詩:そこにしかいない君へ

その言葉はやわらかい種類の液体のように黒い海の境界をたゆたっていて 

そこで生まれ関節の数をたがえた雪は記憶となりやがてついえた

ここにいようと笑う君の皮膚の裏で崩れる骨のその音は

いつかの原始の水を温め流れだした調和の中で

忘れられない悲鳴を時間の外に閉じ込めるのだろう

「泡を吐いた夢を見るよ」

「君を見てるとなんだかすごい悲しいんだ」

「笑いながら手を振るからみていてね」

そうしたらセピアの中で

廃ワゴンの壁を叩くあの音が

君にもきっと届くから

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