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25日間世界一周⑥オリャンタイタンボからクスコ 旅行者の試練その6:私が払うの?

泊まっている人は他にもいたようですが、朝食の会場にいた客は私一人でした。昨晩、タクシーの相談に乗ってくれたスタッフが、朝食を用意してくれました。一般家庭のパン朝食というイメージです。


この日は、オリャンタイタンボの遺跡を見学してから、午前中のうちに車で出発しクスコに向かう予定です。

「オリャンタイタンボの遺跡」って言ってますが、他の名称はないみたいです。

前日既にそばまで行ってますが、歩いて十数分ほどです。

私は今日、オリャンタイタンボの遺跡、チンチェーロ遺跡、モライという3つの遺跡に行くので、個別に入場券を買うよりも周遊券を買った方がお得です。

この周遊券というのがややこしい。使える遺跡が異なる3種類の周遊券(周遊券1、2、3)と、それら全てに行ける券があります。

そして、周遊券がどこで買えるのかもよくわからなかったのですが、オリャンタイタンボ遺跡のチケット売り場で、個別じゃなくて「周遊券3」ください!と強調したら購入できました。

入り口にいた赤ちゃんを、遺跡そっちのけで激写。

カメラ目線をくれます。

満足したので、遺跡を登ります。マチュピチュのように段々畑になっています。

広大な遺跡でした。段々畑の一段が人の身長よりも高いので、両脇にある階段からしか登れません。農作業には不便ではないかと思うのですが、山の傾斜がきついため、このような土地の使い方になったのでしょう。

そういえば、大学生になってから、淡路島で段々畑を初めて見て感動したのを思い出しました。

上から見たところ。

写真映えする遺跡ではないかもしれませんが、登るとかなり高いことがわかり、想像より面白いです。

村が一望できます。
登り切ったところは広場になっています。

その先もまたインカ道でした。


遺跡見学が終わり、宿に帰って荷物をまとめ、タクシーに乗る準備をします。

宿のスタッフはタクシーの準備ができているよ、と言います。

宿の前に黒い車が止まっていますが、運転席は空。

「The drive is me」

とニコニコして言います。

なんと、昨晩タクシーの手配の相談に乗り、朝食の準備をしてくれたスタッフ、運転手としてクスコまで連れて行ってくれるそうです。

これはタクシーではなく普通の車ではないか?この人は十分な睡眠をとっているのか?昨日の今日で宿のスタッフのシフト調整は大丈夫なのか?いや、宿にいるより運転手をした方が実入りがいいのか?

一瞬のうちに様々な疑問が渦巻きますが、知らない人と二人きりで車に乗るよりは、宿のスタッフの男性だと素性がわかっているので、安心できます。それに、自分が運転するのに、さらに寄り道を勧めてくれるなんて、親切ですよね。


まずは希望していたマラスの塩田へ。

なだらかな丘を登ってきました。周りは山と畑ばかりです。

山の斜面いっぱいに、またしても段々畑のように、塩を取るための田が作られています。

湧いている塩水を貯めて、太陽の熱で干上がらせ、塩を生産しています。

乾季ならこの塩田が真っ白に見えるそうです。4月はちょうど雨季から乾季に変わる境目でしょうか。

所々に展望スペースがあり、作業している様子が見られます。来るまでの道は混んでいなかったのですが、予想に反して駐車場はいっぱいで、観光客もたくさん来ていました。

20分ほど車を走らせ、町(村?)の中心の像の前で車を止めました。「待ってるから行っておいで」

ということは像の写真を撮るように勧めているのでしょうか。がっかりさせないために、形だけでも写真を撮ります。。。

先ほどの像の台座に彫られていた、モライです。もう一度見てください。「モライの遺跡」ではなく「モライ」と呼べばいいみたいです。

写真の中央付近に人間がいるのがわかりますでしょうか?ここもまた段々畑状の広大な遺跡です。このようなすり鉢状の遺跡が3つはあったでしょうか。

この遺跡がなんのために使われていたかは諸説あり、はっきりしたことはわかっていません。

遺跡の周りはのどかな風景です。

丘のまち美瑛にそっくりだと思います。※↑この写真は美瑛で撮ったもの。


さて、やっと昼食です。レストランに連れてきてくれました。

車に残っているから行っておいでと言われますが、彼はカバンなど持っておらず弁当があるわけではないでしょう。一人で食事するのも気が引けます。一緒に来てはどうかと誘うと、ためらったのち来ました。

運転手は、仕事で必要な言葉はわかりますが、世間話ができるほど英語が堪能ではないようです。一方、私はスペイン語がわかりません。

Google翻訳を使い、互いに英語とスペイン語をiPhoneに打ち込みあいながら会話しました。

何やら彼のおすすめメニューがあるようで、前菜・メイン・デザートがついた15ドルほどのランチセットを、2つ頼みます。彼がウエイターとのやりとりを買って出てくれました。

彼は、医学を学んでいたけれど医者になるわけではなく、諦めてしまった、今は観光業に情熱を持っているとのこと。このコロナ禍では、どちらを選んでも大変だったろうなと今になって思えば複雑です。

また、日本人と韓国人がいちばんかわいいと思っているそうですが、リップサービスでしょうか。浴衣を着た女性が日本を歩くYoutubeを見せてくれたし、韓国人も挙げたので、本心かなと思いますが、どうでしょう?

ラテンの女性も綺麗だと思う、と言うと、違いがあるから美しく感じるのではないか。と言います。

やはり、3皿のコースは全部食べきれませんでした。でも、デザートにフルーツの盛り合わせがあったのが嬉しかったです。日本は果物が高いので、デザートメニューにフルーツの盛り合わせなんてないですよね。


支払いの場面で、彼がサンキューと言いました。

・・・待てよ、私が2人分払うのか?

レストランに入る前に見せた、ためらいの意味はこれだったのか。いやいや、その割に、高いランチセットを勧めてくるとは図々しいやつ。


その後は、アルパカ製品を作るところを見せてくれる、牧場兼工房のようなところへ。

他にお客さんはおらず、伝統衣装に身を包んだ女性が1対1で、道具や工程の説明をしてくれます。お茶まで出してくれました。

驚いたのは染料です。おそらく、食品の色付けに使われるコチニールだと思われる、ゴマより小さい黒い虫を指で潰し、それが真っ赤な液体になるところを見せてくれました。この赤い色素は化粧にも使われていたと言い、そのまま唇に塗ってみせます。私がヒイっと言うと、相手は楽しげな表情です。

最後に、アルパカ製品を色々と見せてくれて、買わないか、ということ。

十分楽しめたので、入場料の代わりに何か買ってあげたいと思います。しかし、旅行中に物を増やしたくないし、そうそう欲しいものもありません。こういう方法ではなく、一律の入場料制にしてほしいと常々思うのですが・・・。

結果、アルパカのルームシューズを買いました。


最後に立ち寄ったのはチンチェーロです。

道の真ん中に水路が通っています。

教会前の青空市に行ってみたのですが、もう店を片付けているところでした。

その代わり、伝統衣装の集団に遭遇したので、こっそり着いて行きました。男性も女性も同じぐらいいます。何かを祀ってある前でホラ貝を吹いていることしか、わかりませんでした。

チンチェーロで他の観光客とすれ違うことはありませんでした。


車に乗り込むと、クスコまで向かっていいか?と聞いてきます。「ゴー!クスコー」陽気な人です。


クスコに着くと、暗くなっていました。ホテルの場所がよくわからなかったらしく、車を止めて他の人に聞きに行ってくれました。

日本の旅行会社の人には、オリャンタイタンボ〜クスコはタクシーで1時間半〜2時間で40ドルほどと聞いていましたが、この運転手さんは同じ値段で1日中付き合ってくれました。これからオリャンタイタンボまで帰るんだと思います。

ランチ代を入れても安すぎると、思い直しました。めでたし。




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