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「夜のトビリシへ in ジョージア」

世界一周323日目(5/17)

「おい!こっち来てビール飲めよ!」

朝ご飯を買いに近くのお店に入ると昼間っからビールを飲んでいるおっちゃんに声をかけられた。お店の中には小さなテーブルが二つあり、カウンターにはビールサーバーが置いてある。別のお店でチーズの詰まったパンとビン入りのイチゴ色したファンタを飲んでしまったのが、おじさんと相席させてもらうことに。

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このお店で買った豆の詰まったパンは宿に持って帰ろうと思ったが、おっちゃんに誘われたこともあって店内で食べた。もちろんビールは飲まない。昨日、ワイン飲みまくって結局宿から出なかったってのもある。ビールのお誘いを丁重に断った僕だったが、おっちゃんは「大丈夫だって!おれおごってやる!」と言ってガラスボトルのコーラをぼくにごちそうしてくれた。今日は土曜。休日の労働者は自分へのご褒美のために朝からビールを飲むらしい。

イラクリさんとはほんのちょっとお話しただけだったが、たいそう機嫌が良かった。どこの国にも陽気な人はいる。そういう人に会うと、一日の始まりはなんだかこっちまで元気になる。

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さて、観光的なものもやってみたい。

宿の裏手に大きな建物があったので僕はそこに行ってみることにした。

宿から直線距離にあるその建物。
裏山を登る感じで僕は道を登っていった。

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天気のいいトビリシ。道を登っていると体が汗ばむ。建物の近くは松林となっており、松の独特の臭いが香った。

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ハァ、ハァ、いいピクニック日折だぜ…。


見えた建物はまるでゲームの「ICO」(女のコの手をひっぱりながら遺跡をアドベンチャーするゲーム)にでも出てきそうな立派なモニュメントだった。

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教会でもないし、これはなんなんだ…???像と柱が一体化しており、その中心部に立ってあたりを見回すととすごい迫力だった。まるで映画かゲームに出てきそうだ。世界にはこんな場所もあるのだ。

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建物の裏手、松林の隙間から大きな湖が見えた。

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そこへ向かう途中、悲鳴に似たブレーキ音を響かせて車がドリフトの練習をしていた。あれ、事故んないのかなぁ?動画がなくて残念だよ…。

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河原にあるようなまるっこい石に足をとられながら辿り着いた大きな湖。一部は遊泳場として開かれており、人々は水着になって日差しの下で楽しそうにしている。もっと暑ければここに泳ぎに来てもいいかもしれない。監視員のお兄さんたちは暇そうに日陰の下で番号が書かれたドミノの様なプレートをテーブルの上でがしゃがしゃかき混ぜている。「お前もやらないか?」と誘われたが、ルールも知らないし、僕は賭け事には弱いんだ。

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足下には5リットルくらい入る大きな容器。中に冷たい水が入っているのが分かる。表面には結露ができていた。

「それ?水?」

「ああそうだよ。グルジア・ウォーターさ!」

それが一体何をさすのかは分からなかったが、その冷たい飲み水を分けてもらった。日差しは初夏のよう。持って来た水はここに来る前に飲み干してしまった。分けてもらった水は美味しかった。そう言えば、アルメニアあたりからお腹壊してないな。水道水も何気に飲んでいる。

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「今日も平和」。
そんな言葉の似合うトビリシの湖だった。僕はそんな彼らにカメラを向け写真を数枚パシャパシャと撮って、湖を後にした。

湖の近くでは牛たちが放し飼いされていた。

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牛飼いのおばあさんが棒を持ってかけ声をかける。

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草地には色とりどりの野花が咲いている。

春から夏へ。生命が一番のびのびする時期だ。

誰も聴いていないだろうと、大声でthe HIATUSの「Tales Of Sorrow Street」のサビの部分をシャウトしていたら、突然誰かに笑われた。人が入って来なさそうな場所でシートを敷いて、水着のお姉さんたちが日光浴をしている。「ははは」と照れ笑いをして続きを唄う僕。ダメなんだよ!ここは開き直らないと!お姉さんたち爆笑だったけどね(笑)

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観光もあっという間だ。確かに行った時は「うわぁ~~~!!!」ってなるけど、それでおしまい。1時間も同じ場所に留まるのは性に合わない。
とか言っておきながら宿に戻ってテーブルにつき、パタパタとキーボードを叩いて日記を書く。文章書くのは好きだけど、なかなかリアルタイムにおっつきやしねえ。



「シミ今日はどうするの?」と宿のみんなが尋ねる。

ここはもはや韓国人宿と言ってもいいかもしれない。アルメニアのリダさんちで出会った、チャンソクとチュニ夫婦もここにチェックインしていた。

「今日こそはバスキングに行くよ」と僕は答えた。そうだ。今日はなんてったって土曜日なのだ!カナダ人のマイクおじささん曰く「みんな酔ってお金をいれてくれるさ!」らしい!や、別にお金じゃないんだよ?でも、レスポンスもイマイチのままここを去るわけにはいかないぜ!

16時半になり、作業が一段落ついたところで僕は外に出た。



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どういうわけだか、日差しは衰える気配を見せない。こんな真っ昼間から唄ってもしょうがないけど、まぁ、何かしらの発見もあるかもしれないな。

メトロに乗って向かった先は「Marjanishvili」という駅。マップアプリで確認すると飲食店やアパレル店が沢山あることに気づいた。

降りてみるとビンゴ!

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なんかいい感じだぞ!土曜日ということもあって人通りもある。隅っこの方で控えめにアコーディオンを弾くおじいさんのケースにコインを二枚入れて親指を立てると僕は離れた場所でギターケースを広げた。

まだまだ太陽は頭上にあったが、道の片方は建物のおかげで日陰になっている。そのおかげか、こちら側の方が通行人が多い。

『よっしゃーーーっっ!稼いじゃうんだからっっっ!!!』と意気揚々に唄い始めたがレスポンスはここでも同じようなものだった。まぁ僕なんてそんなもんさ。

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まぁ、本番は夜!夜!

適当なところで切り上げてPenny Boardをプッシュしてフリーダム・スクエアを目指す。節約するためにメトロには乗らずに歩いてフリーダム・スクエアを目指した。



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肝心のフリーダムスクエアに来たものの、どこに行けば人がいるのかわからなかった。てかバーってどこにあるんだよ?そりゃいくらかバーは見かけたよ?でも僕が探しているのは「バーのある通り」なんだ。

周辺をウロウロして時刻は21:00。しかたない。メトロの前でやって終わりにしよう。メトロの前でシャウトする。人々と目さえ合わない。はぁ、ノらねえなぁ…。


そんな僕に「何してんの?」と二人の男が僕に声をかけてきた。

片方はメガネをかけてくしゃくしゃした髪をしている。もう一人は背も高く屈強は感じだ。

「えっ?何って、バスキング?」

「よかったらおれらとメシ行かない?」

えっ!!??何を突然?時刻も時刻だしな…。もしかして時刻も時刻だしな…。騙されるんじゃないか?

「なぜ?」

「なぜって?さあ?」

メガネをかけた方が応える。

ははは(笑)

その一言を聞いて僕は彼らについていってみることにした。

ついて行った先が僕の探していた「バーのある通り」だった。バスカーはいないまでも、店の前でマイクを通して唄っているミュージシャンがいる。なんだ。こんなところにあったのか。お洒落なバーがいくつも見つけた。お酒の飲めない僕でも思わず入っていきたくなる。歩きながら二人が何をしているのかさぐりを入れた笑。

背のデカいお兄さんはグルジア人でエレバンと言った。アーティストをまとめてイベントをしかけるアート・マネージャーだと言っていた。9月頃のイベントで日本人のアーティストが二人出るらしい。メガネの方はアメリカ人でダスティン。グルジアに2年住んでいるらしい。僕と同じ25歳だった。

しばらく歩いて二人が入っていたバー。外のテーブルにはお客さんでいっぱいだった。見た感じで分かる。ここは僕の好きなバーだ!

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店内のテーブル席はなぜか空いていた。

店内にはジャズやエレクトロがうるさくない程度に流れ、内装や小物の効かせ方に思わずテンションが上がってしまう。地元の行きつけのバー、「Chit Chat」を思い出す。バイト時代によく行ったバー。そこの雰囲気とどこか似ていた。そこのバーにしかないオリジナルな空気が流れるお店だ。

「今日はおれらが誘ったからね。好きなの頼んでいいよ」

えっ?マジで!!??でも、悪いなぁ~。

「じゃあラム・コークとツナ・サラダで(笑)」

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先に来たドリンクで乾杯し、軽く自己紹介をする。

ぺちゃくちゃとお喋りするとすぐに酔いがまわった。いい気になって名刺を二人に書く。やっぱアルコールが入ると名刺も面白いのが描けるな♪酔拳だ!

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「いやぁ~!これいいな!よかったら俺の名刺もデザインしてくれないか?」

マジで!!??

「えっ?こんなわけのわからないのでいいの?」

「そこがいいんだよ」

と、スルスルと商談が成立した。

ギャラはもちろん今回のラム・コークとツナ・サラダ笑。

バトゥミに住むというエレバンに出来た名刺を届けるというミッションも成立した。なんだか一気に面白くなってきたぞ!

クリエイティヴ・マネージャーのエレバンが今度のイベントで招いている日本人アーティストの音楽を聴かせてもらったが、プロのものだった。

音楽と漫画じゃジャンルはもちろん違うけど、おれみたいなペーペーとじゃ全く比べ物にならないクオリティ。

「じゃ、そろそろ出ようか」

一時間もしないでエレバンがお会計を済ます。

「クラブ行くけど、一緒に行く?」

「い、イエス!」

ライブはあってもクラブなんて行ったことがない。ましてや海外のなんて。



街灯の少ないトビリシの街を歩く。

建物の外には警備員が待機していた。ここなら大丈夫そうだ。入り口のフロアではMacを開いたDJが無難な音楽を鳴らしていた。

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僕たちは屋上に出た。ダスティンたちの知り合いがそこにはいて、彼らはここでもビールを飲んでいた。遠くの方に夜景が見えた。夜のトビリシってこんなだったんだ…。

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終電が気になった僕は23:15には彼らにお礼と別れを告げてメトロに乗って宿まで戻った。アルコールが回って火照った体に夜風が気持ちよかった。毎度のことだけど、バスキングからこんなに繋がるなんて。

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。