コペンハーゲンメトロ「Cityringen(シティリンゲン)」のデザイン
こんにちは、デザイナーの堀野美雪です。
デンマークでの旅の中で見つけたデザインについて書いているこのnote。
コペンハーゲン滞在中は、様々な場所へ行くのにメトロには大変お世話になりました。
今回は、このメトロを利用する中で見つけた、日本との違いやデザインの理由について書いていきたいと思います。
無人運転、24時間年中無休、自転車OK
まず真っ先に日本との違いとして感じた部分は、主に以下の2点です。
運転手はおらず、完全自動運転化された車両が24時間年中無休で3分〜5分おきに来る。
駅構内に広い自転車置き場があり、自転車と共に地下鉄に乗る人が多くいる。
駅係員といえば、時々抜き打ちで切符拝見に回ってくるくらい、自動運転化されることで人的コスト削減のほか、本数を増加させ24時間運行が可能になります。突然ストライキが起きることもないでしょう。
日本の交通機関も自動化が広がるはずですが、欧米諸国に比べかなり出遅れた印象。
コペンハーゲンは住民の60%以上が自転車で通勤する自転車都市であり、電車や地下鉄に自転車をそのまま持ち込めるのは当たり前。
日本の場合、東京メトロのFAQにはこう書かれています。
日本の人口の多さ、通勤ラッシュを考えると、自転車そのまま持ち込みはまだ実現できなそうです…。
機能性、シンプル、モジュール化されたデザイン
地下鉄は、機能性、シンプル、モジュール化という3つのキーワードに基づいて設計されています。
コペンハーゲンの地下鉄を使っていると、どの駅もモジュラーデザインの似た構造になっており、スムーズな人の流れが作られていることに気がつくと思います。
地下鉄の駅は誰でも使いやすく、簡単に行き来できることが最も重要です。
旅行者の私も、券売機はどこ?出口、改札は何処?と駅構内で迷うことはありませんでした。
デンマークといえばオモチャのLEGOを産んだ国ですが、そういえばLEGOもモジュラーデザインですね。(今思うと知育玩具として超優秀だな…。)
駅構内には自然光が入るようデザインされています。
日本の折り紙にインスパイアされたという「折り紙天井」デザインで、意図的に光をバウンスさせ、直射日光の眩しさを感じさせず柔らかい光を地下に届けるのです。
深く暗い地下に差し込んでくる自然光は、人工のライトよりも人を安心させます。自然と密接なデンマークならではの文化が出ていると感じました。
また私が気になったのは、どの駅にも必ずあったこの時計。デザイナーは誰なのか、情報がなかなか見当たらずご存知の方いましたら教えてください…。
さいごに
旅行者を喜ばせ、思い出に残る体験を提供したいというCityringen(シティリンゲン)の願望を実現に欠かせなかったのはデザインです。
空間、建築、照明、グラフィック…全てに施された細やかなデザインの配慮によって、利用者の快適性、信頼と安心感が生まれています。
私はこのSFのような無機質な雰囲気が大好きでした。
デザインを担当したARUP(アラップ)の動画でコペンハーゲンのメトロの雰囲気をぜひ覗いてみてください。(日本語字幕にも出来ます)
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