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ホロニカル・アプローチ  定森恭司・定森露子著

ホロニカル・アプローチ  定森恭司・定森露子  2019.2

自分とは何か、と聞かれた時、自分とは“こころ”なのかな、と思います。

この本の著者は、心理相談室を開業されている臨床心理士の方です。印象的な文章を以下に少しだけ抜き書きします。

“こころ”は苦悩の源ですが、創造の源でもあります。この視点にたった時、生きづらさは、より創造的な人生の契機になります。

自己と世界の出あいを直接体験と呼ぶならば、“こころ”の働きのすべては直接体験を通して私たちに実感・自覚されていきます。しかし自己と世界の出あいは、いつも両者が一致するとは限りません。むしろ、瞬間・瞬間、絶え間なく不一致と一致を繰り返しているのが現実です。
窮極的な不一致は地獄のような気分をもたらし苦悩の源となりますが、窮極的な一致はあたかも天国のような気分と充実感をもたらします。自己と世界が一致する時は、“こころ”穏やかで、一点の曇りもなく清浄で、すべてが“あるがまま”にあります。しかし自己と世界が少しでも不一致となる時は、“こころ”が激しく乱れ、自己と世界は引き裂かれ、不安、迷い、苦痛に苦悩することになります。一致の累積は生きやすさの感覚をもたらしますが、不一致の執ような累積体験は、苦悩となり生きづらさをもたらします。

ホロニカル・アプローチでは、生きづらさは新しい生き方の発見・創造のチャンスと考えます。しかし見直しのためには、自己と世界の不一致に伴う生きづらさを自由無礙(むげ)に俯瞰(ふかん)できるような場が必要です。人は、安全で安心な場を得てはじめて、自己と世界がより一致していくような新たな人生の生き方を発見・創造することができるのです。

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