「エブリデイ・ホリデイ」
世界一周322日目(5/16)
朝起きることについて考える。
なんでったって僕はスヌーズに切り替えてしまったんだろう?『あぁ、起きる時間だ..』って分かっていたのにもかかわらず、iPhoneのアラームを黙らせて二度寝。起きたのは10時だった。おれ、一体何時間寝てるんだ?
日本でもなかなか布団の中から抜け出せない時期があった。それはだいたい一年のうち3回くらいある。布団から出なければアラームを止められない場所にケータイをセッティングした時もあった。Village Vanguardでアニメや漫画に出てきそうな金属製のベルを「これでもか!」と打ち鳴らすベタな目覚まし時計を買ったこともあった。そんな時計を使ってでも二度寝をしてしまうことがあった(その時計はカーテンレールの上に設置して、床に落ちて壊れてしまった)。
とりあえずアラームを止めて再び布団に入る。
タチの悪い時だと自分がアラームを止めてしまったことさえ覚えていない。そういう時に目覚めると僕は自己嫌悪に襲われた。試験や大事なイベントがある時は睡眠時間が3時間であっても起きられる。今までの人生で僕はそういう大事な日に寝過ごしたことはない。そういう時は「起きなきゃ!」ってなるのだ。
これは精神的な問題だと思う。
ベッドから這い出るのは根性なのだ。
だから、グルジアでセットした時刻通りに起きられないということは気持ちがユルんでいるということだろう。特に早起きしなくても大丈夫。ただちょっと損した気持ちになるだけ。
そんな快適な宿「Comfort Plus」に新しい韓国人のカップルがやって来た。
これでここに泊まっている韓国人は全部で5人。
旅歴4年の強者ナヤおばさん(62歳)。
タイでダイビングのインストラクターをやっているルピーと奥さんのパイ(ニックネームなのかなぁ?)。
そして新たに2人。キュー(旦那)とイヴァン(嫁)。イヴァンは旅の途中で買ったと言うウクレレを持っていた。ウクレレくらいなら持ち運びも楽だし、音楽を通じて気楽にコミュニケーションが取れる。長旅を始めて学期を始める人間はけっこう多い。
てかキューに至っては僕と同い年、25歳。
彼らは学生で結婚はまだというが、二人の薬指には結婚指輪がつけれらていた。韓国でもすっげえ早いらしい。学生結婚だなんて村上春樹みたいだな。
お喋りマイクおじさんは人に絡むのがだいっすき!
製品デザインを学んでいるイヴァンのノートを見せてもらった。そこに描かれたiPhoneの絵を見るだけでも、このコが絵が上手いということがわかった。絵の上
僕が外でギターを弾いていると、
「シミ?」と二人に声をかけられた。初対面でだ。
「えっ?何で知ってんの?」
イヴァンが持っていたスマートフォンの画面を見せる。ハングル文字で書かれたブログ。そこには僕の姿とリダさんちで会ったチャンソクが移った写真が載っていた。
「二人のブログを見たんだ♪」
日本のブログでブロガー通し、どこかでふと繋がるように、韓国でもそういうのがあるみたいだ。
二人は訪れた都市に対してひとつの記事を書いているようだ。
グルジアの前に訪れたというトルコの記事を僕に見せてくれた。良いカメラを使って撮った綺麗な写真だった。
それよりカップルで旅するの流行っているのだろうか?日本人のカップルよりも韓国人のカップルの方をよく見かける。
「よかったら食べる?」と、ナヤおばさんがお昼ご飯を作って、それを僕らにわけてくた。
「これ何ですか?」
「韓国のおかゆ?」
ピリ辛とまではいかないまでも、口に含むと、じんわりと温かくなるおかゆ。
「カムサハムニダー♪」と数少ないボキャブラリーでお礼を言い、僕たちはテーブルを囲んだ。
みんなでご飯を食べるとやっぱり美味しい。
空いたキッチンで今度はパーイとルピィの二人が料理をしだした。旦那さんのルピィが一生懸命、分厚い肉の塊から骨を取り除いている。
「それより今何時だろう?」
時計を見ると13時だった。
「えっ?それお昼ご飯?お昼から肉喰うの?」と思わず尋ねてしまう。
「ふふふ。私たちは朝ご飯にもお肉を食べるわよ」
奥さんのパーイがいたずらっぽく言う。じょ、冗談だよね?
世界一周、旅のスタート地点ロシアへ行くために韓国でトランジットをした。その3時間で、僕は同じとフェリーに乗っていたアスカさんとアキヨさんと一緒にサムギョプソルを食べに行ったことを思い出した。あの時、まさかサムギョプソルがこんなガッツリした食べ物だとは知らず、出て来た料理に「うっ…」となってしまったことは良い思い出だ(笑)
「みんなで食べない?」と出来上がったばかりのご飯をまたみんなで食べる。
ここが若干韓国人宿みたいになってきたせいもあるが、できたご飯をみんなでシェアするのはすごい素敵なことだと思う。
僕は一人で旅をしているからこんなことはない。自炊もしないし、そこら辺で済ませてしまう。だけど夫婦で旅をしていると料理を作る機会も多いだろうし、それを分け合う機会も多いんだろうな。にしても、これ二人で食べるには多すぎない?
「シミ!ワイン!」
目の前のカップにつがれたワイン。こんな昼過ぎからお酒を飲むのはいかがなものか?
と日本にいたら思ったことだろう。
でも、ここはグルジアだ。
「じゃあ…」とつがれたワインに手を伸ばす。
でも、ちゃんとお酒の量はセーブしとかなきゃ。だって今日は金曜日。カナダ人のマイクおじさんからのアドバイスに従って、夜の街でバスキングをやる計画なのだ。
「ほらほら!」
「あ、じゃあもう一杯」
気づいたら、もう気持ちのいいくらい酔っぱらってた。常に口元緩みっぱなし。ニコニコが止まらない(笑)
お礼の意味も兼ねて、名刺を二組にプレゼントした。絵を描くのにも酔拳的なのがあると思う。なんかアーティスティックなのができた。
酔っぱらって気持ちが乗って来たのでギターも披露する僕。
ここでのジャイアニズムは無礼講だ。お酒のパワーって素晴らしい!いつものみんなが知っているような曲から、即興で英語で唄う曲まで。コードとか4つを延々とリピート。それでも、みんなと会話するのが英語ってこともあって、それなりに曲っぽくなるから不思議だ。
「ふへぇ~…マジで楽しいや…眠い…」
「あれ?シミ、バスキングに行くんじゃなかったっけ?」
「あぁ、もう18時か…。おれは行くぞぉぉ〜…!
…眠い」
「もう今日はいいじゃん?ホリデー!ホリデー!」
「っておれたちエブリデー、ホリデーだろ?」
「はっはっは!」
19時になって、僕はバスキングへと行かずにベッドに横になった。頭がちょっと重くて、ただただ眠い。
ここまで10ヶ月以上旅をしてきてこんなに飲むことはなかった。そしてこんなに楽しくお酒が飲めたのも。周りにいるのは僕と同じ日本人じゃない。韓国人だ。てかみんなのこと好きだぁああああ~~~~~~っっっ!!!ひっく。
2時間ほど眠りノソノソと起きてくると、エリザさんが作ってくれた晩ご飯をレンジで温めていただいた。まぁこんな日もありさ。
ここを訪れる旅人はワインとごはんに舌鼓を打つ。
楽しい一日はあっという間に過ぎる。
現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。