ベルセルクの最終回を、あと1話で無理矢理ハッピーエンドにまとめてみた
第364話:月下の再会
満月の夜、大樹の下で一人、ドラゴンころしを振り、稽古しているガッツの元に黒髪の少年が現れる。
ガッツ「お前…」
少年「…」
ガッツ「…」
少年「…ッツ…」
ガッツ「?」
少年「…ガッ…ツ…」
ガッツ「!!」
少年「…オレ…だ…」
ガッツ「!?」
少年の顔が変貌し、長い黒髪は銀髪になり、少年時代のグリフィスになる。
ガッツ「…どういう…ことだ…?」と大剣を構え、一歩下がる。
グリフィス「…この世界に肉体を得る時、お前の息子と混じり合ったため、
満月の夜だけ、オレの肉体はお前の息子の肉体になる様だ…」
ガッツ「…」
グリフィス「お前の息子が成長するに連れ、オレの肉体は幼化していき、やがては…。そうなる前にお前に会いに来た…」
ガッツ、イスマの母の言葉を思い出す。
(イスマの母「この島では外界との時の流れが異なります。ここに留まり続けると言うことは外界との断絶を意味します」)
ガッツ、警戒しながら大剣を下ろす。
グリフィス「リッケルトがファルコニアにいるオレに会いに来たよ」
ガッツ「…そうか」
グリフィス「仲間になるよう誘ったら頬を叩かれた」と左頬を押さえる。
ガッツ「…フッ。あいつ…オレがやろうと思ってたのを先越されちまったな…。…今あいつはどうしてる?」
グリフィス「クシャーンを連れて、ファルコニアを出ていった」
ガッツ「…そうか」
グリフィス「オレの魔力が減退すれば、ファルコニアは崩壊するだろう…。使徒達も箍(タガ)が外れ、元の世界に戻っていく筈だ」
ガッツ「…」
グリフィス「…すまなかったな、ガッツ…」
ガッツ「!!」
グリフィス「…夢の続きもお前がいなければ退屈なだけだった…」
ガッツ「…」
グリフィス「…」
闇夜の遠方から「ガッツー!」「ガッツさーん」と声がする。
声のほうを向くガッツ、グリフィス。
脇に草の生えた蛇行した道をやってくるイシドロ、パック、ファルネーゼ、キャスカ、シールケ、イバレラ、セルピコ。
ガッツ「お前に復讐するには多くのものを背負い過ぎた…」
グリフィス「そうか…」
ガッツ「キャスカは元に戻ったぜ」
グリフィス、頷く。
ガッツ「まだ仲良くって訳にはいかねェがな」と笑う。
グリフィス、微笑む。
走ってきたイシドロとパックが到着する。
イシドロ「ガッツ、夕飯だぞ。こんな所で一人で何やってんだ?」
パック「あっその子…」
グリフィスの顔と髪がガッツの息子のものに戻る。
ファルネーゼ、キャスカ、シールケ、イバレラ、セルピコが到着する。
キャスカ「あっ」
ガッツ「…」
キャスカ、ガッツに警戒しながら少年に近付き、脱いだ上着を少年の頭から被せる。
少年、左手でキャスカの右手を握る。
キャスカ「…」
少年、右手でガッツの左の義手を握る。
ガッツ「!」
キャスカ、涙ぐむ。
イシドロ「その子も一緒に早く帰ろうぜ。メシが冷めちまうよ」
イバレラ「そうよ~、いつも一人で勝手してるんだから~」
村の明かりのほうに歩いていくイシドロ、ファルネーゼ、シールケ、イバレラ、セルピコ。
少年を間に挟んで手を繋ぎ、その後をついて行くキャスカ、ガッツ。
満月の下、馬に跨り、高い岩場の上からガッツ達を眺めている髑髏の騎士。
若き日の妖精島での風景を思い浮かべる。
(恋人である桜の姫巫女、親友の魔術師ヴィド、フローラ、人間だった髑髏の騎士が笑顔で茶飲み話している。)
髑髏の騎士、霊樹の館でのフローラの言葉を思い出す。
(フローラ「因果は決して円環ではない、螺旋なのです。あの子達があなたや私と同じ道を選ぶとは限らない。…最後にもう一度あなたのはにかむ笑顔が見たかったわ」)
髑髏の騎士「…。気狂いでも無くば、憤怒の虜で居続けるなど叶わぬ事…。御前は螺旋の道を行け。我は果て無き円環で踠(あが)こう」
馬で宙を駆り、妖精島を去っていく髑髏の騎士。満月にそのシルエットが浮かぶ。
パック、髑髏の騎士の気配に気付き、振り返る。が、気のせいだと思い直し、蛇行した道を村の明かりへと向かうガッツ達の後を追う。
完
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