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旅とレピドライト
2020年5月6日 20:54
光一つも射さない暗がりで、男が喋った。逃げ場所のないそこでは、声はとてもよく響いた。 「今日も、いい具合だった。完璧に、敷地の外に煤の一欠片も出さないで燃やしてやったよ」 「…………」 「なんだなんだ? 黙りこくって。完璧な仕事ぶりに嫉妬したか?」 男は上機嫌であった。子供が自慢するみたいな口ぶりで話している。ライターを取り出して、タバコに火をつけ始めた。 今日は特に完璧だった。男はそ