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「うまくいかない日もあるさ in ジョージア」

世界一周321日目(5/15)

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情報収集へとしけこもうか。
へえ。「しけこむ」って今調べたら「お金がなくて部屋にこもる」
って意味もあるのか…。

朝8:30に目覚めて外でタバコを一服。プラスチックのテーブルの上にパソコンを広げた。ガイドブックを持たない僕はグルジアに何があるのか分からなかった。「トレッキング」や「雑貨」、「世界一周」などキーワードを打ち込んで検索をかけるも、ざっくりとしたことしか分からない。ふーん…。ウシュグリの景色がいいのかぁ~。そこは行ってみたいな。そんくらい。
調べ過ぎるのも好きじゃない。でも、情報は必要。その絶妙なバランスが大事なのだ。

とりあえずトルコに抜けるルートは調べておく。バトゥミという街からバスかなんかで行けるそうだ。トビリシからバトゥミを目指す旅。これからどんな出会いが待っているのだろうか?

そういう情報収集よりも、日記を書く時間の方が長かったりする。最近ちょっとだけどキーボードを叩くスピードが上がった様な気がする。「旅する漫画家」って見ないでキーボードを叩けるようになった。当たり前か笑やっぱ日常的にキーボードを叩いていないとブラインドタッチって身につかないんだろうなぁ。それにキーボードを見ないで文字を打つことにも。

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いつからパソコンに触れ始めたんだろう?

僕が中学生の頃には「情報」みたいな科目が週一であった。すげえデカい眼鏡をかけたマッシュヘアのでっかい先生で、ちょっと暗そうな先生だった。教えている項目とは別にバスケが好きで、時々、昼休みに僕たちと一緒にバスケをすることがあった。

「慣れ」について考える。
こういうのって、意識しないと上達しない。旅で日常的に使う英語なんてもろそうだし、外でバスキングをする僕にとって、ギターなんかもそうだ。未だにバレーコードに移り変わるときは指を見て抑える位置を確認してしまいます。前を見ながら唄えるようにならないとなぁ。そんなんじゃレスポンス入んないよね。

そんな風にキーボードをバシバシ叩いていたらあっという間に12時前だ。外に出ないと!

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入手した情報によると「Didube(ディドゥベ)」というメトロの駅の近くに雑貨が売っているらしい。宿の最寄り駅「Gramishvili」から二つ先。Pennyで行くことにした。

焼きたてチーズパン。1.5ラリ(87yen)。

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僕はマップアプリを見ながらディドゥベを目指したがー、

うん、なんか道がー…

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歩行者に冷たい…。

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一応、歩行者用に道があるんだけど、その横をびゅんびゅん車が過ぎ去っていく。周りにこれと言ってお店があるわけでもない。これはメトロを使わなくちゃダメだったか…。茶色の川を見ながらPenny Boardをプッシュした。



汗ばむ体で辿り着いたディドゥベ。

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ここにはバスターミナルもあるようだった。何人かのドライバーが行き先を叫んでいる。ここから離れた街までいけるみたいだな。さぁて、肝心のマーケットの方はどうかなー?いい雑貨売ってっかなー?

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うん..。確かに雑貨なんだけどさー…。

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売っていたのは生活雑貨。コスメやヘアピンとかだ。

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その他にも服や電子機器なんかも売っていた。

パンはもちろんのこと、野菜やフルーツもここで手に入る。地元の活気あるマーケットが見たい人がいたらここを訪れるのもいいかもしれない。でも、雑貨は売ってなかったかな?そのまま僕はディドゥベからメトロに乗った。

 ちなみにグルジアの自販機にいるコーラお姉さんはこちら。カワイイな!

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楽器屋さんはある。グルジアにも。

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もしかしたら!もしかしたらだよ!

物価は上がったけど、弦とかだったらセールとかで安く手に貼るんじゃないか!!?僕はそんな期待を持っていた。前日に宿でどこに楽器屋さんがあるのかは調べておいた。「Medical University」の近くにあるようだ。アウトドア・ショップもそうだけど、道具の売っているお店はワクワクする。

見つけたのはしっかりした感じの楽器店。見るからに高そうだ…。

ダダリオのエクストラ・ライトの3セット入りの弦が売っていたで思わずスタッフに声をかける。

「19ラリだね(1,103yen)」

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マジか!やっぱり僕の読みは間違ってなかった。てか3セットでこの値段なんて、すえ!レジの別の店員に100ラリ札を渡す。戻って来たおつりは43ラリ。あれ?おかしくない?

「え?19ラリじゃなかったでしたっけ?」

不満そうな顔で値段をチェックするレジのおじさん。

「あぁ、一セット分の値段だ」

なんだよそりゃ!てか箱詰めされた弦を取り出してバラ売りすんのか!!??弦単一のバラ売りはやってねーって言ってたのによー!

まぁ何が言いたいのかっていうとですね、グルジアは高いです。アルメニアは割引までしてくれたってのにさ~。こっからもっと高くなるのかなぁ?はぁ…。

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あ~、どうしよう。バスキングするのにもまだ早いしなぁ。

マップを見ると「Japanese POW die」と書いてあった。何かのモニュメントのようだ。POWってなんだ?そっちの方向へ暑い日差しの中進んでいくと、それは公園の敷地内にあった。

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自己主張をするでもなく、公園の景観を損なわないように控えめに立っていた。

日本語で書かれた慰霊碑。
かつて第二次世界大戦後、シベリアで捕虜になった日本人の方々は強制労働に従事させられていた。たしかそうだったと思う。大学生の頃、「平和記念展示資料館」の広告を電車の中で見たことがある。水木しげるの描いたイラストが印象的だった。日本に帰れずここで命を落とした人のために立てられた慰霊碑。僕はその資料館に足を運んだことがないし、当時がどんなものだったかなんて、なんとなくしか知らない。これを見てもそこまで感じることはなかったが、慰霊碑の前で手を合わせた。

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僕は好きで日本の外を旅しているけど、いつの日か必ず日本に帰らなくてはいけない気がした。


慰霊碑のある公園は気持ちの良い場所だった。慰霊碑のすぐ近くのベンチでまどろむ。すごく眠たかった。意識が遠のきかけたころ、何かが降ってきた。「ペチョ」っと。股間を見ると鳩のフン。

「ま~~~~じ~~~か~~~よ~~~~...」と思わず声に出してしまう。あ~もう!これ洗濯したばかりなんだよ何かが拭く物を探してあたふたしていると隣りに座っていたベビーカーの女性が「ノープロブレム♪あそこの水飲み場で洗うといいわ。ノープロブレムよ」と言って僕にティッシュをくれた。

いやね、確かに鳩の糞は臭くないし、たかだか汚れですよ。
くっ…これ意外としつこい系の汚れじゃねえか!

股間を水浸しにして、僕は公園を去ることにした。なんだか今日は微妙な日だ。バスキング行く気もしない。

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そのまま帰りのメトロに乗り込む。

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乗り換え駅のStation Squareで別の路線へと続く通路を歩いている時だった。

通路でギターみたいな民族楽器を弾いて唄うグルジアの男の子たちを発見した。

そのギターみたいな楽器を弾きながら低い声で唄っている。帽子の中にはそれなりにコインが入っていた。今いる場所は改札を抜けないと入れないゾーン。警備員もいるのにここで唄っているということはー…

ちゃりーーーん!!!

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やー、やってみたかったんだよね。メトロの地下通路でバスキング。すぐ横には同業他者。僕は彼らから20メートルほど離れてギターケースを置いた。常時電車が走る音が響いているが、唄えないほどじゃない。それにStation Squareは一番人が乗り降りする駅だ。行ける!

そんな期待とは裏腹に、レスポンスは全くと言っていいほどない。バスカーの男の子たちの姿が見えないところでやっているのに、彼らの低く太い歌声が地下道に響く。ちくしょー!二人には勝てないぜ!

唄っていると、隣のプラスチック椅子に座っているバスト・ウエスト・ヒップが「ボン!ボン!!ボンッ!!!」のおばちゃんが苦情を申し立てて来た。彼女たちは何なのだ?

お金を入れるカップみたいなのも持っていないので物乞いには見えないし、何か商売しているようにも見えない。占い師かなにかなのか?!

「あんたがいるから商売あがったりだよ!」たぶんそんなことだと思う。英語一切なしでこちらが理解していないのもおかまいなしにおばちゃんは喋る。

「まぁまぁ、向こうでもバスキングやってるじゃないっすか」と僕もジェスチャーで応戦。2~3曲唄うごとに、わざわざ僕のところにやってきてよくわからないことをわめく。

気づいた時には、民族楽器の男の子たちはいなくなっていた。代わりに今度は別の物乞いがそのポジションに立っていた。たぶん時間制なんだと思う。

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メトロには行き先が書いていない。
どちらのホームが目的地に向かうのか分からない。僕が乗った電車は逆方向だった。マップを見てアナウンスされる駅名が全然違うことに気づいて、慌てて僕は引き返した。やれやれ。

そんな僕を元気づけてくれたのは宿のご飯とデザートのエクレアだった。やっぱ甘いものはうまい♪そしてそんな些細なことで僕は元気になれてしまう。幸福の沸点が低いのだ。

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。