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冬の京都で過ごす 15日目 立春

5時半に目が覚めるが早いので二度寝して備え付けの目覚ましのアラームが鳴った7時に起きる。
コーヒーを飲んでからヨガ10分。窓を開けると朝日が隣のビルを照らしているのが見えた。こりゃ、今日は晴れるぞ。

山田洋次監督「幸せって言葉はあいまいな言葉でね。」「映画っていうのは死のうと思う人間を生き返らせる力がある、だから真剣に作らなきゃいけないよ」「次はドタバタナンセンス大喜劇を作りたい」

「…寅さん、人間は何のために生きてんのかな」
「生まれてきて良かったなって思うことが何べんかあるじゃないか。そのために生きてるんじゃないかな」

8時、ゴミ箱とタオル類を廊下に出して、エレベーターに乗ったところでスマホのアラームが鳴ったので止める。

今日は上賀茂神社に行く。そういえば京都御所では餅つきが行われるらしいので、もしかしたら餅も食べられる日になるかも?

くしゃっと捨てられたゴミ ライオンの子によく似てる

いい天気だとランナーをよく見かける。ランナーはいい道を知ってると思う。長く続けるには、走りやすくて、面白みがあって、ゴールには達成感のある道が必要だからだ。ランナーの後に続いて曲がったものの、早々に見失ったので適当に歩く。

今日も京都御苑を通っていく


京都御苑を御所に向かいまっすぐ歩いていると大きい掛け声が聞こえたのでそちらに歩みを向ける。

白雲神社とある。餅はなくおじいさんが一人。なんだろ気合い入れかな?財布に残ってる2円を賽銭箱に入れて柏手を二回。

白雲神社にもご神水がある


昨夜の雨か朝露が松に残る



梨木神社からは大きいボトルを2つ持ったおじさんが出てきた。水汲みだろう。

野趣味がある木が多い


角からランナーか出てきた、と思ったら小学生だった。共通点はどちらも半ズボンで走っている。

出町ふたばは土曜の行列。甘いものは断念して先に進む。

今日は30人はいる


9時5分、葵橋から上賀茂神社まで3キロ、走れば20分くらいだろう。


鴨川沿いを歩く。

鴨川の段になっているとのろに鴨は近づかないと思ってたけど流れにまかせて下るやつもいたから、音ほど激流ではないのかもしれない。

縦になって3人でキャッチボールしてる、大人3人。真ん中は忙しい。

北大路橋をくぐると1段気温が下がった気がする。

飛び石を渡る。

あんまり鴨いないと思い始めた矢先に鳥だまりに遭遇する。


山に書かれた船が見えてきた。


そろそろ次の橋で川沿いを離れたところですぐに上賀茂神社の鳥居が見えた。もう9時50分。ちょうど始まるところだった。


空手の奉納が始まる。

「いちまーい」「はーい」

「割れた板を子供に渡してくださーい」

「先輩が4枚ー」「はい、黙ってー」
「ハッ!」バキッ「「「おー」」」

「大人入ってくださーい」

「めがね外してーめーがーねーはーずーすー」「こら、しゃべるな!」

「はい、じゃあ、組手!」

「顔がつよい」「圧倒的される」


「ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃしゃべらなーい!」


地面が馴らされ、半畳が置かれる。そして選手が入場し、座する。


「えーみなさまおはようございます。夜半からの雨も上がり、建国記念日のお祝いに、ふさわしい日になりました」



「目代(師範代)から鞠足の最高位が鞠を受け取ます。鞠足は鞠場の中央で袖に隠して鞠の紐を解きます」「鞠場の真ん中に鞠を置きます」「元の半畳に戻ります」


「今日の良き日にほかの武闘家の方々と我々も蹴鞠を奉納さしていただける。」


「のきから順番に決められた位置に立ちます」「鞠はだいたい8人で蹴ります。小さい鞠場なら6人。でも基本は8人です」

まりー まりー と掛け声を出しながら蹴る。

試合終了

「二座以降は8番が鞠場の真ん中に鞠を置きます。おきまりといいます」

「右足の親指の付け根で蹴るのが作法です。実は、右足のひざ、曲げては行けない。振り子のように蹴らないといけない。お稽古をたくさんします」

まねする人が多数。

「鞠場は、松、桜、柳、楓で四季を表す木を根付きで植える。現在は切りたての竹」
「ありー やー おー と、声。出すのは、鞠の精が四季木に降りてこられ、次に鞠に降りてきて、鞠が長く続けられるようにということで」


2試合見たところで神社をあとにする。

「今日は体調不良でお休みなんです」「いるの知らなかったんです」「機嫌が悪いんです。獣医さんもいないし」「具合が悪いとそうですよね」


ミニストップで抹茶ソフトを食べる。

映え殺しだけど、ミニストップ、一生推す
映えのある花

食べながら金閣寺に向かう。まだ12時。

金閣寺


「久々に見れて良かったね」「こんなだったっけ?」

3枚目で入り、ガッツポーズ

おじさんが外していて金持マダムに怒られてた。入っても入らなくても楽しい。


石不動を見て急に記憶が蘇る。あったあった!


ここでメモリーカードがいっぱいですの表示。

龍安寺までの途中のファミマでSDカードを購入。ファミマも一生推す。

龍安寺に入る。
「すみませーん!エクスキューズミー!」
チケット売り場のお姉さんに呼び止められて入場料を払わず中に入るところだったことに気づく。お金を払ってチケットを受け取って踵を返したところで「おつりー!」とまた声をあげさせてしまった。ぼーっとが続いている。


仁和寺

五重塔があるということは空海


まだ日が浅いので適当に歩いてみると猫がいた。京都は猫が多い。


花園まで歩いたところで喫茶店に入る。入ってすぐのテーブルにおばあちゃんが5人はいる。もっといるかもしれない。

「ほら若い子やで!」アッハッハッハッハッ

「やっと食べたもん分かったわ、天ぷらや」「じゃこのな」

席に座り、ホットコーヒーを頼む。カウンターでは焦げた雪平鍋からコーヒーが注がれる。

「人間はな、しゃべらなあかんねん」「ごちゃごちゃ言いなさんな」

「活気のある店とない店すぐ分かるな」「しかし、この和食、おいしかったなー」「お金使うことないねん」「カットもない、化粧品もこうたことないー」「よういうな」

カウンター内ではカキーンカキーンと響かせながステンレスのトレイを洗い始めた。

「だってさ、ほんまの話やもん」「ほんと昔の、聞かせてあげたい。びっくりすんのや」アッハッハッハッハッ

「もう、ちょっと、やめてーな」アッハッハッハッハッ「鼻がええねん!」「あんたもアカン、わたしもアカン、鼻がね」「わたしな、もうちょっと鼻があれやったらこのへんおらんで」「知らんで」

「おかあちゃん、ちょっと財布見せなさい」「あー息子さん?」「35、6」「35、6?」「45、6!」「お孫さん?」

BGMが欧陽菲菲のラブイズオーバーに変わった。おばあちゃんらが恋の話をし始めた。

「わたし、男遊びはせんかったん。この人以外、付き合っとらん」「20年なるよ、お父ちゃんしんで」急に親身に聞き入るおばあちゃんら。
「かしこい人やから束縛されるとあかんくなんねん」「分かったのは、人は束縛したらあかんねん。自由に生きることを認めなあかんねん」「でもさー幸せなんでしょ?」

「そんでええねん!言ってますやん!」別のテーブルに座るおじいさんの声が急に大きくなる。

アッハッハッハッハッ とおばあちゃんたちの笑い声。

お支払いは350円。花園にしてはお手頃だった。


「焼肉と生ホルモン」という看板を見て夕飯にしようと決めたが、精肉店だった。もうたまらんと、すぐ先にある都饅頭で村雨を買って食べながら歩く。


千本丸太町の交差点近くにあるカレーの屋に入る。今日はカレーのではなくマトンビリヤニにした。それとパパド。

パパドが先に来た。これも辛い。マトンビリヤニを激辛にしたが大丈夫だろうか。

マトンビリヤニもきた。シェフが食べてるのを見て「大丈夫ですか?」と声をかけてきた。ぎりぎりおいしく食べられる辛さ。

熱くないのにフーフーと吹いてから口に運ぶ。

アイスが出てきた。「デザート、サービスです」

ホテルまでの帰り道、朝見たテレビで言っていた「生まれてきて良かったなって思うこと」があるかなと考えていた。

しばらくして、わりとあるわ、と思った。

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