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旅先で不機嫌を手放せた話

国立公園を訪れた旅先で、せっかちな私は、悠長な夫に何度もイライラしてしまっていた。さっさと準備を終えた私が、夫が準備できるまで待つのはいつものこと。でも、夫の悠長さには最近拍車がかかっていて、特に色々とやりたいことのある旅先では、夫のペースに合わせて待つ時間が長く感じられ、何度も不機嫌になりそうな自分をたしなめていた。

そんな中、朝ごはんを食べてハイキングに行く準備をした後に、まだ外は寒いから、と昼寝を始めた夫に、半ば呆れながらもかなりの怒りを覚えた。でも、ここで怒って不機嫌なまま、夫が起きるまで待つなんて嫌。だから、夫がいなくても一人で好きなことをしよう、と決めた。散歩に行ってくる、と寝ている夫に言って部屋を出て、ホテルの前を流れる小川に沿って歩いてみることにした。

川沿いの通りは、賑やかな表通りから一本離れているだけだけど、まだ午前中だったので人も少なくて、静かだった。川の水はきれいに透き通っていて、流れる水の音も心地よい。川辺まで下りれる場所を見つけて、水のそばまで行ってみたりもした。道が川から外れてしまうまで歩き続け、折り返してホテルまで戻った後も、川辺で澄んだ川の水とその流れを見ていた。心が完全に穏やかに落ち着くまで。

それから夫に電話して、下で待っていることを伝えた。外はもうそんなに寒くないし、晴れていて気持ちいいよ、と。怒りも不機嫌さも手放せて、旅を台無しにしなくてよかった。

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