草原

詩:沈黙する草原

草は呼吸するとき

音も吸い込む

だからそれらがこすりあうさざめきの中に

宇宙の真実を思わせる無音の瞬間が訪れる

それをいつまでも聴いていると

次第に耳の中で何かが生まれて

やがては頭の中を貪りつくしてしまう

だからまぶたをとじてみる

すると不確かな記憶のそこで

何かが揺れていた


幻のような光が

瞳孔

水晶体を通って

分光して

角膜に到達して

いま

像が結ばれる

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