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大量虐殺に抗する「交差性」/松下新土(仕事文脈vol.24・特集1「反戦」と仕事 寄稿)

「わたしたちは同じ戦争を闘っている。わたしたちは相変わらず目的地を探し求めてもがき苦しみ同じ闘いの内部にいる。もうひとつの戦争からもうひとつの避難所へとつながらない目的地は何ひとつない。(…)くりかえし何世代もかかって人びとは目的地を目指し、その目的地に向かう歴史的航路には多くの欺瞞が重ねられてゆく」(※1)

 現在、ガザでは未曾有の大量虐殺と民族浄化が起きている。空爆開始の一ヶ月半前まで私はパレスチナに滞在していた。これまでパレスチナで見てきた「占領下」の暴力の現実を、その中でも日々の生活を営んでいる友人たちのことを、私は今後も記述していかなくてはならない。それ以前に、このガザの大量虐殺を一秒でも早く止め、占領の是正と、日本もふくめ、「戦争の時代」の到来を阻止する、身の丈をこえた仕事をすることになり、打ちのめされている。

 この虐殺に抗するあらゆる行動によって痛感させられたのは、すでに日本も戦前ではなく「戦中」、つまり「戦争の内部」にある状態だということだ。書かねばならないことは無数にあるが、紙幅が限られているためここでは現実的な内容に限って記述する。

 ガザの虐殺を止める抵抗に身を投じながら、今後も向きあい続けると決めている最低限の「交差性」についての覚書をここに記しておく。これらの事柄を私に教えてくださった実に多くの方が自身の痛みと、社会の不正義とをつなげて真剣に考え抜き、長く苦しんできた抑圧された立場の方だったことを、はっきり記録しておく。

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