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ジェンダーを考える本・5冊

3月8日は「国際女性デー」です。1904年3月8日、アメリカで婦人参政権を求める女性労働者たちのデモに端を発し、その後広まった女性運動の経緯を受けて、1975年の国際婦人年に国連が制定しました。

この日は、女性の自由と権利を謳い、達成してきた成果を認識する日、とされています。女性たちの長い闘いの歴史を引きついできたフェミニズムを確認する日でもある、といえるでしょう。

タバブックスでは日本、韓国のフェミニズム書籍を刊行しています。男女差別にあらがい闘ってきた女性たち、ジェンダー格差、女性嫌悪、性暴力など諸問題への若い女性たちの取り組みをぜひこの時期に読んでいただきたく、ご紹介します。

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失われた賃金を求めて
著 イ・ミンギョン 訳 小山内園子・すんみ

「韓国で、女性がもっと受け取れるはずだった賃金の金額を求めよ」。
『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』で日本にもおなじみになったイ・ミンギョンさんによる、男女の賃金格差をテーマにした本です。刺激的なことばから始まる本書は、この勢いのままに、昇進、雇用条件、就職、進路選択などの場面ごとに男女の賃金格差がどのように生まれているか、徹底的に追求しています。バッサバッサと不条理な格差に斬り込むミンギョン節がますます冴え渡り、スカッとすること請け合いです。

女性が女性だというだけで不当に評価を切り下げられる歴史は長い。もし女性が仕事で差別されていなかったら、入社直後の女性は自分の昇進の可能性をどう見きわめ、どれくらいの野望を抱いただろうか?            (本文より)


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夢を描く女性たち イラスト偉人伝
著 ボムアラム 訳 尹怡景

教科書に出てくる偉人はなぜ男性だけ? なのでつくった、女性偉人伝!

世界各地に、さまざまな国籍、時代、活動分野で活躍した女性たちがいます。夢に向かって行動したその人生を、現代の女性作家たちのイラストとともに紹介。韓国のフェミニズム出版社ボムアラムによる、歴史上の女性のあたらしい検証です。
この混迷する現代社会に生きるなか、自らの意思で世界を切り拓いてきた女性たちの行動は、私たちに勇気を与えてくれます。日本版はあらたに 6 人の女性を追加、日本のイラストレーター6人が参加。

フロレンス・ナイチンゲール  ハンマーを持った女
エメリン・パンクハースト 「女性に投票権を」
チャ・ミリサ 「女性よ、自分の考えで生きろ」
ヘレン・ケラー 障害を乗り越え偉大なる社会活動家へ
キム・ジョムドン 大韓民国初の医学士
山川菊栄 「無知は女の罪ではなく、過去の日本の罪」
キム・ミョンスン 「朝鮮よ、私をさらに虐待してみろ」
ヴァージニア・ウルフ 「考えることが私の戦いだ」
クォン・キオク  独立運動の夢を抱いて空を飛ぶ
ナ・へソク  女性も人間であることを思いきり叫んだ一生
ブ・チュンファ  ビッチャンを手にして済州海女抗争を導く
ローザ・パークス 「正しいことをしているのなら、怯えてはいけません」
ホ・ジョンスク 女性解放と自由恋愛を訴えた100年前の声
イ・テヨン  戸主制の廃止を導き出した韓国最初の女性弁護士
キャサリン・ジョンソン 差別を乗り越えNASAの偉人になる
石牟礼道子  水俣病を鎮魂の文学として描き出した
ト・ユウユウ 極端に劣悪な環境のなかで成しとげた、もっとも偉大な発見
パク・ナムオク 「いったん正しいと思ったら前だけをみて突進した」
ジェーン・グドール 夢を追いかけて偉大な研究者・活動家へ
田中美津 「女が、女として生きてないのに、妻として、母として生きられるか!」
ベルタ・カセレス 全世界が悲しんだ死
マリアム・ミルザハニ 女の子たちがみずから才能があると感じられるように
チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ 「私たちはみんなフェミニストでなきゃ」
ジャシンダ・アーダーン 差別・偏見に抗う女性首相
マララ・ユスフザイ 「銃や刀で私たちの学びを止めることはできない」
グレタ・トゥーンベリ 「私たちは未来がほしくて、ストライキをしているのです」
【日本版追補イラストレーター】
のむらあい(山川菊栄)
安達茉莉子(石牟礼道子)
オカヤイヅミ(田中美津)
はらだ有彩(ジャシンダ・アーダーン)
惣田紗希(チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ)
箕輪麻紀子(グレタ・トゥーンベリ)

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韓国フェミニズムと私たち
編 タバブックス

フェミニズム・リブート、江南駅女性殺人事件を契機に若い女性たちがフェミニズムに覚醒し、声を上げ、社会に変化をもたらしている韓国。現在起きているフェミニズムムーブメントとその背景を検証、女性作家、アクティビスト等の声を伝え、韓日女性たちの連帯をすすめるための1冊です。

1.韓国のヤングヤングフェミニストたち 
脱コルセット 到来した想像  イ・ミンギョン
フェミニストのコミュニティ設計  シン・インア(FDSC)
interview ボムアラム(出版社)/ハン・セッピョル(DSO=デジタル・性暴力・アウト研究チーム長)
2.彼女たちが書くことば
私たちが石膏人形に生まれたとしても  チョン・セラン
女友達にコクられた  イ・ラン
韓国フェミニズム文学に描かれる共同体  すんみ
interview ユン・イヒョン(作家)/キム・ジナ(コミュニケーション・ィレクター)
3.ソウルで知ったこと 女性たちの行動 
性平等図書館「ヨギ」/記憶ゾーン/ウルフソーシャルクラブ/カフェDoing/マリーモンドラウンジ/戦争と女性の人権博物館
水曜デモは平和だ  リュ・ジヒョン
4.連帯、そして日本の私たち
ガールズ・ビー・アンビシャス  小山内園子
フェミニストであることが一番収まりがいい 小川たまか
日本の読者がK文学に見つけたもの 倉本さおり
コラム:江南駅付近女性殺人事件/フェミニズム・リブート/韓国 あたらしいフェミニズムの本/韓国 女性と社会の歴史

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私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない
著 イ・ミンギョン 訳 すんみ 小山内園子

「あなたには、自分を守る義務がある。自分を守ることは、口をひらき、声を上げることからはじまる-」
2016年にソウル・江南駅付近で起きた女性刺殺事件をきっかけに、韓国社会で可視化され始めた女性嫌悪、性差別の問題。著者は事件を風化させないために9日間で書き上げ、SNSで仲間を集い、出版社を立ち上げて本書を発行しました。なぜ男性のことばにモヤモヤするのか、差別がなくならないのか。女性たちが実際の体験から問題をていねいに読み解き対策を考えた実践的なフェミニズム書です。

「どうして自分はフェミニズムという用語に拒否感があるのか」を考えるべきではないでしょうか。もしかして、「自分の意見が通りそうにないから」「自分の発言にだれも耳を貸してくれなさそうだから」「自分の居場所はなさそうだから」ではありませんか? そうです、まさに女性たちが、毎日そんな思いで暮らしてきました。フェミニズムは、これまで疎外されていた女性たちの声に説得力を与える運動なのです。(本書より)

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「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。
著 小川たまか

性暴力被害、痴漢犯罪、年齢差別、ジェンダー格差、女性蔑視CM、#metoo...多くの人がフタをする問題を取材し、発信し、声をあげ続けるライター・小川たまか初の著書。2016年から2018年に起きた、性犯罪やそれにまつわる世論、性犯罪刑法改正、ジェンダー炎上案件などを取り上げ、発信してきた記録です。

不公平を指摘すると『面倒くさいヤツ』認定される。散々ひどい目に遭わされて、絞り出した声を『そんな言い方じゃ、誰も味方にならないよ』と言われる。そんなことが、これまで何度繰り返されてきたのだろう。(本書より)



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