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橋の下で寝て、公衆トイレで頭を洗う。

これは私が定住を捨て、会社を辞めて旅をしていた2019年の話です。

この頃の私はバックパッカーで中東・バルカン半島ひとり旅をしていました。

そんな中、ボスニアのモスタールでひとりの日本人青年と出会います。

その青年はヒッチハイクで移動し、普段はテント泊をしながらYouTuberをやっていて、時々動画を編集をするために宿に泊まっているそうです。

面白すぎる、なんて無鉄砲な旅をしているんだろう!!

私はそんな旅の仕方にちょっと憧れていたのです。「男の子はいいなぁ…」なんて思っていましたが、その青年との出会いからテント泊に興味が湧いてきました。

リスクはかなり高いけど治安のいい地域によっては大丈夫なのではないか…。そんな気持ちを抱えつつ、私はボスニアからクロアチアへと移動しました。

クロアチアの首都ザグレブには一泊だけ滞在することにしました。その宿で一人のオランダ人の女の子に出会います。

女の子は私と同じパッカパッカーのようでしたが、彼女はテントを持っていました。

この子は女の子ひとりでテント泊してるのかな…!?私は思わず彼女に話しかけてみます。
「テントを持ってきたけど、まだ実行する勇気がないの。」と彼女は言いましたが、この女の子から勇気をもらった私は、明日行くスロベニアでテント泊することを決心しました。

私は一度決心すると行動は早いのです。

スロベニアのコペルに着いたのが18時頃。
運良く駅前にニトリのような庶民的家具屋さんを見つけて1,800円くらいの安いテントを購入。

しかしどこにテントを立てていいのか分からず、なるべく人目に付かない良さそうな場所を見つけても、テント禁止の看板があったり…。
日はどんどん暮れていき焦り始めました。

歩き続けていると大きな橋を見つけました。
橋の下は人目にも付かず、幸い誰もいなかったためここにテントを立てることに。

私はソロキャンプのつもりでしたが、どう見ても完全にホームレスです。

すでに辺りは暗くなり、初めて組み立てるテントに大苦戦。
勘だけで初めて立ち上げたテントは、半分ペシャリとしぼんだような頼りない姿でした。

この日の夜の寒さが忘れられません。寒すぎて凍え死にそうでした、テントだけじゃだめなんだな、布団やマットが要るものなんだなと学んだ日でした。

しかし、真っ暗でWiFiも繋がらない静かな夜にひとりぼっちでいると、ただの生き物として自然に解き放たれたかのような開放感がありました。

結局寒すぎて全く眠れず、朝4時にはテントをたたみ、朝の海を見に歩き出します。
薄いピンクとブルーに染まっていく美しい朝焼けを眺めながら、この景色が見れたことを嬉しく思いました。

この日以降、スロベニアとハンガリーで数日テント泊をしてみることにしました。
シャワーなど無いので公衆トイレの洗面所で頭を洗いました。それがどれだけ羞恥的か、精神的なひもじさと、寒さで眠れない疲労がどんどん積もってきます。

このような生活を強いられている人の気持ちを100%理解することはできないかもしれない、でもこの生活を自分の身体をもって体験し、感じることが出来たのはいい経験でした。

幸い私はテント泊中に一度もトラブルに会っていませんが、ボスニアで出会ったあの青年は、その後チェコでテント泊をしていたところ、寝てる間にテントを破かれ全財産を持っていかれたそうです。

なのでおすすめ出来るものではありません。

またやる可能性はあるか?と聞かれれば「やって良かったと思ってるけど、できればやりたくない。」です。

そんな旅の思い出話でした。

ホームレス関連でこの映画、面白いのでおすすめします。

https://www.youtube.com/watch?v=BSU_uwmaWqs

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