【東京】(2/5)初夏の東京にて東京三大酒場「鍵屋」「シンスケ」で酒場の底力に触れる旅 2019年7月5日(金)-6日(土)
再会を果たし、根岸の老舗名酒場「鍵屋」という東京を代表する酒場で乾杯したわれわれ愉快な旅の仲間、uniさん、イグチさん、わたしの3人は、引き続き酒場ワールドに引き込まれていくのでありました。
注)2017年9月の記事になります。
⚪︎感動の「鍵屋」のガス式燗銅壺
目の前の燗銅壺が見事な年季の入りようなので、御主人に「作れる職人さん、まだいらっしゃるんですか?」と聞いてみると、国内に職人は3人のみだとのことでした。そんな貴重な燗付け器でゆっくり温まった燗酒の美味いこと美味いこと。感動です、本当に。
少しすると、「お座敷空きましたけど、どうなさいます?」と女性の店員さんに声をかけてもらいますが「いや、カウンターでいいです。カウンターがいいでのす!」とuniさんが即座に、そして満面の笑顔でその申し出をお断りしました。
イグチさんもわたしも、まったくもって同意であり、その様子を見た御主人が、嬉しそうな笑顔を見せてくれます。
そこから、味噌おでん(豆腐・ちくわぶ・こんにゃくで)、さらしくじら、とりもつやき(二本)、たたみいわし、お新香を肴に、「菊正宗 生もと」「大関 おおからくち」と燗を各二合ずつ呑み進めました。
次の日は車を運転しなければならないので控えめに呑みます、と話していたuniさんも、「いや、このペースはまっずいなあ~」と言いながら、すいすいと盃を空けていきます。さすがはイグチさんやわたしの古い呑み仲間であります。
どこから来たの? と御主人に聞かれたわれわれは、東京・宮崎・岩手とそれぞれ答えると、「で、何しにここまで?」とさらに聞かれたので「この店で酒を呑むために」と答えると、再び御主人は嬉しそうに「それはそれは、ありがとうございます」と笑っていってくれました。いえいえ、こちらこそ、素晴らしい酒場体験をさせていただき、ありがとうございますなのです。
⚪︎「鍵屋」の品書きにすら感動する
入店から一時間強。燗酒も3人で五合ほど呑みました。「櫻正宗」から、「菊正宗」「大関」と、どの燗具合もぴたりでした。燗をつけることについても、ご主人はまさに名人芸の域だと感じました。
しかし、さすがお江戸・東京が誇る名店なのでした。酒も肴も申し分なく、時の体積を感じさせる店内は他に替えられない雰囲気を湛え、そしてなにより御主人の素朴かつ丁寧な対応が心地良く、われわれ三人は、最高の気分になっていました。
まさに、「いい人、いい酒、いい肴」と、居酒屋研究家の太田和彦さんのいうところの良い酒場の条件3つが、ぴたりと揃っていました(そういえば、たしか太田さんもイチオシの酒場のひとつですよね、こちら)。
さてさて、金曜の夜の「鍵屋」は、早い時間から客が出たり入ったりしていて、ずっと満席状態が続いていました。もう少し居座りたい気持ちもありましたが、われわれも長っ尻は野暮だろうということで、頃合いを見計らって会計をお願いしました。
「明日から朝顔市だから、朝顔市の団扇もっていってくださいね」と、席を立ったわれわれに御主人。ではではせっかくだから、と入り口付近に置かれた朝顔市の団扇をいただき、少々後ろ髪ひかれながら、東京三代酒場のひとつ「鍵屋」を後にしたのでした。
⚪︎ちょっと昔のことを振り返ってみます
なお、昔々書いていた記録のアーカイブを漁ってみたところ、久々の再会となったuniさんとは、東日本大震災が発生する4ヶ月ほど前の2010年10月末に盛岡でご一緒していたようです。
その時は、桜山「茶の間」〜同じく桜山「MASS」〜中ノ橋通「ビアバー ベアレン」〜大沢河原「熊ヶ井旅館食堂」〜盛岡駅前「ディエス・オーチョ」〜同じく盛岡駅前「盛楼閣」と、錚々たる店を呑み歩いていたことが思い出されました。
いやはや、今も昔も呑み過ぎな、われら愉快な仲間たちなのです。
さて、二軒目に向かうは、やはり東京を代表する名酒場「シンスケ」です。湯島は不忍池からほど近くにあり、移動に少々時間はとりますが、イグチさんが二階席を予約してくれていましたので安心です。
というか、イグチさんに聞くところによると、予約は二階席のみ受け付けていて、カウンター席を含む一階の席は、飛び込み客のみという決まりがあるようでした。
まあ、酒場好きとしては一階カウンター席が良いわけですが、ボーナスが出たばかりの東京の金曜の夜、予約なしでの飛び込みは、満席で入店できないリスクが高かったでしょうから、二階席を予約しておくのがベストでした。
しかし、思い返してみると、一軒目「鍵屋」は、とてもとても良かったです。本当に素晴らしい酒場に出会えました。「鍵屋」の肴は渋さと安定感と東京の粋が感じられ、毎週でも通いたくなる魅力を持っていました。
それは、uniさん、イグチさんも同じように感じたと思います。良い酒場に出会えた高揚感に包まれながら、根岸から湯島までの間、空から時折落ちてくる小さな雨粒を心地よく受け止めながら、3人多少浮かれ気分で歩きました。
そして、「シンスケ」も東京の酒場らしい肴を供すると定評の店であり、わたしは胸躍らせながら暖簾をくぐりました。
(3/5へつづきます。)
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