綺麗でいる

大学生の何ともない、ごく普通のバイト生活、毎日綺麗にしてた。綺麗にしてたというのも、毎朝のメイクだけど。今思えば、一日も手を抜いたことはなかったと思う。ものすごい寝坊をしたときに、雑にしてしまったくらいで、でもそれすらも、全工程をすっ飛ばさずに間に合わせていた。

きっかけは、大学1年生のとき。真面目で無頓着だった私は、高校生の間にちっとも化粧を覚えなくて。大学生で初めて触れるものだった。そんな高校生最後の3月に見たその年の占いに『すっぴんで外に出ると全ての運が落ちる』と書いてあった。

所詮占いだけれども、その一言をきっかけにどんなに具合悪くて近所の病院に行くときも、1年間化粧をし続けた。おかげで、化粧をしない女子大生にならなくてすんだ。

悪循環に陥ってる私は、一昨日、マスカラをつけ忘れてた。ビューラーすら使ってなかった。帰宅してふとしたときに思い出した。無意識に忘れていた。

そして今日は、意識的に手を抜いてしまった。たぶん、化粧をし始めてから初めて手を抜いた。街中を通るのに手を抜いた。

自分の持ってる顔はもうこれ以上、変わることはないのだから、できるだけ綺麗でいたいと思ってた。この顔でできるところまでは綺麗でいたい。かわいくはなれないけれど、綺麗でいたい。そう思ってたのに、意識的に手を抜いてしまったことが今になって悲しい。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?