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詩集:どこにもいけない

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行き場もなく日々わだかまる言葉達は、詩の中以外はどこにも行けない
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2019年12月の記事一覧

詩:ひみつ

詩:ひみつ

「月齢14の夜」

「金の光が手ですくえるくらい」

「冬の繊維がふくらんでにじむころ」

「銀に光るハシゴをのぼろうよ」

「夜空の隙間から」

「まるで雲母を割ったような」

「優しい夢の構造が見えますが」

「それはぼんやりとつかみどころがありません」

(でも、あなたの瞳の奥にも存在します)

「神様の骨盤のなか」

「孵化したばかりの天使たちは」

「泡のような声でふつふつ笑っているよ」

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短詩:日曜日の幽霊

月曜日の朝
路上に散らばる
日曜日の残骸が
かすかに光を宿したまま
まだきらめいている

みちゆく人は
気づきもしない

昨日という日が
幽霊になって
いたるところで
息をひそめているなんて