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【青森県弘前市】(2/2)梅雨空弘前、スナックリノベホテルに泊まってスナック街を行く。2023年6月24日(土)-25日(日)

青森県立博物館へ庵野秀明展を観に行ったときの青森県弘前市での呑み歩きの2/2になります。


◾️老舗酒場「やき鳥 たかやん」へ

老舗酒場大工町「郷土料理 しまや」

「シャンソン酒場 蓮」と並んで、弘前を訪れたら足を運んでみたいと思っていたのが「郷土料理 しまや」です。さすが老舗酒場の佇まい、風格。店内からは先客の笑い声が漏れ出ています。

店名のとおり、津軽の郷土料理(家庭料理)を地元の銘酒「豊盃」を呑みながら楽しめるという店です。

まあ、正直なところ、口コミはなにやら賛否両論なところもあって、わたし自身はこの酒場を訪れるのに少々二の足を踏んでいるのでした。
が、実際に自身で体験せずにアレコレいうのは嫌いだし、フェアじゃないので、いつかは行かねばならぬでしょう、と思いつつ、この日は外を眺めただけにとどめ、この日のお目当ての店へ歩を進めたのでした。

この日の本命

この日の本命は、「郷土料理 しまや」から徒歩数分のところにある、「焼とり たかやん」という店で、こちらもまた老舗。

弘前大学医学部附属病院のすぐ近く、本町にある50年以上続く焼き鳥酒場なのです。

入り口からわくわくします。

店の前には何人か焼き鳥の持ち帰り客が立っています。「11本だから、1,100円ですね〜」「はい、どうも〜」などと店先でやりとりしている脇を抜け、入り口へ進みます。

ガラス張りの店内では、忙しそうに串を焼く店員が見て取れて、がららと引き戸を開けて店に入ると、先客がいないカウンター席に腰掛けます。

控えめに言って最高です。
壁のメニューも最高です。
メニューその1
メニューその2

店内は雑然としており、これぞ昭和酒場といったところです。潔癖な方には我慢できないかもしれませんが、平成の初期にはこんな店がそこかしこにあって、なけなしのバイト代で学生たちは安酒をあおりながら、騒いで笑って青春を謳歌したものです(もちろんわたし自身もそんな一人だったわけで)。
酒も肴も安くて上等。腹を空かした学生に優しい店なんだろうと想像しました。

レモンハイ

まずはレモンハイ270円(たぶん税抜)と、手元の年季の入ったメニューから「焼とり 盛り合わせ5本」を選び、一緒に注文しました。

やたら旨そうです。

ほどなくして焼き上がった5本盛り合わせ、レバーはとろとろ、つくねは粗みじんの大蒜入りで風味上々。とても美味しい焼き鳥です。

なにか追加注文しようかとメニューを眺めようと思っていたら、学生でしょうか、若い男性ばかりの4人客がにぎやかに入店してきたので、素早く会計してもらい店を出ました。

長っ尻するような店でもないでしょうから、ちょうど良い頃合いだったでしょうか。焼き鳥もほぼ食べ終え、ちょうど良いタイミングかもしれません。
お通しなしのレモンハイと焼き鳥で800円ぐらいの激安酒場。学生だったら、毎週のように通ったでしょうね。

◾️そして、隠れ家「こなつ」に辿り着く

「こなつ」

歩いて北川端町へ辿り着きました。弘前中央駅からすぐ近くにある、土淵川沿いの飲食店が数店舗固まっているところが、日中から気になっていた辺りです。

その中で最も目に留まったのが「こなつ」という店。表からは居酒屋なのかバーなのかスナックなのか伺い知れないのですが、日中通ったときに一番引っかかった店でした。

まずは一杯

思い切ってドアを開けると、若い女性がカウンター内に立って「いらっしゃいませ」と迎えてくれました。どうやらこの女性が、ここの店主なのだろう、と思いました。

先客は4名。カウンターの右手の方に3人の若いグループ客、左手の方に60過ぎくらいの男性1人客。カウンター席以外に奥の方にテーブル席もありますが、4人ともカウンター席で女性店主を囲んで会話を楽しんでいるようでした。

バックバー脇のメニューに「豊盃 純米吟醸」の文字があったので、「豊盃をください」と注文し、3人客と1人客の間に3つ空いていた席の真ん中に腰を下ろしました。

が、直後、若い男性客2人連れが入店してきたところで、「ごめんなさい、こっちに寄ってもらっていいですか?」と女性店主に言われ、カウンター左側、男性1人客の方に移ることになりました。入ってきた2人客は3人グループ客の知り合いらしく、わたしが席を空けた形でその2人を座らせる格好になりました。

結果、カウンター席には7人が座り、空いた席はなくなり、みな隣り合う格好になりました。
「ごめんなさいね」と女性店主に頭を下げられましたが、「いえいえ、ぜんぜん構いません」と返すと、カウンター右側にいた3人客の一人が「豊盃、お好きなんですか?」と声をかけてきました。

「ええ、まあ、そうですね。お店に置いてあるとよく呑みます」と返答すると、「今日ですね、とっておきの豊盃の限定酒を持ち込んでるんで、ぜひ呑んでみてください」といい、女性店主に目配せをしました。
女性店主は保冷庫から一升瓶を取り出し、グラスに注いでわたしの目の前に出してくれました。

「これはですね、蔵に直接足を運んで仕入れてきたとっておきなんです」と先ほどの男性。なるほど、と口にしてみると、先に出してもらった純米吟醸よりさらに洗練されてクリアで爽やか。

「おーー、これはまた品がありますね」
「お、わかりますか」
「レギュラーの純吟ももちろん美味しいですが、こちらはさらにいい」
「おおー、良かったです。ぼくも嬉しいです」
「貴重なお酒、ありがとうございます」
「いえいえ、喜んでいただけたなら」

山崎ハイボール

などとやりとりしたのですが、結局その酒のスペックを聞きそびれてしまい、どのような限定酒なのかよくわからないでいると、隣の年配客が津軽弁で「酒の味、よく知ってるんだねぇ」といったことを話してきました。

いえいえ好きなだけで、と返し、それからこの男性客といろいろ話し込みました。昔からこのあたりで呑んでいる人らしく、「こなつ」もだいぶ前からの常連らしかったです。

いつしか「こなつ」の女性店主・福山さんも会話に加わり、店のことが徐々にわかってきました。
駅前広場の再開発で、2018年に今の場所に移転し、こうやって昔からの常連客や地元客に愛されて営業されているようでした。

どんな店にしたいのかと尋ねると、「まあ、なんだかお客さんに畏まってばっかりで、丁寧に丁寧に接客しようとして下手にばかり出て、かえって素っ気なくなって距離が遠い関係の商売はしたくなかったんですよね」と福山さん。
ああ、なるほど、だからこの空気感の中で店の人間も客も一体になって楽しんでいるのか、とわかったのでした。 

 +++

「こなつ」を後にして、再び「シャンソン酒場 漣」に辿り着きました。
が、残念なことに明かりは消え、すでに店仕舞いされていました。
「あのときちらっと入っていれば」とも思いましたが、これもすべてタイミングです。

そうしていればそうしていたで、「たかやん」にも「こなつ」にも行けずに夜が終わっていたこともあり得るわけです。
通りに溢れかえる客引きたちを適当にあしらいながらホテルに戻り、布団に潜り込んで眠りました。

◾️「ながお」の朝そばからの庵野秀明展へ

 
 

朝、目覚めるとシャワーを浴び、ひとり親方町の「立ち食いそば処 ながお」で肉そばを食べました。

ぶつぶつとすぐに切れるのが独特の岩木山そばを、甘めの汁、多めの葱、たっぷりの豚肉、揚げ玉と一緒に食べます。
前の晩は呑み過ぎたというほどではなかったのですが、少々寝る前に小腹が空いていたので、立ち食い蕎麦がとても美味しかったです。

 
 

コンビニで買ってきたおにぎりやら惣菜で遅めの朝食を済ませた妻とムスメと、早めのホテルを出て青森県立美術館へ向かい「庵野秀明展」を観ました。

昼食は、美術館内にある「カフェ 4匹の猫」にてBLTサンドを。この日も蒸し暑く、帰りの高速道路も雨が降ったり止んだりでした。

さてさて、次回弘前市を訪れたなら、「シャンソン酒場 漣」と「郷土料理 しまや」は必ず訪ねなくてはならない、と思いつつ帰りの高速道路でハンドルを握ったのでした。

(おわり)

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