「漫画製作3日目 in ジョージア」
世界一周330日目(5/24)
漫画を描き始めると生活サイクルがいくらか改善された。
朝7:30にイヤホンを通してアラームが鼓膜に伝わる。寝る前にthe HIATUSのアルバムの何曲目まで聴いていたかは覚えている。確かー、4曲目の「Sunset Off The Coadtline」までは聴いてたな。自分がいつ眠りについたのが分かっているのはちょっと面白いもんだ。二段ベッドの上でFacebookやブログを読んで、思考を正常に戻す。『二度寝してぇ…』という考えをどこかにやってしまうことが大事だ。意外と起きてからすぐに文章を読むのは目覚ましになる。よし。そろそろ起きるか。
ドミトリーの外に出ると韓国人のナヤおばさんがいつものテーブルでパソコンを開いている。
スタッフのエリザさんは僕たちと寝る時間がほとんど一緒なのに、ソファに座って眠そうにしている。他のみんなより少しだけ早い朝。
「早起きは三文の得」と小さい頃に国語の授業で覚えた。確かに自分の活動時間が早く始まると、その分自分に与えられる時間が増えたように感じるのだ。
テーブルの上にMacBook Proを広げて、ポソポソとキーボードを叩き始める。なんでもかんでもいきなりスラスラと文章が書けるわけではない。アップ(準備運動)が必要だ。
日記を一本書き終えた僕は太陽を浴びに外に出た。ナヤおばさんは呑気にタバコをふかしている。
宿のテーブルには四六時中、このナヤおばさんとカナダ人のマイクの私物が置いてある。スタッフさんは困った顔をしている。長期の宿泊客ということもあり、なかなか言い出しにくいみたいだ。昨日マイクが「財布がない!」とわめいたように(結局は自分のベッドの脇に落ちてた)、自分の持ち物は自分で管理してもらわなきゃ困るだろう。僕は自分のことは棚に置いておいて、人に注意したがるゲスなのだ。
昨日のこともある。マイクは昨日のことで懲りているから、ナヤさんだな。ちょっと言っておくか。
「ねぇ、ナヤさん、いっつもパソコンとかテーブルの上に置きっぱなしだけどさ、それについてどう考えてるのかなぁ?」
この日本人独特の遠回しな言い方。だが、相手の気分を害さない言い方とも言えよう。
「?イッチュ・オーケー!(これがナヤさんの口癖なのだ)ここには誰も物を盗る人なんていないもの。私はここに1ヶ月も滞在しているけどね」
「いやいや、そんな問題じゃないでしょう?昨日のマイクのこともあるし、物がなくなった時にスタッフさんは責任とれないよ?それにもしかしたらってこともあるでしょう?」
僕の遠回しの言い方に気がついたのかナヤさんは言った。
「誰か他の人がテーブルを使いたがってるの?」
「いやいや。僕はね、ナヤさんがどう考えてるのか知りたいんだ」
「大丈夫。テーブルなら他にもあるから」
そういってナヤさんは宿の物置に入っていき、木製の薄汚れたテーブルを引っ張りだして来た。
おいおい。違うだろう?さすがに僕が同じセリフを繰り返すと、
「あぁ!分かったわよ!荷物をどかせばいいんでしょう??」
とばかりにムキになったおばさん全開で急にテーブルの荷物を片付け始めた。やれやれ。僕は長年働いた窓際の部下(年上)にクビを宣告する上司(年下)の様に、優しくナヤおばさんの肩に手を置いた。
「ナヤさん、そういうことじゃないなんだよ。だってナヤさんはロシア語を勉強してるだろ?別に今すぐに誰かが使いたがってるわけじゃないんだ。テーブルを使ってていいんだ。ただ、荷物は気をつけてくれよ。ニコッ…(ていうかちゃんと片付けろよ)」
それからテーブルの上がちゃんと片付けられるようになった。エリザさんと僕は驚きの表情(それと含み笑い)で顔を見合わせた。
今日で漫画を仕上げるぞ!作業内容は背景とベタのみ!漫画製作3日目!今日もテーブルにへばりつきます!(でもちゃん道具は片付けるよ?)
11:00~16:30まで作業。 ふぅ…完成っと。
文章で書くとあっという間だね。
漫画が完成すると僕は近くの売店にお菓子を買いにいった。パンとアイスクリームとスニッカーズ。糖分摂取はかかせない。そのあと僕はできあがった原稿をキューに見せたり、誰かのツイートで「バンドと漫画家」をやっているアーティストを発見して、ちょっと羨ましく思ったり、「尻職人」と自ら名乗り、セクシーな自撮り画像を投稿しているグラビアアイドルの画像アーカイブを遡ったり、そんなだった。
漫画を描き始めてから2日間シャワーを浴びていなかったので、久しぶりにシャワーを浴びた。鏡に移った自分の顔を見ると、髭は伸びっぱなしで、偏った食生活のせいで肌は荒れていた。やっぱり毎日顔洗わなくちゃだめだなぁ…。
さて、仲間の披露宴は明日にせまっている。幹事をやっている友達もラストスパートをかける。もうまる2日寝てないらしい笑。どんだけストイックなんだ笑。
アルメニアから送った原稿が額縁に入れられた写真が送られてくると、彼は明日、日本の横浜で行われる披露宴が楽しみになった。アイツ、寝過ごさないかなぁ…?心配だぜ。
キューたちともお別れ。クタイシに行くんだって!よい旅を!
現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。