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詩集:どこにもいけない

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行き場もなく日々わだかまる言葉達は、詩の中以外はどこにも行けない
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#あけましておめでとうございます

詩:うどんがもうもうと立てる湯気をみていた

詩:うどんがもうもうと立てる湯気をみていた

うどんがもうもうと立てる湯気を見ていた

立ち上る白い蒸気は色が違えば炎の形状と寸分変わりなく

色が違うだけなのだと思ってみている

年の瀬も近くなり

母がベランダの窓を忙しなく拭いており

「大掃除してたのよ」などという

彼女も立派な日本人なのだという事を感じ入り

またもうもうと湯気を立てる椎茸に見入り

外では冬の風が大げさに洗濯物をあおっていた

窓を拭き終えた母は手首にシップを巻い

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