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神様がくれた風景

――間に合わなかった。

那覇から乗った飛行機が、羽田に降り立ったのは深夜0時近く。到着ロビーに出た頃には、すでに終電が出発した後だった。

少し気落ちしながら、僕は他の乗客とともに、深夜も開いている国際線ターミナルへ移動した。

仕方ない。始発電車の時間まで、空港で過ごそう。

――空いているベンチに座り、時間が過ぎゆくのを待った。

修行僧にでもなった気持ちで、何度も腕時計に目をやるが、時間はなかなか進まない。

もう朝なんて来ないんじゃないかと思いかけた頃、ようやく朝が訪れた。

何の気なしに、僕は展望デッキへ出てみた。

その瞬間、思わず嘆声がもれた。

外は雨が降っている。滑走路には一機の飛行機。そして濡れた路面に、色とりどりの誘導灯が、きらきら反射している……。

それは初めて見る、早朝の、雨降る空港の風景だった。

もしかしたらそれは、一夜の長い修行を終えた僕に、旅の神様がくれた、美しいプレゼントなのかもしれなかった。

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