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地元で”高くても売れる”、トマト生産3つのアイディア!美味しさのピークで出荷される「由宇とまと」

山口県岩国市街の南、由宇川に沿って山間部から海岸部に広がる、岩国市由宇町(ゆうちょう)。この町の名産品で、由宇の人たちが「ちょっと高くても買ってしまう」という、”由宇とまと”をご存知でしょうか。

約45年も前から、瀬戸内の温暖な気候を活かして栽培されている由宇とまとが流通しているのは、岩国市内と隣接する地域だけ。

地域限定販売で地元民に愛されるこのトマト、作っているのは若手新規就農者中心の集団でした。先輩からの技術を紡ぐ、由宇とまと園芸組合のアイディア3つとは?

書き手:記田祐里

遠くに運ばれないからできる、「熟成発送」

由宇とまと

由宇とまとは、瀬戸内の太陽をたっぷり浴びて作られる、真っ赤な姿が特徴。

一般的なトマトは、流通する過程で日が経ち熟していくことを考えて、青いまま収穫されています。しかし、由宇とまとは、時期によって多少異なりますが、限界まで樹上に実った状態で熟させ、きれいに赤くなってから収穫。美味しさのピークに近い状態で出荷され、お店に並んでいます。

地産地消で成り立つ3つのアイディア

ハウス一面に広がる由宇とまと

由宇とまとは、関西、関東、九州などの広域な市場にはほとんど出回っておらず、山口県内(主に岩国市内)や広島県など近隣地域のみで流通しています。まさに「地産地消」で成り立っているトマトです。

しかし、由宇とまとは一般的なトマトに比べてちょっとお高め。それでも地元民から親しまれ、買ってもらえるトマトであるのには、大きく3つの工夫がされています。

1.組合員”全員”エコファーマー

組合員はみな、減農薬や循環型農業に取り組む農業者の認定:エコファーマーを受けた農家さんたち。安心・安全の実現のためにと、自主的に取り組んでいるそうです。

2.食の安心を実現する、優しい消毒

由宇とまとは、冬と春に作られる作物。収穫が終わった夏になると、ハウスの中が40度〜60度に。そんな瀬戸内の太陽の力を、収穫が終わった土地に利用して太陽熱消毒をしています。薬剤を減らしても、虫や病気から守ることができている自然の消毒です。

3.掲載ワードが統一されたパッケージ

組合員の1つ、おかざき農園で販売されている真っ赤なトマト

販売をする際は自分たちで袋詰めもし、生産者の名前を袋に記載することの統一を徹底しています。「由宇」という地名も明記し、目に見えて「地域のこの人が作っている」と消費者にわかってもらうことで、地域に愛されるトマトが実現されています。

由宇とまと農家の原動力はここにあり

取材にご協力いただいた由宇とまと園芸組合の小橋さん(左)、岡崎さん(右)

「地域に根差した、美味しいトマトを作りたい」。

エコファーマーやパッケージなど、日々愛される由宇とまとであり続ける工夫を、組合のみなさんが意見交換をしながら行っています。

新規就農者として組合に入った若者が多いことから、スマート農業の導入や、蜂に力を借りた受粉方法など、栽培するための工夫も柔軟に取り入れることができているそうです。

由宇に行かないと食べられない「由宇とまと」の成功の秘訣は、組合・地域単位でブランドを出していくことと柔軟に新しいことにチャレンジしてノウハウを共有していく姿にありました。



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