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あと何分?![2]

前回は心配なトイレの時間などを書きました。
今回はどんな作業だったかを思い出しながら書きます。
前回の記事はこちらです⇩

1回の作業はトータルで12分間ですが、そのうち車内清掃は7,8分。
時間内に完了させるため車両ごとに細かい手順が決まっています。
ミスなく効率よく行うために改善改定もよくあります。
これを頭と体に叩き込むのが結構大変。
やり方を間違えると相方に迷惑を掛けてしまう。
予定表を見て組む相方が怖そうな人だと緊張します。

列車の到着を指定場所でお出迎え。
担当車両の乗客が全て降車してから作業開始。
折り返し運転だと思わず終点だと思ってのんびり降りる人もいます。
中には到着してから赤ちゃんのオムツを替え始める人もいて・・
何で今から?!作業時間が~と焦ります。
寝過ごしているお客様は静かに起こす。

荷物棚を見渡し忘れ物チェック。
そこが顆粒状の粒だらけだった時はビックリ。お菓子か何かこぼした後?
作業中に忘れ物を取りに来る人もいます。
ボロボロの雑誌でもゴミとして扱わず、
しばらく保管しておきます、念のため。
「何で捨てたんだ!」と怒る乗客もいるので。
だからゴミの様にしか見えなくても念を入れると命拾いします。

ビン缶収集、ゴミの分別は大事。
自動回転スタイルではなかったので、人力で座席を進行方向へ直します。
これが新人にとって慣れるまで難しい。
足でペダルを踏み、両サイドの椅子を交互に手で回転させる。
中には腕の筋を痛めた人もいました。
私は斜め懸垂ならいくらでもやっていられる丈夫な腕と肩なので
大丈夫でした。
ペダルが劣化していたのか怪力だったのか
ペダルがとれちゃったこともあったようです。(私ではないよ)

次は座席に着いてる白いヘッドカバー。これをなぜかモタレと呼んでいた。
モタレをバシバシ取り外して行く。
1人がゴミを収集している間に、もう1人は新しいモタレを通路側の席肩に
早歩きしながら2枚と3枚ずつ乗せていく。
これが難しいの。
予め枚数ずつ段差をつけて重ねて用意してあるモタレを
ピザを持つ感じでスパスパと配る。中々難しい。
外で見ているお客さんもいるので緊張する。
慣れるまでよくバサッと落としたり、枚数足りなかったり~

弁当の空き箱やらペットボトルなど見えるゴミより厄介なのは
座席シートの隙間に何故かそっと隠すように入れ込んだゴミ。
なんで入れるのや?

座席の濡れ汚れ点検。前回書いたセンサー付き箒をかけます。
これにも掛け方の順番があり、
背もたれ、座面、(グリーン車は肘掛も)、座前。
濡れているとピーピー鳴ります。
けど、雨や湿気の多い時には殆ど鳴るんで困惑する。
濡れ汚れた場所は〇号車〇列〇番と言って交換してもらいます。
座面は殺傷事件とか不測の事態には盾になるので、
ガシッと上に引っ張り取って使いましょう。

次はテーブル、肘掛、椅子の取っ手、窓、デッキの手摺りを
ウェスで拭きます。
そして配られた新しいモタレ取り付け作業。
床掃き、モップ掛け。
普通車両の一番シンプルな作業はだいたいこんな感じです。
これにプラスした作業に備品のセットやドアコックを切る係、
当時はまだ喫煙車両があったので吸い殻掃除がありました。
グリーン車はまた違う作業になります。

作業道具の置き忘れがないよう置く場所も決まっていました。
以前に拭き掃除のウエスをデッキに忘れた人がいたらしい。
担当者名はすぐ判明するからミスは冷や汗もんです。

生産現場に付きものの5S活動(整理、整頓、清掃、清潔、躾)や、
肉体労働現場にあるKY活動(危険予知活動)、
企業で行われるCS活動(顧客満足度向上)が常のような職場でした。

ポカをしないようにと気の小さい私は常に緊張してすり減っていました。
次回は突発的な出来事の話を書こうと思います。つづく

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