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動画で学ぶハンドリング

こんにちは!

言語聴覚士オンライン 編集部の奥住啓祐@taberuhanasu)です。

所属法人が国内外で介護保険に関わる事業を行っており、僕自身もいろんな事業に関わる関係でここ3年くらいは年に1つは新しい資格をとるか、新しい分野の勉強を始めています。

おととし、介護支援専門員、認定調査員、福祉施設の第3者評価員の資格をとったのですが、今年は海外事業の兼ね合いで、外部監査人の資格をとるために勉強しています。


今回の記事のテーマはハンドリング。ここ数年 ST を対象とした嚥下と姿勢や徒手療法の研修会も増えてきましたね。

そもそも、STが口腔顔面以外でも身体にふれるという認識は学生時代にはありませんでした。最初の就職先がたまったま有名なボバース病院だったので(就職面接の時に知りました)、ありがたいことに1年目から身体をふれるということを学ぶことができました。

ベッドからの移乗動作の介助、その前の寝返り介助、食事前のポジショニング(食べるための姿勢を整える)など、口腔顔面に関わらず「ふれる」という機会は、大学で学んでいた頃には想像できないくらいSTも機会が多いですが、そのことについて学ぶ機会は驚くほどありません。

きっと多くの新人さんは ①どこに触ったらいいの? ②どう動かしたらいいのだろう? と分からなくて不安だと思います。


ちなみに僕が徒手療法の研修を始めたのが今から8年前くらい。その当時はST向けの研修といえば各士会の企画やボバースなど大きな団体のものしかなかったのを考えると、ここ数年ST対象の徒手療法の勉強会が増えたことは、STが「ふれる」ということを学ぶキッカケが増えて嬉しく思います。

研修のスタイルもどんどん変化していくなかで、

今後、「座学」という学習スタイルのものはオンライン学習へながれ、実技もTwitterやYouTubeで配信しているセラピストも増えており、リアルに集まって行う研修の在り方も変化していくのを感じます。

いま顎の研究をされている理学療法士の古泉さんとコラボで企画している 顎×舌セミナー も座学はzoomを使ったオンラインでの研修、実技は実際に集まって行うというスタイルにチャレンジします。

*実技枠はあっという間にキャンセル待ちとなりました。


今回のテーマである「ふれる」ということも、ほんとは実際に自分の身体で体感してもらいながら学んでほしいのですが、リアルな研修の場 以外でどれだけわかりやすく伝えられるか、今後も試行錯誤しながらチャレンジしていきます。


それでは本題に入っていきましょう。


ふれる

摂食嚥下障害のリハビリテーションに携わる方は口腔ケア、ベッド上や車いす上でのポジショニングなど、何かしら触れるということをされているでしょう。

どんな方でも、いきなりふれることはしないと思います。ご本人やご家族とお話しながら、まずは観察による評価が始まります。

どんな方であれ基本的に口腔内を観察するときは、口腔軟組織(舌や口唇など)の状態、口腔硬組織(歯列、歯、上顎形態、下顎形態)の状態などを観察します。

観察しながら現状把握をするとともに、生まれてから、今に至るまでの①口腔機能の変化の流れ、②過去・現在・未来における様々な活動の経験の過不足、③口腔内環境の変化に伴う食べる、話すといった活動や全身への影響などを予測していきます。このあたりは口腔機能探求部に参加されると徐々に見えてくると思います。

今回はハンドリングがテーマなのでこれらのお話はまたいつか。口腔軟組織の評価について勉強したい方は記事最後に紹介している書籍を熟読することをお勧めします。

開口して10秒くらいでこれらを評価し、

そして ”できる範囲” で口腔内は軟口蓋まで「全て」触れて評価を行うのですが、そうすることで観察では分かりにくい、介入の優先順位(ここを先にケアしておくと機能改善が早いよねっていうポイント)や必要な課題の難易度の調整が見えてきます。

オンラインで口腔に関する相談を受ける時も、なるべく早い段階でこれらのポイントは確認し、目標に到達するまで遠回りにならないよう気をつけています。

「ふれる」というのはクライアントの目標へ向かって伴走するための一手段であり、ふれられることで、ふれる人もふれられる人も自分の状態に気付くキッカケとなります。

ハンドリング含めた徒手療法に固執する必要は全くありませんが、ここぞという時に最小限の時間でバシッと変化(必要な運動経験を共にする)を引きだせる一つの選択肢としても「ふれる」という事が出来れば良いな、と個人的に思っており日々修行しています。

またふれるポイントとコツさえわかれば、ふれるのはクライアント自身でもかまいません。特に口腔内はセルフケアであっても、口腔内や全身(上下肢や体幹など)は変化していくのでクライアントの方も驚かれます。

オンラインでの相談では当然ぼくは触ることはできないので、相談者ご本人か家族の方に口腔に触ってもらって変化を感じてもらいます。


歯科 腹臥位

↑ 小児歯科での腹臥位での口腔トレーニング風景


「ふれる」と同じくらい、声掛け(使う言葉、どのような声か、タイミング)、セラピストの立ち位置(座り位置)、間、大きな意味での環境変化に対する相手の反応をキャッチする力などといった要素も大切になります。

それでは実際に動画なども見ながら一緒にヘッドコントロールやハンドリングについて考えていきましょう。


今回のテーマはハンドリングする しない関わらず大切になってくる内容ですが、おそらく多くの研修会では語られないところかもしれません。とても大切な内容のですが、そもそも聞いたり文字だけで理解するのは難しい内容ですので、6つの動画も見ながら一緒に考えていきましょう。


また日々の臨床にすぐに活かせる内容か?というと活かせる人もいれば、そうでない人もいるかもしれません。ただ、最初の「ヘッドコントロールと舌」の評価は皆さん簡単に実践できて面白い気付きも得られると思います。


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観察評価:ヘッドコントロールのときの舌


ハンドリング:徒手的介入による対象者の身体操作の総称

宮本一巧,2018


はじめて「ふれる」ということを学ぶ方はこんなことを意識すると思います。

① どこに触ったらいいんだろう

② どう動かしたらいいんだろう


僕自身も徒手療法を学び始めたころはこの2つをよく考えていました。


この疑問に対して今はこのように考えています。

① どこに触ったらいいんだろう

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