エッセンシャルマネジメントスクールでの学び(4期)

1.養生はセルフマネジメント
社会人になり臨床検査技師として勤務して以来、予防医学の大切さを思うようになりました。予防医学の本質は「養生」という考え方で、本来のあるべき姿でいられるよう、元気でいられるように日々の生活を営むことです。自分がどうありたいかを考え、季節の変化、環境の変化に合わせて暮らす「養生」は、自分の感覚を信頼する心身のマネジメントです。現在は薬局薬剤師として働く中で、食事、運動、睡眠の質を個人個人が自分に合うよう整えることが大切だと思っています。

私は現在、EMSで出会った宮海彦さんのオンライン・フィットネスに参加しています。また、3期で同じチームだった実身美の大塚三紀子さんに学び玄米食になりました。
睡眠を改善するには朝日を浴びる事、運動する事、計画を立てて考える事が大切です。心配事を抱えて考えているとグルグルと頭の同じ部分を使ってしまうので眠れなくなってしまいます。

2.贈るようにお金を使う
現在、日本では物があふれる時代ですが、昭和には食べ物がない時期もありました。働きバチとなって働き続け、物があふれる社会になった今でも新製品開発が続き、ビルを建て替え、どんどん買い替えてゴミを出しています。売れなかった新品の服やきちんと調理された食べ物すらゴミになっています。
世界的な富の偏り、LNGや半導体不足が起こっています。

2015年に西條さんが開催された「いいチームを作りましょう」の活動で新井和宏さんの考えに触れて以来、お金の意味を考えるようになっていました。なぜ富の偏りは無くならないのか、健康的な生活よりお金が大切なのか。
新井さんが鎌倉投信を退職して興された株式会社eumoの電子マネーシステムが2020年7月に一般公開されました。社名のeumoは持続的幸福を意味するEudaimonia(ユーダイモニア)という言葉を由来としています。
目指している共感資本社会とは、「共感という目に見えない、貨幣換算できない価値を大切に育み、それを基礎(資本)として活動していける社会」です。通貨としてのeumoは貯めるお金から循環するお金を目指した電子マネーで、3ヶ月という期限があり、またチップとメッセージ機能を持っています。
お金とは何かを考えるきっかけとなる仕組みです。

3.質的研究はじめました
EMSでの出会いから昨年、幸せなことにeumoに関する質的研究を行うことが出来ました。臨床検査技師時代、ホルモンの正常値作成など量的研究を行ったことは有りますが質的研究は今回が初めてです。千賀則史さんのご指導を受け、株式会社eumoの事業に参画した方に共感資本社会に向けた体験を探りました。

この4期ではパーソナル・サポーターをされている千賀史則さんとはゼロ期で出会いました。千賀さんが2019年に発足した「対人援助職のための統合的アプローチ研究会(AIA研究会)」に初回から参加しました。この研究会は、「価値の多様化と不確実性が増す時代の中で、お互いに一致ばかりを求めるのではなく、むしろ不一致に伴うモヤモヤ感を共有し、その“ゆらぎ”の中にみんなが耐え忍ぶ時、その場から新しい発想や視点が創発されてくるのではないか、そうした流れを社会に積極的に創り出すためには、対人援助に関わる者同士がお互いのもっている情報(実践の智慧・研究成果ばかりでなく、セミナ・研修会・研究会・人材募集の関する情報等)の発信と受信ができるプラットフォームのような場が必要」という考えで発起されました。
観察主体と観察対象の一致の主客合一の体験をホロニカル体験といい、自己と世界の関係において繰り返される一致と不一致のうち、不一致に焦点が当たっていると生きづらさを感じ、一致すると「あるがまま」の状態で居られる。苦悩は創造の契機であり、不一致と一致を体験しながら“こころ”は深化していくと考えます。

2020年春にzoomで開催されたAIA研究会に参加した際に、統合的アプローチの考え方と、新井さんが電子マネーeumoで行おうとしている考えとの共通点を感じました。そして、千賀さんにご指導をお願いし、チームeumoという自主活動に参加された方々の研究を行わせていただく事となりました。共同研究者はEMSとチームeumo両方に参加されている方の中からお願いしました。
この論文は3月に統合的アプローチ研究会の研究誌で発表される予定です。

4.ヒトの共通関心
「全ての人は肯定されたい。」
「全ての人は関心を満たして生きたい。」
4期の講義中、肯定ファースト以外に共通関心として何があるかが話されました。

・幸せに生きたい
・自己重要感
・楽しい時間を過ごしたい
・安全に生きたい
・社会の役に立ちたい
・平和な世界
・人の役に立っていると感じたい
・自己実現
・成長したい
・他者評価ではない自己成長
・愛されたい
・自由
・未来を、よくしたい
・笑顔でいたい
・安心安全
・必要とされたい
・愛したい
・健康に生きたい
・好きなことをやっていたい
・自分らしくいられる仲間に囲まれていたい。
・成長し続けたい
・認められたい
・受け入れられたい
・遊びたい
・仲良くしたい
・自分らしくありたい
・つながっていたい
・知りたい、学びたい、
・平和
・仲間が欲しい

5.幸せな人生をどうマネジメントするか
自分が好き勝手に生きる、相手も好き勝手に生きる、という時には相手の恣意性を侵さない事が原則です。共感能力は大切ですが、共感しない人の存在価値を認める能力も大切です。
ワクワクするほどやりたい事があって、実際行動できること、
役に立たなくても自分が楽しいと思えるものを持っていること、
好きな友達がいること、
このようなことが幸せだと思います。

いい人が集まる学びの場があちこちに増えています。人と人が繋がってまた新しい場が立ち上がり、場と場が繋がっていくネットワーク型の社会が始まっています。

6.信念対立の本質
それぞれの人は自分の関心や価値観で構成された構造です。信念対立に陥るのを回避するためには、相手の関心や価値観を感じ取って深く理解し対話を重ねることが重要である一方、思考が言葉で成り立っているため恣意性を避けられないという事実があります。

理論が言葉でできている以上、恣意性は排除できず、また言葉が現実の反映でない以上、理論も現実を反映したものではない、ということになります。あらゆる理論は言葉によって人間がこしらえたものであるため、それは常に間違っている可能性を排除することはできないと考えられます。

共通了解が成立した(わかりあえた)と思ったらそうではなく、そう思っていたら実は成立していた、といったことはありえます。一致のみ追求する考え方では、こうした共通了解が抱える動的で複雑な事態を言い当てることができません。
現象から同じ出来事を抽出し同じように解釈し同じ意味や価値を見いだすことを保証する理路は、自分の認識を絶対化し、それと相容れないものに対する排他的な認識態度を生み出すことになります。そして認識は行動を規定することから、信念対立という現実的問題として顕在化することになります 。信念対立に陥らず、領域や専門を越えて基礎づけるためには、特定の先験的前提に依拠しないことが重要になります。

多数決は良くないというのは、多数決では異なった意見を強制的に1つに偏らせることになるからです。対話を重ねて互いの不一致を確認しつつ、複数の意見を活かして行動することが良いのではないでしょうか。効率を求めてしまう近代史からの傾向が有り、対話の時間が充分では無いのではないでしょうか。

一人の人の頭の中には文化や家庭の方針など様々な前提があります。自分の前提を捨て、相手を理解できれば、今とは違った社会が生まれる可能性があります。

7.構造構成主義登山部
対話の時間の中から「構造構成主義登山部」が立ち現れました。
顧問は阿部康志さん、部長はしんがき佐世さんです。

西條剛央著「構造構成主義とは何か」を読むために、池田清彦著「構造主義科学論の冒険」と竹田青嗣著「現代思想の冒険」の読書会から始める部活です。

2月13日に第1回として「構造主義科学論の冒険」の1章2章の読書会があり、発表者の岡部さん、草島さん、鳥越さん、段さんのまとめがわかりやすく、学びの素晴らしさに感動しました。

8.強みを知る
関心は、その場その場で立ち現れるものです。成果を育てるには基本となる自分の強みを知ることが重要です。強みは資質が行動に現れたものです。もともとある資質を育て、行動して自らが望む人生を自らの手で創造していくためには自分との対話が不可欠で、フィードバックの時間が重要になります。

学びと学びほぐし「アンラーニング」により思考の幅を広げることが重要です。どんなチームの中にいるのかはどんな自分になりたいかの延長線上にあります。

相手を理解することは、アンラーニングと同じだと思いました。自分が考える方法と相手が考える方法は違います。まず聴くこと。対話する時間をゆっくり取ること。結論を急ぎ過ぎないことが大切だと思います。

9.石垣ガツガツ
サイボウズの理念は「チームワークあふれる社会を創る」です。ひとりひとりの個性を活かし、石垣を組むように組織を作る時に、最初からピッタリと石がはまる訳では無く、ガツガツと当たりながら石垣が出来ていきます。
本音で語り感情がぶつかり合う時には、事実と解釈を分けることが必要です。
本音が出せる場となるには、まず肯定される肯定ファーストの雰囲気づくりが大切です。

環境や役割が流動的な中では、個人の感覚の価値が高まります。決められた役割を全うすることだけでなく個人個人の繋がりが価値を生み、組織を創ります。別の誰かが決めた価値で満足するのではなく、個人個人が価値を生み出します。

10.一つの実を育てるためには木を育てるしかない
これは渋澤ドラッカー研究会の井坂康志さんの言葉です。自分の木を育てるのは自分自身です。木を育てていくと結果として実が育ちます。

地球では、多くの生物や細菌達が連携して土壌や海や川を育て、一つの木を育て、森を育て、動物が暮らし、お互いを生かし合っています。土の中ではアーバスキュラ菌根菌によって木と木が対話しています。人体の内部や表面には1万種、数百兆個にも及ぶ数の微生物が存在するといわれています。ヒトの身体の細胞数は60兆個とも37兆個とも言われていますが、その数より多くの細菌が腸内、皮膚や鼻腔、口腔、膣などで人体と共生関係にあり、ヒトはこうした微生物と協力するように進化してきました。

どのいのちも、いのちのネットワークの中で生かされています。
どのいのちもお互いを尊重しつつ幸せに生きられますように。

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