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秋は好き。だけど、嫌い。

夜風がひんやり心地いい。少し肌寒い。蝉がうるさくない。

もう、秋か

なんとなく空気が夏とは変わった気がして
今年も秋が来たんだなって。

秋は好き

べたべた暑くない
空気はさらっとしてる
空は高くて
食べ物がおいしくて
自分の誕生日があって
読書とか絵描きとか、なんとなく
大人な趣味を始めてみたくなったり
大好きな夏は今年もあっという間に終わっちゃったななんて考えてみたり

だけど、秋は嫌い

紅葉は好き。
真っ赤に燃え上がった山々も
澄んだ空も秋の匂いも。

けれど、綺麗に赤くなった木の葉たちは
冬支度を始めたしるし
冷たい風に肩をすくめれば
「ああ今年も、寒い寒い冬がやってくる」

冬は嫌い
夏には鼻歌歌いながら歩いた道も、
うつむいて北風に耐えながら急ぐ道になる。
去年の冬は涙の冬。泣いて、目をはらして、ぐちゃぐちゃな感情と空っぽな心。

一人、必死に走り続けた。止まることも、戻ることもできず、ただただ走った。そんな日々

そういえば冬が好きな年が一度だけあった。
もう随分と前のことに感じる。
そんなことはないのにね。

「冬はきらい。大嫌い。
だけど、こんな風に君と過ごせるなら、
さむい冬も悪くないかもね。
さむいねって言ったら
さむいねって返ってくる
幸せ。」
そんな冬。

今年はもう一度、これからはずっと、
冬のことも好きになれるかな。

なんて、冬を想わす秋の夜風

#秋 #エッセイ #コラム #ポエム