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タビオから次々とヒット商品が生まれる理由とは?


-「ストッキング感覚で履ける靴下」の誕生秘話

昨年2023年秋より、外部モールのAmazonで人気のあった靴下があります。その商品の名前は「チュール透けハイソックス」。これが、この春からリアル店舗、自社EC含めた全販路で大ヒットしている。そして酷暑だった夏を経て現在でも売れ続けている。その理由ワケを振り返ります。




「誕生はいつ?」


世の中では、昭和のオヤジソックスと言えば透け透けの靴下。というのが「紳士靴下」の代名詞で巷には溢れていました。婦人ソックスでは、私が学生の頃四十年前に露天の雑貨店などで安売りされているのを覚えています。

−タビオでは、遡ること20年前。当時、天然繊維しか許さなかった厳しい創業者の会長越智直正がデザイナーの熱意に負けて商品化を認めました。それをショセットブランド現在のTabioブランドの担当MDとして、商品チェックで会長宅に訪れていた時に、偶然目撃した私はとても驚いたのを記憶しています。


「第一次ブーム」


いよいよその商品リリースがされます。すると新宿ルミネ店で人気が爆発します。マーケットから忘れ去られた透明靴下が、「チュールソックス」=シースルーとして見直され、ヤングファッションのレッグアイテムとしてブレイクし、トレンド商品として一世風靡いっせいふうびしました。

※2010年の画像


「春夏の定番として定着」


その後「リボン柄」や「ハート柄」バリエーションが増え人気はピークを迎えるも、数年でブームは落ち着きます。数型が定番となって継続されることに。



十年前くらいからレース柄として、不動の定番に成長。「チュールソックス」として完全に定着します。


フロントレース柄
フローラルレース柄




「機能アイテムとして再注目」


時を同じくして注目されていたのが「カバーソックス」。こちらは業界七不思議の一つとして呼び名がたくさん存在しています。ピンとこない方も多いと思いますので画像をご覧ください。

いわゆるシューズから見えないタイプのソックス

「ペッツ」「ゴースト」「パンプスイン」「フットカバー」などなど。岡本さんでは「ココピタ」として有名ではないでしょうか?

タビオでも全盛を迎えていたカバーソックスの唯一の欠点が「脱げる」でした。当然と言えばそうなのですが「履ける」ものは必ず脱げます。着脱がスムーズなことも大事です。より脱げにくい状態を各社が研究開発をして、タビオはニット(編み機)にこだわって「無縫製」タイプのグットヒールカバーソックスに行き着きました。

https://tabio.com/jp/detail/011110122/


-そして「チュールソックス」に転機が

カバーソックスの欠点は「脱げる」。そして脱げにくくさせるための滑り止めの加工が、かかとに当たって「痛い」もありました。それらを突き詰めると「サイズ感」の不一致。かかとの形状や左右の足の大きさの違いなど。個人で脱げる原因は様々です。どうしても解消できないお客様の不満の声に、ある発想の転換が起こります。カバーソックスで得たい効果は「裸足のように見せられること」「ベタつかないこと」「靴擦れを防ぐ」「汗による臭い予防」。何も小さな面積で不快な思いを与えるのではなく、靴下で解消できないのか?

チュールソックスの接客時に
「かかとが痛くならないし、これ素足っぽく履けるからいいのよね」という声がポツポツ聞こえてくるようになります。

レース柄を無くして、シンプルなデザインにすればカバーソックスを履いているかのように見える。「脱げる」というお悩みを解消できるのでは!逆転の発想と言えばいいのでしょうか。そもそもチュールソックスは「透明」なのですから。カバーのような透明靴下を履けば、脱げない。しかも足底は綿なので快適です。そうしてできたのが「カバー風チュールソックス」。

よく見れば足底はカバーソックスそのもの
全てを解決したチュールソックス

オシャレなチュールソックスが「機能的」な靴下として生まれ変わった瞬間でした。

2019年3月より販売開始
現在までで累計24万枚!!


「さらなる進化」

-SNSから着想を得る
弊社でもパンデミックを経て、WEBやデジタルでの訴求が活発になりました。公式アカウントの成長・アプリメルマガ会員の拡大が促進し、その数は500万人を超えるまでとなりました。タビオのSNSはフォローワーとの交流が特徴です。別の機会でまた触れさせていただきますが、ファンの声であれば有名無名にかかわらず最善を尽くしたいと心がけております。その中でTwitter Xでいただいたユーザーの声によって、チュールソックスに三度目の転機がやってきます。

一度目の転機
「ファッションアイテムとして注目される」

二度目の転機
「機能アイテムとして転身する」

そして三度目の転機が訪れる・・


「チュール透けハイソックス」
2022年の8月に商品化される。

もうこの画像でピンとくくる方も多いはず

リリース当初は、月に1000枚ちょっと。売上ランキングも100位にも入らないくらいでした。そこから年を追うごとに安定して売上も伸び。翌年の2023年では総合ランキング46位まで成長していました。

100位内にランクアップしたきっかけがあります。それは2023年の5月頃。この靴下の人気の理由について、Xでのユーザーの投稿がありました。それは「素肌を出すには抵抗がある」「履くことで肌が綺麗に見える」「ストッキングより丈夫」などでした。この情報を担当の1号さんから聞いて。

今の品名だと分かりずらくない?
変えてみようよ。

「チュール透けハイソックス」だとお客様がメリットを一切連想できない。ここまでベネフィットがはっきりしているのに。ストレートに良さが伝わる品名をと悩みます・・・そして浮かんだのが


ストッキング感覚で履ける靴下

これが、通販で爆発します。そして冬を超えて今年、リアル店舗含めた全販路へその人気は広がっていきます。

タビオでも楽天でもランキング1位に!

発売当初は月で1000枚ちょっとでしたが、2024年は週で5000枚を超えるようになりました。8月で、累計9万枚まで販売を伸ばしています。

三度目の転機は「美脚アイテムとして進化」

社外のインフルエンサーによって、更に拡散されていきます。


私ことトッチーは10年前まで商品MDでした。数多くのトレンド商品の誕生に立ち会うことができました。昔と違って令和の現代はSNSがあります。タビオから人気商品が生まれる理由をあらためて考えると









え?当然でしょ。そう当たり前のようで難しい。ものづくりの会社なのでどうしても主導権をタビオに置きがちです。社是にも「造って、売って、買ってよし」と三方よしを説いているのですが。「履いてよし」がファッションビジネスの一端である靴下には、特に必要と感じています。

それは見た目だけではなく、その時々の何を解決するのか。そのヒントは、ユーザーがSNSで呟いてくれます。その声を拾って靴下をアップデートリファインする。これにより、同じ「透明な靴下」でも三度も変化して人気商品と生まれ変わったのです。


-トレンド商品の再現性

弊社の企業理念の一つには「不易流行」があります。いつの時代でも変わらない品質。それが不易。そして時代によって変化する価値。それが流行。これに基づくことで再現されていきます。


「流行」を読む。
今はほとんどの人がスマホを使います。自分の悩みや欲求を解消するために、まず「検索」します。一番最初に目にするのは、🔍の中の言葉です。これが現代のはやり流行です。声を聴いて、検索されやすい価値を与える。ヒット商品となるポイントです。

「不易」も進化します。
品質で変化しないのは「良心」です。技術は日進月歩。気候や環境も変化します。「透明の靴下」も履き心地が向上していきます。



ヒット商品を連続させるためには


声を聴く⇄SEO⇄履き心地


を進化させ続ける




そして最後に予告です!

来年2025年にヒットする商品のテストが終わっています。四度目の転機がこの靴下に訪れます。「ストッキング感覚で履ける靴下」さらに「素足風に履けて脱げない靴下」へアップデートされました。

一見変化していないように感じますが、ささやかでも重要な進化をしています。それは、超絶人気の「ストッキング感覚に履ける靴下」の唯一の悩みどころ。透明感という見た目の美しさと引き換えに、どうしてもできてしまう「足首のしわ」レビューやSNSでお客様の声を聴き・・・・ました。あとはこれを解消する。それがオンライン限定で発売したこの靴下です!

初動で完売させることができました。今は生産も整い、来シーズンにはリアル店舗へ展開する準備に入っています。こうやってまたトレンド商品のたまごが生まれていきます。


おしまい



いかがでしたでしょうか?
初投稿ということで、気合い入りまくりで
かなりの長文となってしまいました汗。

ここまでお読みくださって
本当にありがとうございます!

執筆byトッチー

"Dear all, let's meet again."親愛なるみなさま。またお会いましょう!