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[The ATAMI YOUth] ワクワクするほうに走っていきたい、おばあちゃんになっても。量り売り『naked』めめさんの物語

The ATAMI YOUthは熱海に関わる20代から30代のユース世代に注目して、彼ら彼女らの想いや価値観、これからの活動を取り上げたメディアです。

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静岡県湖西市出身の吉田恵さん(29歳)
銀行員から熱海のまちづくり会社 株式会社machimoriに転職
会社員として働きながら量り売りnaekedを運営

第1弾は熱海のまちづくり会社machimoriのwaiting Bar MARUYA Terraceで店長をしている傍ら、量り売りnaked(ネイキッド)を運営している吉田恵さん(めめさん)。
彼女がmachimoriと出会い、量り売り屋を始めたのか

【自己紹介】

静岡県の一番西にある街、湖西市で生まれ育った吉田 恵です。
1日の大半を占める仕事にやりがいを求め、新卒で入社したJAバンクを3年勤めた後退職、2018年に縁もゆかりもなかった静岡県の一番東にある街、熱海へとやってきました。

※JAバンクを退職した経緯についてはこちらから↓

【machimoriとの出会い】

まちづくり? え、街って作れるの?

仕事を先に辞めちゃって、時間もできたし、まぁーちょっと遊びに行くかみたいな感じで、熱海へ行こうとネットで検索をしました。

そしたら、たまたま熱海で公園を使ったシェアスペースの運営のクラウドファンディングに挑戦している方の記事が目に入ってきて、「面白いことしている街なんだなぁ」っていうのが第一印象でした。

その挑戦している方が熱海でする理由が、今の会社(株式会社machimori)の代表、市來さんがいたからと書いてあり、そこからguest house MARUYAのことを知り、調べるようになりました。

調べてみると「へぇーこんなところあるんだ、ゲストハウス って何だ?知らないぞ。まちづくり? え、街って作れるの?!」みたいな。
「街って作れるんだ!」って当時とてもわくわくしました。

地元が好きなので勉強していつか、私がうまれた街、湖西もわくわくする素敵な街になったらいいなと思い、本当にそれだけで熱海へ来てしまいました。

【熱海に住んでみて】

面白い街って実感するまでちょっと時間がかかった

実際に熱海へ来た当初は、友達もいないし、知り合いもいないし、土地勘もなかったので苦労しました。
生活に慣れるのに必死で、生きるのに精一杯。家もなかったですし、仮で住んでいた家はシャワーが水しか出ないなど、たくさんの苦労がありました。

ですが、今思えばあの歳で経験できたのはよかったと思います。だから、「面白い街だな」と思って来たけど、それを実感するまではちょっと時間がかかりました。
でも今振り返れば、あの頃が一番楽しかったかもしれないです。

そして、当時と変わらず思うことは熱海に関わる方はみんなとってもウェルカムだと感じます。「よく熱海に来てくれたね、熱海で何したいの?」って地元の人たちや、私より先に移住してきた方達が声をかけてくれました。

【machimoriで働いてみて】

売り上げだけではない「想い」の部分を大事にしたい

machimoriでの業務は、guest house MARUYAの接客と清掃、プランの開発、そして現在はwaiting bar MARUYA Terraceの店長として運営から企画、商品開発までを行っています。

machimoriでは「やりたいと思うなら企画書をつくってどんどんやってみな」と言ってもらえます。

やってみて思うような結果がでなくても、そこから得られたことを軸にまた企画して・・を繰り返し行なっています。
チームで動くからこそ、みんなを納得させられるような提案力はついてきたなと実感しています。

また私自身、売り上げだけではない「想い」の部分を大事にしたいということに気づくことができました。

こうしてどんどんmachimoriで経験させてもらったことが「量り売りnaked」を始める原動力につながったと思います。

選択しない限り悩みは同じだからとりあえず「やっちゃう、やってみる」が根底にある

昔から、「とりあえずやってみるか」と思うことはよくありました。
JAバンク時代に1週間の休暇をもらった時、一番に完成前のサクラダファミリアを見にスペインへ行きたいと思いました。

海外へ1人で行くのは初めてではなかったのですが、「ヨーロッパ旅行に1人 かぁー...」とすごい寂しい気持ちになってしまい、ギリギリまで悩みました。でも「明日からあなたは一生海外へは行けません」って言われてしまったらと考えた時に、寂しいという理由で行かなかった自分は絶対後悔するなと思いすぐにチケットを取って行きました。

だからJAバンクも辞められたんだと思います。辞めて収入が減ったらどうなるんだろうとかは、もちろん考えましたが、結局、何かを選択しない限りは何も進まないなと。

いろいろ悩んだりするけど、選択しない限り悩みは同じだからとりあえず「やっちゃう、やってみる」が根底にあるんだと思います。

その精神はmachimoriに来て、やれる環境と応援してくれる仲間がいることで拍車がかかっていると感じます。

【量り売りnaked】綺麗な地球を未来の子供達に残してあげたい

machimoriは「100年後も豊かな暮らしができる熱海を自分たちで作る」というミッションを掲げています。(余談ですが私はこのミッションがとても好きです。)

元々、パーマカルチャーの理念など自然体で暮らすことに興味があって調べたり実践したりをしていました。なので、環境問題のニュースが流れてくるとつい見いってしまって、心がざわつくというか、何かしないとこの先まずいんじゃないかと思う自分がいました。

そんな時に、海外で毎週金曜に気候変動に目を向けてもらうための「学校をサボるストライキ」を行う少女のニュースを知りました。

その活動を知って「たった1人の力でも周りを巻き込んで、社会を変えることができるんだ!」と。勇気ある彼女の行動に賞賛を送ると同時に、何もしていない自分が情けなくなりました。

※FridaysForFuture(未来のための金曜日)「気候危機」に対して、政治家たちや大人たちに『危機』だと認識し、優先課題として注力して取り組んで欲しいとスウェーデン総選挙の投票日まで毎週ストライキ活動をしている内容だった。その活動は選挙後も行われて、2019年3月には全世界125カ国で100万人以上の学生が参加するほどの活動となった。

さらに、水不足で戦争が起こるかもしれないと言った本や50年後には海を泳ぐ魚よりプラスティックの数が多くなるかもしれないということを知って、「何かしないとやばいんじゃ」と思うようになりました。

私に何ができるかと考えた時に、ふと熱海へ移住したての頃、誰も知らない土地で1人寂しかったことや、スーパーで買った食材が1人では使い切れずに腐らせてしまうことが何度もあったことを思い出しました。

machimoriが掲げる「100年後も豊かな暮らし」を実現するためにわたしは「100年後も綺麗な地球と100年生きられる健康な身体をつくろう」と思い、構想期間を経て、パッケージフリーのオーガニック食材の量り売り店「naked」をしようと決めました。

環境問題を問題として捉え、行動を起こし社会を変える活動の流れを起こすことが役割

量り売り店の構想は2年くらい前からすでに始まっていましたが、なかなかすぐには行動に移せませんでした。
忙しくて時間がないとか、今の仕事はどうするんだとか、果たして買う人はいるのかなど今考えたら理由にならない理由を並べていました。

そんな時、2021年7月に熱海市伊豆山地区で大規模な土砂災害が発生しました。発生数日後やっとスタッフ全員参加で開催されたミーティングの際に、今の思いを噛み締める時間として瞑想の時間が設けられました。私にとってはとても大切な時間で、これが大きく背中を押してくれることとなったのです。

死というのは自分が思っているタイミングではこないかもしれない。死が近づいた時にあれやっとけばよかったなと後悔したくない。あぁもう大満足、めいいっぱい生きました!って。あと絶対にこの災害を繰り返してはいけない

復興活動としてボランティアに行くとか、お金を寄付するとか、伊豆山の為にやれる活動や手段はいくつもあります。私に何ができるんだろうと考えた時に最初に浮かんだことが、見て見ぬ振りしていた環境問題を問題として捉え、行動を起こし社会を変える活動の流れ起こすことが役割だと思ったのです。

草の根活動のほんの一部でしかないかもしれませんが、私は私がやれることをやろうと。人災かもしれないけれど尋常じゃない量の雨が降ったのは確かです。根本を変えなければ問題はまた起きます。

SNSのアカウントの鍵を外して、自分が思っていることを発信する

まず最初のアクションとして、私がこういうことに関心があるんだということをしっかりと発信しようと思いました。

これまではInstagramやFacebookには特定の人だけが見れるよう鍵をつけていましたが、全部外しました。

不特定多数に見られるということはもちろん反対意見や、私のことを嫌う人が出てくると思いますが、そのリスクを負ってでも、知ってもらえるメリットの方が大きいという意識に変わっていったので、鍵を外し発信を行っていきました。

【nakedを営業して】

同じ想いを話せて共感できる友達っていいな

nakedの営業を始める前に東京での量り売りの研修に参加し同じ思いを持った方と出会うことができました。
環境問題のことや量り売りの楽しさなどを話せて共感できる友達が周りにいるのっていいなって思い、nakedも共感する人が集まる店づくりをしたいなと思っていました。

そして迎えた営業初日。営業日の2日前にしか告知ができず、本当にどんな人が来てくれるか心配だったけど、こんなに興味がある人がいるんだって驚くくらい、たくさんの方々が来店してくれました。

そして、みんな、瓶や容器を持ってきてくれていたので、「お家を出る時に、nakedを目的地の一つとしてくれたんだ」と実感しとても嬉しくなりました。

興味がある方たちがnakedに集まってきてくれるのが、東京での研修をした時と同じ感覚でそれも嬉しかったです。

今は以前から知っている方がお友達を連れてきてくれたり、たまたま、お店の前を歩いてた方がドライフルーツの入ったカラフルな瓶に惹かれて購入してくれています。
そして、これからも来てれる人たちに、もっと私のことを知ってもらって共感できる友達が作れるといいなと思います。

これまで築いてきたコミュニケーションだったり人脈があっての結果

熱海に来て今年で4年が経ちましたが、この4年間で自分が関わってきた人がこんなにたくさんいるんだと、初日に来てくれた方を通じて感じました。

「めめが築いてきたコミュニケーションだったり人脈があってこそあの人数のお客様が来たのだよ」と熱海で可愛がってくれるお姉様方に言われましたがうるっとしてしまいました。

本当に知り合いも1人もいなかったけど、こんだけの方がわたしの想いに共感してお金を払ってくれているんだなーと。嬉しいというか有難いしかないですね。

個人としても、MARUYA Terraceとしても輪が広がる場所ができた

6回目を終えてたくさんの人から声をもらうようになりました。
「nakedがある火曜日が楽しみ」と言ってもらえたり「身体と環境にいいことしてると思うと幸福度が上がる」と言ってもらえ、誰かの楽しみや幸せをnakedが作れているというのが本当に嬉しいと感じています。

また最近は「こうやって食べたよ」とか、「こんな風に料理したよ」っていうことも報告に来てもらえて、常に来てくださる方も増えてきたんだなと実感しています。

面識がなかった方も誰かの告知で知って来店してくださりmachimoriで働いているだけでは出会わなかった人との出会いがnakedを通して出来てきています。

さらにMARUYA Terraceの店長としては、定休日の使っていない時間帯に場所の貸出をしていきたいと考えていました。

nakedは固定の店舗を持っていないのでMARUYA Terraceの定休日を借りることができるのがメリットでもあるし、MARUYA Terraceとしても休みの日にシャッターを開けて迎えてくれる人がいることがメリットであります。
nakedとして、店長として、自分で実演をしている感じです。

そうして何日か営業をしていたら、nakedに来てくれたお客さんの紹介で、新しくお弁当の販売が決まったり、ヘッドマッサージの出張をしてみたいという声をもらうことができました。

こんな風に面白いことが表現できる場所でありたいですし、チャレンジを応援できる場所でありたいなと思います。そして利用者さんたちが熱海のプレイヤーとなって繋がっていくのがMARUYA Terraceとしての目標と考えています。テラスとしても個人としても輪が広がる場所がnakedを始めたことでできて来ているんだなと実感しています。

【これからの量り売りnaked】

色んな人が無理のない程度で、大事だよねって思える店づくり

私が移住したての頃、誰も知り合いがいない中、話せる店主がいるカフェが救いだったし、腐らせないように好きな量だけ買える店が欲しかったなと願うように、熱海で一人暮らしの若者や、仕事だけのコミュニティで地域に友人がいないという方がnakedを知ってきてもらって、街の輪のコミュニケーションにどんどん入っていけるような店作りをしていきたいし、繋ぎ役として担っていきたいなと思います。

そして、nakedのミッションである「100年後の地球をより良く、100年健康で生きる」ということを色んな人が無理のない程度で、大事だよねって思える店にしていきたいと思います。

美味しいものを目当てにnakedを利用してくれる方も多くて嬉しいのですが、使い捨て容器を使わないというアクションに知らないところで実は参加していることも嬉しいことです。

なので、環境問題というと大きく聞こえるかもしれませんが、別にそうではなくて、日々のことを少しずつできる範囲でそれぞれが変えていけば、とっても良い社会や地球が作れると思います。
そして、未来に生きる子供たちへ残す地球が、今よりも素敵な地球であったらいいなと思います。

一個人で思っていても何も変わらないから、やらないんではなくて、1人の女の子が100万人のストライキを生み出したように、何かみんなでアクションを起こすキッカケになっていくお店でありたいと思います。


これからのめめさんの目標

誰かの成功や挑戦をちゃんと応援できる人でいたいですし、私自身もみんなに愛されて応援してもらえる人生でいたい

いつかは固定の店舗を持ちたいなと思います。nakedの商品を増やして、それを使ってお惣菜を作れるようにしたらランチが食べられるようになりますし、それを買って帰れるようにしても面白いなーと夢は膨らみます。

そして、その店舗が休みの時は誰か別の面白い人に貸して、その店舗自体が「とっても面白い場所」となるようにしたいのが夢。いつか実現するのかしら・・

そして、個人としても「やりたいと思うことをとりあえずやってみる」という精神をおばあちゃんになっても忘れないで生きていきたいです。

machimoriに「Having Fun」というバリューがあるんですけど、ワクワクすることに首を突っ込んでいって、知らない世界を知って「わー!なんだそれ!」って驚いていたいです。

またもや余談ですが、顔馴染みの仲の良いおじさまに「最近、驚いたことや新しく知ったことある?」って聞いたら「お前、50年も生きていたらそんなことないわ(笑)」って言われてしまい、そんな大人にはなりたくないなと思いました。50歳ってまだまだ半分ですからね!

何歳になっても誰かの成功や挑戦をちゃんと応援できる人でいたいですし、私自身もみんなに愛されて応援してもらえる人生でいたいなと思います。

そして、ワクワクするほうに走っていきたい、おばあちゃんになっても。

最後に

面白いことを「これ面白そう!」って気づくアンテナが大事だと思います。そのアンテナの感度を磨いてくれたのはmachimoriだと思います。

だからmachimoriを辞めてnakedをやるっていう選択肢はなかったです。関わり続けながら新しい挑戦をしていくことが、一番面白いかなと思っています。

わたしは100年後も豊かな暮らしを熱海でするために、100年後も綺麗な地球と健康な身体をつくります!!


【量り売り nakedとは】

ドライフルーツや茶葉などのオーガニック商品をパッケージフリーの量り売りで販売する店舗を持たないお店。

利用者は家から、空き瓶やタッパーなどを持ってきて、好きなものを必要な分だけ買うことができる仕組み。
出店場所、取扱商品は随時受付中。

営業日はInstagramのアカウントで公開中です。
Instagram @hakariuri.naked

インタビュー:Sugi
写真:Sugi
Twitter @AtamiSugi

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