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「僕たちはサムギョプソルを知らない」

船はお昼に韓国のトンヘに到着した。ここで2時間の自由時間だ。

みんなゾロゾロと韓国に入国していく。
僕もそれにならった。


ここで日本人の女性2人と出会う。

アキコさんと娘のアスカさんだ。

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彼女たちは仕事を含め
世界を旅しているらしく

もうかれこれ5年も
日本に帰っていないらしい。

そんな旅人もいるんだな。

彼女たちも僕と同じように
ロシアを目指すらしい。

せっかく韓国に来たのだから
なにか安くて上手いものを食べようよと
手持ちの千円をウォンに両替し、
僕たちはタクシーに乗り込んだ。





「サムギョプサル!」

とりあえず、
僕の知ってる韓国語は
「カムサハムニダ」と

これくらいだ。

お二人もサムギョプサルなるものに興味津々。

いつか美容院の
おしゃれな雑誌で読んだ
サムギョプサル特集。

その名前だけを覚えていたのでせっかく韓国に来たんだから食べておこうと思ったのだ。

現在時刻10時ジャスト。
フェリーの乗船手続きの12時までには戻らなくっちゃ!


タクシーのおっちゃんは一瞬「サムギョプサル?」的な疑問符を浮かべたけど、「オケーオケー!」と軽快にタクシーを発信させる。

だが、タクシーは様々なお店に行くも、どこもやっていない。

えっ?でも朝の10時でしょ?
どこかしら飲食店やってるんじゃない?

それでも、
サムギョプソルを売ってるお店はどこにもないのだ。


『これはもしや…
海外に出て早々ボラれてる?』

一瞬そんなことが頭をよぎった。



11時前。
やっとのことで
サムギョプソルが食べられるお店を見つけた。

タクシー代は約9000ウォン。
日本円で800円くらい。

やっと入ったお店のオヤジさんに、「サムギョプソル!」と言うも、オヤジさんは「何言ってんだコイツら?」的な顔をしてくる。

「お前に喰わせるサムギョプソルはねえ!」
ってことか!?

頼むよオヤジ。サムギョプソルとやらを喰わせておくれ!



オヤジの息子がiPhoneで「鴨肉10人前食べますか?」と翻訳して来た時には
完璧コイツらボる体制に入ったなと思った。

だが、関西お住まい(だった)アスカさんの交渉術によりなんとかサムギョプサル2人前を注文する事に成功した。




11時03分。
席に着いた途端、嫌な予感がした。

「これ、焼き肉じゃん…」

アスカさんの顔がひきつる。

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『真っ昼間からこんなの食べるの…!!?』

アスカさーん!
心の声聞こえちゃってますけどーー!!!



当時の僕は「サムギョプサル」がなんなのか僕は全く知らなかったのだ。たまたまお洒落な雑誌で読んだだけだったのだ。完全なるしったかです。はい。

お二人には非常に….申し訳ない気持ちでいっぱいです。

どうりでタクシーの運ちゃんも「サムギョプサル?」って言ったのなー。

どうりで、この店のおちゃんも「サムギョプソル!?」ってなかなか

注文取ってくれなかったのなー。


前日の夜はカレーパンひとつだけだったのでシミはガツガツ喰わせていただきました♪2人前で18000ウォン。日本円で3100円。

まぁ、日本円ででは安いんだけどさ…旅人には贅沢だよなー…


フェリーへの帰り道

「食べるまでの過程が
面白いかったよね!」

とポジティヴなお二人には救われました。

旅先で知ったかぶりをかますのと他人任せなことはやめましょう。

反省します。



現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。