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【商業BL感想】声はして涙は見えぬ濡れ烏 ウノハナ
【旧ブログより】
2017年8月 1日 (火)
大学生ってこんな大人なんだね
【内容紹介】
「友達はいらない。セフレだったら…考えないでもないけどな」
会沢征志が最近気になっているのは、超絶クールで色っぽい美形の、お隣さんかつ同じ大学に通う烏生田凜。大財閥・久喜宮グループの社長の孫らしいが、まるで人に興味がないかのような態度で学内でも浮いた存在だ。
なんとか仲良くなろうとしていたある日、凜がゲイだと知らされ、「不用意に近付くな」とキスをされたことで凜への恋情に気付く会沢。
「セフレでもいい」と、凜を激しく抱いて…。
セフレからかけがえのない存在へ、変化していくふたりの関係は――。
夏の京都を舞台に、クールで激しい大人の恋が始まる!
【感想】
ふと夏の京都が舞台だったと思い出し再読。
最初に読んだときには感じなかったけれど、意外にエ口多めだった。
ボロアパートの2階に住む会沢が、自室の窓から覗き見た隣人・烏生田に一目ぼれし押しかけセフレになるところから始まるこの話。
まず、真夏の京都の真昼間に長袖長ズボンで庭で剣道の素振りをするという時点で、変人確定の烏生田。
そして、どんなに冷たくされても笑顔で近づいてくるもう一人の変人会沢。
さすが京大生!京大にいたら普通でいるのが恥ずかしいんだろうか←偏見
「根拠もなく笑う奴は信用できない」といってセフレ以上の関係になりたがらない烏生田に20歳とは思えぬ包容力で食い下がる会沢。
烏生田は彼の背景を考えるとああいうひねくれ方とか臆病さ加減が理解できるけれど、会沢のいい意味での情熱というかしつこさはよく考えると怖い。いくら邪険にしても、笑顔で懐いてくる感じが角度を変えて見るとやはり怖い。
これは持論だけれど、わんこ攻めは一歩間違うとサイコパスだと思っているので、時として一途さは恐怖だ。
会沢の一途さやワンコさのさじ加減と烏生田のキャラクターゆえ絶妙なバランスで素敵な作品に仕上がっているけれど、この一途さと努力のベクトルが少しでも違うと一気にサイコホラーな話になる。
前半の京都編は蒸し暑くてエ口切ない。後半の東京(?)はクールでセクシー。
誤解のないように言うと、この作品に怖い要素は全くないのでご心配なく。
そして、主役二人は20代なのにびっくりするほど大人で現実的。
おばさんは驚いたよ。今の若者は地に足がついてしっかりしているね。
ちなみにこの作品は『ハイブリッドスターダスト』をいう作品のスピンオフ作品だ。こちらは烏生田の腹違いの弟と弟に拾われたおっさんの話。
併せて読むとまた楽し。
あの暑くて息苦しい不快指数MAXの京都の夏の空気と左京区の京大付近のボロアパートが立ち並ぶ風景を思い出しながら読むとなお良し。絵のことはよくわからないので表現が難しいけれど、濃いけど空気感のあるような絵?(そう私には見える)も好み。
読む順番は『ハイブリッドスターダスト』を先に読むと本作をより楽しめると思う。
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