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アクションまで本気で走れ! キックオフの会| ユースアクションプロジェクト🍅🍅レポートvol.1

10月26日に行われた「ユースアクションプロジェクト」のキックオフの様子をお伝えします。参加者やメンター、事務局が顔を揃えるのは今回が初めて。本プロジェクトの意義や期待することについてのお話からスタートです。

《環境省&TABETE "No-Foodloss!"Youth Action Projectとは?》
食品ロス削減の取組の強化を目的として、株式会社コークッキングと共同で、食品ロスの削減につながる活動や事業に取り組みたい全国の学生を募集し、その取組の実現を応援するプロジェクト

主催:環境省、株式会社コークッキング(「TABETE」運営元)
事務局:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
環境省の報道発表資料より)

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「使えるものはしっかり使う意気込みで」

事務局の松岡さんからのきりりとした説明でキックオフ会は始まりました。このプロジェクトは、学生が主体となって進めるもの。参加者として着座しただけでは何も起こりません。

主催者である「TABETE」からは、代表の川越がコメントを送り、この取組はアイディアソンではなくアクションプロジェクトであることが強調されました。「皆さんはスタートラインに立ったところです。ここから、どう自走できるようになるか? がすべてです。」

その後、5人のメンターが自己紹介をして、専門分野や得意な領域を説明しました。メンターの皆さんは「どんどん質問を投げかけてください!」「私たちのことを使ってください!」とコメントしてくださいました。どの皆様も、参加者が自らアクションすることを応援する気持ち、支援を惜しまないという熱意を伝えてくれました。

《メンター》
石川 雅紀 神戸大学大学院経済学研究科 名誉教
関藤 竜也 株式会社クラダシ 代表取締役社長
関根 健次 ユナイテッドピープル株式会社 代表取締役
平井 巧 一般社団法人フードサルベージ 代表理事 CMO
横尾 祐介 クックパッド株式会社 コーポレートブランディング部 部長

5チームの皆さん。チームで企画したことをアクションするところまで、コミットしてください。メンター陣を上手に頼って、ぜひアイディアをよりよい形に磨いて実現させてください!

ユースアクションプロジェクトvol1_Zoomで集合写真を撮りました

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全5チームから初回発表 各プロジェクトについて

応募のあった29チームから選ばれた5チームが揃うのは、今日が初めて。
企画の概要や目的、ゴールについて発表してもらいました。その場で具体的な施策のヒントがもらえたグループもありました。

レポートvol.1では、全5グループの企画内容と、メンター陣からのフィードバックをぎゅっとまとめてお届けします!

以下:《 🚩プロジェクト名|団体名 》

🚩食品ロスをパスタ麺に!!|SSP(未来を少しずつ変えるサークル〜食のサスティナブルプロジェクト〜)【辻調理師専門学校】


関西SDGsユースアイディアでフェリシモ賞を受賞したアイディアがベースとなったプロジェクト。ユースアクションプロジェクトでのゴールは、理想とするサイクルのうち「子ども食堂で提供」までを実装すること。

遠藤さんたちは、4人とも調理師学生。調理をする上で品質としてはすごくイイものを出したいとのことで、プロの料理人が使用する食材としてのクオリティを確保したい考えのようでした。質を担保したうえで食品ロスに対してどれだけ取り組めるか? が大きなポイントになりそうですね。

石川教授は「商品として似たようなものがあるから、食品工学の分野で研究論文を探せば情報が得られると思います。」とヒントをくださいました。また、関根さんからは製麺まで抱き込まずに粉末を調味料として販売するスキームの提案も。

そのほか、売れなかったときに在庫となった際のリカバリー方法など、ここから練るべきポイントがたくさん見つかりそうです。


🚩食堂発"おすそわけ"を通じた地域の輪づくりプロジェクト|おすそわけ食堂まど【高知大学】 

こちらのプロジェクトは、実はすでに実践段階にあります。古民家カフェを間借りして夜だけ営業している日替わり食堂です。

Instagram:osusowake_mado 

現状、収支はギリギリ黒字といったところ。事業化を見据えて人を雇うことを考えると、今のままでは利益が足らないとのこと。食品ロスになりそうな食材の仕入れを効率化・安定化させるのが目下の課題です。

メンターからは、提供価格の見直し、新たな仕入れルートの開拓など、実践的なアドバイスが寄せられました。

関根さんは「“儲けちゃいけない”という心のハードルをなくしましょう」とコメントし、適正価格の見直しを促しました。たとえば、今の提供価格である600円(定食1つ)にこだわりがなければ、「600円プラス」という設定の仕方もあります。(「600円と、あとはお気持ちで…」と伝える)

石川教授からは、“規格外野菜に相当する肉は発生しにくい”という前提に立ったうえで、食肉を大量に仕入れている企業に協賛として関わってもらうのはどうか? という提案がありました。

《畜肉の特長》
・供給が安定している
・価格が高い
⇒高いものはもったいないから、人々は徹底的に使う。“”クズ肉も食品生産業の中で使われている。規格外野菜に相当する肉は発生しにくい。
《企業に協賛してもらって肉の仕入れルートを確保する案》
食肉を大量に仕入れている企業(焼き肉の外食チェーンなど)に対して、その企業が仕入れている値と同じ価格で売ってもらう。(販売管理費用は企業側に負担してもらう。)

*企業側にとっては、イメージアップ・ブランドバリューアップのメリットもある。志を理解してくれれば、協賛として関わってくれるのではないか。

すでに地元の人々を巻き込んで動いている「おすそわけ食堂」の未来が楽しみですね。


🚩Agriduckling(アグリダックリング)規格外をみんなの手に~Let's Taste and Eat~【同志社大学】  

直送サービスを活性化させることを通じて、地域の人同士のコミュニケーション促進にも寄与したいという今回の取り組み。ユースアクションプロジェクトでのゴールとして、取り組みの基礎となる「農家さんと消費者を直接つなぐ仕組みの構築」を掲げています。

いずれのメンターからも、先行事例・競合事業の分析が大切だという声が聞かれました。調査、分析をしたうえで、自分たちのほうがもっとよくやれる軸を見つけることもできると強みが持てそうです。

コークッキングの川越からは、「事例分析をするなかで、既存の事業がつまずいているポイントに注目するべき」というコメントがありました。併せて、もしも調査や分析が不足すると世の中にいくつも同じようなサービスが生まれるだけになってしまう恐れがありますよ、という指摘もありました。

石川教授は、「委託販売の仕組みのなかでロスが発生していそうなポイントを探るのがいいのでは」と具体的なアドバイスをくださいました。委託販売では、販売所で商品が売れ残った場合には農家が引き取るのが原則ですが、農家と市場が互いに了解して売れ残りを処分する場合もあるそうです。

すでに世の中でうまくいっている“産直”の仕組みを活用するこの案が、まだ世に知られていない隠れた「ロス」の解決につながったら素敵ですね。


🚩たべてこ:-)~全部食べてエコ活してこ~|Earth in Mind【聖心女子大学】 

大学内の食堂でのロス削減を目指すプロジェクトです。ゴールはキャンパスから食品ロスの概念をなくすこと。

関根さんが指摘したように、「学食」を巻き込めるのは大学生の特権です。それを活かすために、学校内で調査をしてはどうかというコメントもありました。余っている食べ物の内訳や、ロスになりそうな食べ物を活用した弁当を作った場合にどれくらい需要があるのか? といった項目を知ることができたら、今回の取り組みに大いに役立ちそうです。

また、平井さんからは「計測結果を発表するだけでも、削減に直結するはず」とコメントがありました。レコーディングダイエットの食品ロス版といった具合です。

c.f.  食品ロスは「はかるだけダイエット」方式で20%減る!さらにプラスアルファの取り組みで40%削減!
神戸市や徳島県では、一般家庭で食品ロスの量を記録することでロス削減の効果があったとの結果が出ている

川越からは、ブッフェ形式での提供に関するアドバイスが聞かれました。
「量り売りは、ロスが減りそうな仕組みに思えるが、じっさいは減らない。量り売り形式は、実質、品切れの許されないビュッフェと同じ。もしかすると、量り売りの導入は、みなさんが目指しているのとは方向性がちがうかもしれない。」

大学で施策を実施すれば、大学の学生や職員が食品ロスの課題に目を向けるきっかけにもなりますよね。現役大学生の特権を生かした案が実行される日も近そうです。


🚩東京家政学院大学 食品ロス削減プロシューマー教育チーム【東京家政学院大学】~地域密着型~食品ロス対策教材作り

こちらのチームはプロシューマー教育を学ぶ学生らによって構成されています。プロシューマー教育の中でも特に、小中学生向けの食品ロス教育を重要視しているとのこと。

※プロシューマー(生産消費者)はConsumerとProducerを組み合わせた造語。アルビン・トフラーが『第三の波』のなかで提唱

食品ロスの教育に使うツールとして前例がある「カルタ」でのアウトプットと、その活用方法を企画・実践するのがユースアクションプロジェクトでのゴールです。メンバーが師事する教授も今回のプロジェクトには積極的とのことで、教授の知見や人脈も活かせるのが強みになりそうです。

メンターの皆さんからは映画「もったいないキッチンを見てもらおう」との声が聞かれました。

同映画の製作者である関根さんもメンターのひとり。関根さんご自身も、学習への活用を推奨しているそうです。「映像教育は有効だと思っている。『もったいないキッチン』は95分で、これは学校の授業1コマよりも長い。来年、30分バージョンを作る予定です。」

横尾さんは「カルタという型がすでにあるので、アウトプットする段階までは早く進むのでは」との見立てでした。そのうえで、カルタが児童にうまくウケるかには課題があるという考えを話してくださいました。「ほかの遊びを差し置いてカルタをやるかどうか?と考えると… 学校側と協力してカルタをやる時間をとるくらいの能動的なアプローチが必要になりそう。」

また、関連して「食品ロスと飢餓の問題を結びつけて語ること」への違和感についても意見がありました。

石川教授は「食品ロスの課題は『もったいない』の思いに集約される。
“命をいただくから、それを食べずに捨ててはもったいない”という説明は、年齢の低いひとにも分かりやすい。小学生に対しては、飢餓と食品ロスを分かりやすいストーリーとして伝えるのもアリ」という考えを述べながらも、

「日本で今ある食品ロスを減らすことそれ自体は、世界の飢餓をなくすということからは一歩離れている感じがする。そのあたりを、子供向けのアウトプットとは分けて、自分で納得してまとめておくことが必要では。」と大人が正しく事実関係を理解しておくことの必要性もお話しくださいました。

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現実の社会を相手に自分たちの力でアクションを起こせ!

発表のあと、参加する学生たち・メンターとで会話する時間が設けられました。さっそくメンターに依頼して作戦会議のアポイントを取っているチームもありましたよ!

次回このメンバーで集まるのは、12月3日の中間報告です。短い期間で突っ走るユースアクションプロジェクト。皆さんの成果を伺うのを楽しみにしています!

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