっているのに、
なんで日本と海外の海って
こんなにも違うのだろうか?

僕はそこまで海に行ったことはないけど、
海外の海って綺麗だなぁって思う。

ここが観光地化されていて、
海外から来る観光客のために
しっかり海を管理している
ってのもあるんだろうな。

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昼の11時に僕はスプリットから
20kmほど離れたヒッチハイクのポイントに到着した。

そこには先客がいた。

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暇そうに日陰で足を伸ばして座っていた。


「ドブロヴニクかい?」

「まぁね」

「行き先を代えた方が
良いと思うぜ?」

「なんでさ?
だってドブロヴニクまで
一本道だろ?」

「でも、ここからじゃ遠いよ。
やるんならハイウェイとかだろ」


どうみてもヤル気を感じられない
彼をよそに僕はいつもみたいに
ヒッチハイクを始めた。

海岸沿いのバスの終着点は
少し高い場所に位置しており、
車が速度を落として登って来る。

それにバスの止まるスペースがあるので、
絶好のヒッチハイクポジションなのだ
(とサイトには書いてあった)。

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だが、レスポンスはまったくと言っていいほどなかった。

え???ここで楽勝でドブロヴニク行きの
車をゲットできるんじゃなかったの??!!

クロアチアってヒッチハイクしやすい
国じゃなかったのぉぉぉ~~~~~???



一時間が経過した。

ブランコ(先にいたヒッチハイカー?の名前だ)は言う。


「2ヶ月前もここで
ヒッチハイクしてたヤツがいたけど、
最低で2時間待ちだったぜ?

場所をかえなって。
マカースカまでだったら
15分もしないで車がつかまるぜ?」

ぐぬぬ…。


確かにドヴロクニクまではかなり距離がある。

ハイウェイじゃないので車もそんな早くは走れない。

ここは助言に従おう。

持っていた段ボールに
「MAKARSKA」と新しく書き加えた。

そして一時間が経過したころに
ようやく車が止まってくれた。

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僕を乗せてくれたのは陽気なカップルだった。
マカースカの手前までだった行くよとのことだった。

海岸沿いを音楽を流しながら車は飛ばす。

彼女さんは僕に残ったコーラを全部くれた。

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おろされた場所で再びヒッチハイクを開始する。

止まってくれたのは助手席に座った犬とその飼い主。

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ワゴン車の後ろには
DIYの資材みたいなのが積まれていて、
僕はその隙間に立ち乗りするような形で
マカースカまで乗った。



そしてガソリンスタンドで僕はヒッチハイクを開始する。

てかもうそろそろドヴロブニク行きませんか…???

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ガソリンスタンドで
ちょっと高めのお菓子やドリンクを買い込み、
ガソリンスタンド内でボードを掲げる僕を
フロントガラス吹きのバイトの女のコたちは
笑いながら見ていた。

なんとなくドライバーからのレスポンスはある。

だけど、途中まででも乗せてくれるような
車は現れなかった。

旅行シーズンのクロアチアでの
ヒッチハイクで一時間なんてザラだ...。


このガソリンスタンドには
僕の他にもヒッチハイカーがいるようだった。

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ポーランドから来たらしいカップルのヒッチハイカーは
僕と同じドヴロブニクが目的地だったが、
もうヒッチハイクなんて飽きてしまったのか、
二人でずっとじゃれあっていた。

「ハッ!」

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ハイキックの合間に
ハットのズレを直すこの余裕(笑)。

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「だからそうじゃないって、」
「と申しますとー...」

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「半身ズラして金的でしょ」
「ハウゥゥッッッ…!!!」

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しばらくしてオレンジ色の髭を蓄えた
背たかのっぽのドイツ人のバックパッカーが
やって来た。

ドイツからヒッチハイクで
やって来たという彼は
なんと一日半でここまでやって来たというのだ。

その距離1000km以上。ってすげえ。

バックパッカーにしては
お洒落な格好をした彼だったが、
大分ヒッチハイクに慣れているらしく、
直接ドライバーに交渉していった。

彼の目的地は少し先の山なんだとか。


「君もここよりは向こうの
ガソリンスタンドの入り口の方が
いいかもしれないよ」

ドイツ人の彼の助言に従って
場所をガソリンスタンドの
入り口にかえてみる。

視点を変えればもっといいヒッチハイクが
できることを学んだよ。

同じポジションでやりつづけても意味はないんだ。

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20分もしないで車が止まった。

『え?僕のために止まってくれたの?』

って感じ。自分でも分からなかった。


「ドブロヴニクまでね。
乗せてってあげる」

中から女のコが出てきて僕にそう言った。

喜ぶ僕に、ガソリンスタンドの
スタッフたちが拍手してくれた。

所要時間は2時間あまり。

これでようやくドブロヴニクに行ける…!!!

ボロボロの赤いベンツのワゴン。
中はまるで映画のセット。

乗っていたのはドイツ人の旅人たち。

そのうちの一人は僕と同じヒッチハイカーだった。

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運転手のヤツは上裸でハンドルを握る。
女のコたちはエスニックな服装をしていた。

『これはまるで
ヒッチハイカーバスだな』

と僕は思った。

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いっつも思うのは、
あの2時間は僕がこの車に乗るための
時間だったのではないかなってこと。

こういう出会いがあれば
2時間待った僕も救われる。

巻きたばこを吹かし、窓の外の景色を眺めた。

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相変わらずクロアチアの海は綺麗だった。

「行き先はどこなの?」と訊くと、
女のコは「分からない」と行った。

僕が乗ったのはまさに旅する車だった。


「どうする?
私たち今日は途中までしかいかないの。
私たちと一緒にくるかヒッチハイクを続けるか?」

たぶん彼らと一緒にいたら楽しいんだけど、
僕はほんのちょっと気を遣って、
「ヒッチハイクを続けるよ」と言った。

彼らにお礼を言ってバス停の前で
「DUBROVNIK」と書かれたボードを掲げた。

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時刻は17時。

他にも地元のヒッチハイカー
みたいなのがいたけど、彼らはやる気なく
親指を立てているだけだった。

30分おきにバスがやって来て、乗客を乗せて行った。

そしてまた次の乗客たちがバス停に集まってきた。

なんだかヒッチハイクの見物されているみたいだな。

僕は別に構わないけど、
このシチュエーションってもしかしたら
ドライバーは止まりにくいのかもしれない。


さっきまで地元ヒッチハイカーがいた
ポイントに場所を移り、再び親指を立てた。

隣りには二人の女の子が物珍しそうに
僕のことを見ている。

笑いたきゃ笑えよな!ふんっ!

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結局ここでも1時間以上車を待った。

なんとしてもドブロヴニク行きのバスが
出ているであろう隣り街までは行きたい!

乗せてくれたクールなマダムとその旦那さんの車に
さっきまで横にいた女のコ二人も
ちゃっかり便乗ヒッチハイクしてきやがった。

なんだよー…。
おれだけ頑張ったのってそんなのアリか?

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クールマダムに
「ここでヒッチハイクをしなさい!さぁ!行くのよ!」
と降ろされたのはどローカルなバス停。

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日没までもう残り時間もわずか。

や、やるしかなかろうー…。

向こうからやってくる車のナンバーは
「DU」ナンバーが多かった。

それでも僕を乗せてくれる
ドライバーは現れなかった。

さっき僕を通り越して行った
散歩中のツアー客がまた戻って来た。



辺りはどんどん薄暗くなり、
僕はついにヒッチハイクを諦めた。

アメリカンスピリットを一本吹かし、気を落ち着ける。

マップアプリを見て、今日の目的地だった
「Opuzen」の位置を確認した。

うん、なんだか行けそうな気がするぞ…。
ていうか行くしかねえ。
明日もここでヒッチハイクなんて嫌だ。

トボトボと歩き出す。



看板に「OPUZEN 14km」と
発見した時にはもう遅かった。

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車がヘッドライトをつけて僕を追い抜かして行く。

恐怖でしかない。かすったら致命傷だぞ。

こういう時に
「よかったら乗せてってあげるよ」
と声をかけてきてくだすったドライバーさんがいたが、
残念なことに目的は逆方向だった。

僕は道路の脇の白線の外側を
一歩一歩かみしめるように歩いた。

横幅50cmが僕の安全地帯。

こんな暗くても、そんなのお構いなしに
速度を出す車に呪いの呪文を投げかけようと思った。

誰一人として、
「おいおいどうしたんだ?乗ってくか?」
なんて優しい運転手はいない。

甘えだけどー、くそぉ。


後ろかやって来る車と安全地帯に
心もとなさに僕はiPhoneのLEDライトを
つけっぱなしにして歩いた。

途中にある小さな町の小さなバーで
フリーWi-Fiにありつくことができた。

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Googleマップのルート検索で
目的地まで「徒歩2時間17分」
一晩歩けば行けなくもない。
ようは2時間分歩けばいいんでしょ!

しゃ~~~~!やったら~~~な!くっそ!
なんでドブロヴニク行くの
こんなにキツいんだ??!!マジわけわかんねぇ!


iPhoneのLEDから
KELTYのカンテラ・ライトに切り替える。

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友達が世界一周前に
僕にプレゼントしたくれたライトだ。

後ろからやってくる車は確実に僕を避けて行く。
これなら大丈夫。轢かれることはない。


なんどもマップアプリを確認して、
重たいバックパックを背負った肩が
限界に達すると休憩した。

クロアチアの道は電灯が少なく、
頼みの綱はカンテラ・ライトだけだった。

22時を過ぎても相変わらず
後ろから爆走で車が走ってくる。


大きな川を渡り、畑を横切り、
露店でしまい忘れたであろう
売れ残りのバラバラに散らばったぶどうを食べた。

水分を失った体にぶどうの糖分と水分が染み渡る。

どこからともなく犬の吠えるこえが聞こえたが、
ここには野良犬はいないから大丈夫だ。


キャンプサイトで読書するおじさんと目が合い、
僕はカンテラ・ライトを振った。
おじさんは何もレスポンスを返してこなかった。

そりゃそうか、こんな夜中にバックパックを
背負って歩いているヤツがいたら
不審人物でしかないもんな。


24時をまわって、ようやくオプゼンの町の
ガソリンスタンドへと僕は辿り着いた。

トータル30kgの荷物を
背負って歩いた14km。マジでキツかった…。

ガソリンスタンドは
長距離ドライバーのために遅くまで営業していた。

僕はそこでクッキーや
1.5リットルの味つき水を買い、一人祝杯をあげた。

近くにあった水道で歯を磨くと、
僕はガソリンスタンドの裏に
ブルーシートを敷いて寝袋に入った。

はぁ…疲れた…。

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。