[堕地]
酷い悪夢は 僕の娯楽だ
昨日のツケを 寄せたつもりか
ドロドロの口内を コーヒーでゆすぐ
味も知らないが 今日も旨い、旨い
小さなポシェットで 歩くようになった
入りきらない分は ただ空元気と知る
青空が恨めしい 雨でもそうだが
とにかく何も無くていい 地面だけでいい
地面だけでいい 重力だけがいい
歩ければそれでいい あとは農作業
マスクなんて浅知恵だ 穴ごといらない
酸素ボンベが流行って 売り切たらいい
どんぶりだってわかる 高くついたところで
いずれは取り返すだろう 物言わぬ花
身体を投げうつような 夢もあったが
肌身離さずいるうちに 全身穴だらけ
売れば二束三文の 古着屋の一張羅
着ていたいわけじゃない 脱ぎたくないだけ
地面だけでいい 重力だけがいい
拾わないうちは 相手などするな
歪みきった四肢と 窪んだその腐り骨
水溜りの一つでも できればと君は
酷い悪夢の寝覚め前 そういった君を
僕は最後の真心で 粉々に砕いた
そうして身体の端々に 纏わせたなら
生臭い充足で 世界は赤らんだ
地面だけでいい 重力だけがいい
歩ければそれでいい 離れゆくための
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