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詩集:どこにもいけない

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行き場もなく日々わだかまる言葉達は、詩の中以外はどこにも行けない
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2018年11月の記事一覧

詩:翡翠色の午前二時

真夜中の庭から庭へと
彼岸花を辿る旅

百歳の古井戸の底の水
揺れる植物の一つ一つ

ひかりというひかりが
夜の終わりを見つめているのでした

裸足で家を逃げた子ども
ちいさな公園でひとり

銀色の箱舟が
空に溶けていくのを見るのでした

人のいない街は時間がうつろっても
灰色のままで

道の先で信号が
きいろ、きいろ、きいろ、
と点滅するのでした

詩:だいだらぼっち。ひとりぼっち。

詩:だいだらぼっち。ひとりぼっち。

まちのひかりはおもちゃみたい

あおくわいた雲のかたち

ぎんいろのスプーン。ながれぼし

ひつじの群れはヨーグルト

ステンドグラスのキリン、ライオン

すこしふれただけでぜんぶこわれた

ここにいてもいいよ。を

じっとまっていた

かなしければとうめいになって

プランクトンだけをたべていたかった

それでもつくりたてのアスファルトの上を夢みて

小鳥のしんぞうが止まる日のことを

思い浮か

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