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[鏡合わせの輝きへ]

魚京の背中は語らない
それだけ見送ろう 何も怖くない
船出は向かい風 波間の航海
波間の航海

金木犀など 海原にいれば
あの島と同じ 噂話
風待ちの港で 君からの手紙
押し花は見知った ハマナスの花

離れた時間など 気にするな
白んだ山際のこと 見惚れるな

漕ぎだして
虹のたもとへ漕ぎだして
ただ空の境目と知って
鏡合わせの輝きへ

死んでしまったら 何も残らない
空似の他人を 凪が攫う
過ぎた船路の跡も 無かったことのように
消えてゆくよ 後悔だけが錆び模様

金色の日々は 海原にいれば
手のひらに広げても 泡沫のよう
舵車輪を握れ 君から逃げるように
掲げた帆を見よ 今はそう

漕ぎだして
風の向こうへ漕ぎだして
ただ死出の旅路だとして
それが明日の名前だもいいぜ
虹のたもとへ漕ぎだして
ただ空の境目だと知って
鏡合わせの輝きへ

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