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豊かな世界を作るためのSDGsと観光ツーリズム【POOLOレポート・江藤誠晃さん】

みなさん、こんにちは!TABIPPOライターの西嶋です。

今回は自分と世界の豊かさをつくるニューノーマルトラベラーが育つ学校「POOLO」で行われた講義の様子をレポートします。

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さて今回は、2月26日にオンラインで行われた講義 「豊かな世界を作るためのSDGsと観光ツーリズム」の様子をレポートします。登壇者は、ツーリズムプロデューサーで作家の江藤誠晃さんです。

登壇者 江藤誠晃さん

BUZZPORT 代表取締役
 
ツーリズムプロデューサーとして国内外各地の観光プロジェクトに携わる他、各種トラベル系コンテンツのプロデュースを重ねる。旅行作家としての活動も長く真名哲也のペンネームでドキュメンタリーからネット小説まで多岐に及ぶ作品をリリース。現在はDMOのマーケティング事業や「観光甲子園」「大学生観光局」などの人材育成事業をプロデュース。2021年4月にSDGs思考で未来社会を構想する私塾的コミュニティ「nojuku」をローンチした。

SDGsって?

近年、「SDGs」という言葉がバズワードになっていますよね。とはいえ、日本ではまだまだ認知度が低いのもまた事実です。みなさん、SDGsについてどの程度知っているでしょうか。

SDGsは、2015年に国連加盟国全193カ国が合意して掲げられた、2016年~2030年の15年間で達成する行動計画のこと。17の目標と169のターゲットによって構成されています。

大切なのは17の目標を暗記することではなく、SDGsを知って知識を知恵に変えていく、一人ひとりの行動です。SDGsを起点に、一人ひとりが生き方をどう変えていくか。私たちはいま、それを考えていく必要があります。

西脇市の取り組み

ここからは、僕が取り組んでいる「サステナブルツーリズム(持続可能な旅)」の仕事についてご紹介していきます。

そのひとつがANAの「ANA Journey+」。「地域社会課題解決・地方創生・チャレンジ」をキーワードに、新しい旅をつくるプロジェクトです。

僕は兵庫県の観光プロデューサーとして、「ANA Journey+」で地方創生の旅を2つ企画しました。

1つ目は、播州織で知られる兵庫県・西脇市。後継者不足により産業が衰退し、街の人口も減少していました。

播州織の世界に惚れて西脇市に移住したのが、玉木新雌(たまき にいめ)さんです。播州織を使ったアパレル商品のデザイナーとして、播州織の復活に尽力しています。

玉木さんは、山の中にある工場をラボにして、80人のスタッフを集めました。この中には、「ファッションをやりたい」という想いで全国から集まった若者が50人含まれています。こうした人たちが古民家で共同生活をし、コミュニティを形成しているのです。

日本のコットンはほぼすべてが輸入。そんな中、玉木さんは、遊休耕作地の畑を借りて、オーガニックコットンをつくっています。今回のツアーでは、参加者にコットン摘みを体験してもらい、「いま着ている服がどこからきているのか」を真剣に考えました。

南あわじ市の取り組み

2つ目は、兵庫県・南あわじ市。過疎が進んでいて、2021年だけでも3つの学校が廃校になっている地域です。

南あわじ市でやったのは、廃校になった学校を、世界中から人が集まる「旅の学校」にするという取り組み。

地域を守るこの取り組みは、SDGsの表現を借りると「誰一人取り残さない」ですね。廃校に人が集まることで、地域に雇用が生まれるというメリットもあります。

問題は、都会の人が地方に行きたいと思ってくれるかどうか。ワーケーションの場にする、企業と団体契約するなどといった方法を検討しているところです。

僕は、「サステナブルツーリズム」を通してすばらしい街をPRし、日本に住んでいる人たちが国内を行き来する旅行市場を創出しようとしています。国内にもうひとつのふるさとをつくってもらうのです。

こういった旅がどのくらい可能か、第二のふるさとをつくりたい人がどのくらいいて、その人たちが今後、どんな活動をするのか。そうしたことを考えながら、旅をプロデュースしています。

次からは、みなさんの質問に答えていきましょう。


Q. 江藤さんのようなお仕事をするには、どんなスキルが必要でしょうか?

26歳で起業してから30年近く、「自分ごとは世界ごと。何とかしなければいけない」というピュアな気持ちで取り組んできました。必要なスキルや知識は、座学で得るというより、ひたすら日本と世界を歩いて学んでいます。

また社会に認めてもらうために、人脈づくりを徹底しました。同じ価値観の人が集まるコミュニティをつくれることが、これからの時代におけるグローバル人材のアセットだと思います!POOLOのみんなは既に、この点で抜きん出ていますよね。

仕事をするなら、楽しみながらやれるのが一番だと思いますよ。僕自身、海外に行きたくてたまらなかったことが、いまの仕事につながっています。

Q. 江藤さんの手がけられている「サステナブルツーリズム」は、SDGsの17の目標のうち、特にどれとかかわっているのでしょうか?

スウェーデン出身の研究者、ヨハン・ロックストローム博士が考案した「SDGsウェディングケーキモデル」を使って、SDGsを構造的に理解してみましょう。

ヨハン・ロックストローム博士は、社会は「経済圏」「社会圏」「生物圏」という3つの階層で成り立っているとしました。上から「経済圏」「社会圏」「生物圏」という順で重なっているのは、生物圏が安定していないと社会圏と経済圏は成り立たないということ、同じく社会圏が崩れれば経済圏もまた崩れてしまうということを示唆しています。

そしてこの3層それぞれに、17の目標を振り分けました。頂点には目標17の「パートナーシップで目標を達成しよう」が置かれています。

僕は地域に入って、この3層をつなげる取り組みをしているのです。たとえば先ほど紹介した西脇市では、畑から消えたコットンを取り戻す取り組みをしていますよね。これは輸入依存体質になった日本が「国産」の価値を見直す取り組みでもあり、飢餓や健康の問題にも通じるものだと考えています。

南あわじ市での底引き網体験は、目標12の「海の豊かさを守ろう」。プログラムを用意し、人を呼び込むことで、漁業に携わる方の生活を少しでも支えられればと思っています。そしてプロジェクトに参加した子どもたちは、自分で釣り上げた魚をその日に食べるという体験をし、貴重な食べ物がどこからきているかを理解します。

いずれの取り組みも、目標4「質の高い教育をみんなに」につながるでしょう。スタディツーリズムとして、学校では学べないことが学べる旅になっていますから。

SDGsの目標は、一つひとつが独立しているのではなく、すべてがつながっている。この構造を理解すれば、「海を守ることが新しい産業をつくることにつながるかもしれない」「●●とパートナーシップを組めば、社会課題を解決できるかもしれない」などといった考え方ができるようになるはずです。

サステナブルツーリズムはボトムアップの取り組みです。日本全国、そして世界中で、課題を抱えている地域が「この課題をなんとかしよう」「明かりを絶やさないようにしよう」と立ち上がったときに、SDGsは達成すると思っています――。

江藤さんのこの言葉が印象に残りました。
江藤さん、ありがとうございました!

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