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ヤマコンさんお悩み相談vol.1 「老後のお金の心配を減らしたい」「労働組合の若手を増やすには?」

時々お悩み相談を500円で行っているヤマコンさん。今回、noteの特別企画としてヤマコンさんへのお悩み相談を募集しました。『くそつま本』にも通じる「自分で、無理なくやっていく」視点からの回答は、相談者ならずとも何かのヒントになるかも。第1回では「インフレが止まらない社会で、老後の心配を減らしたい」「労働組合の若手加入者を増やすにはどうすれば?」の2本をお届けします。(構成:小沼理)

※相談の内容は読みやすいよう、文章を一部編集しています。

相談1:インフレが止まらない社会で、老後の心配を減らしたい

出生から心も金銭も貧乏な家庭に育ち、万年貧乏にも慣れてしまっています。「生活保護暮らしでもなんか良いやー」という低いモチベーションからでもできる、おすすめの積立の方法や意識の変え方ってありますか? 現状には満足していても社会のインフレは止まらないですし、物価の上がり続ける現世で老後の心配を減らしたいです。(空飛ぶキツネさん)

積立もいいけど、収入源の確保がおすすめ

老後の心配、減らしたいですよね。

自著『くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話』に書いたような資産運用術も老後資金対策としてじゅうぶん役に立つとは思いますが、今後何が起こるかわからない以上、老後の全人生を資産に全賭けするのは危険かも。
貯金・株式・投信・外貨・貴金属など、どんな資産もそれぞれそれなりのリスクを抱えています。

生活保護に関しても、働ける人や資産のある人は受給資格がもらえないはずなので、もしものときのバックアップを持ちにくい状況になります。例えば家庭環境の変化や、制度自体に変更があった場合など、何らかの要因で受給資格を失うリスクもあるし、社会情勢によって制度自体が継続困難となった場合は立て直しが難しそう。

老後の心配を減らしたいという意味では、生活保護では安心できる状態を作りにくいと思います。
あくまで最後のバックアップと考えましょう。

積立も悪くないですが、どちらかというと収入源の確保がおすすめです。
僕も老後の心配が全くないわけではありませんが、何歳になっても働き続けられるイメージが湧いているので、そこまで大きな不安はありません。

収入源さえあればある程度のインフレは特に問題なくやり過ごせるし、社会情勢の変化にも臨機応変に対応できるはず。
これが最も安全・安心なように思えます。

ということで、老後も無理なく働き続けられる仕事を探すか、自分で作っていくことをおすすめします。

歳を重ねるほど、暮らしのノウハウは増えていく

僕は30歳のときに仕事をやめて、少し早めの引退生活みたいなものをはじめました。もうすぐ3年になりますが、いまのところ調子良いです。

普段はコラムを書いたり、ゆるめの喫茶店を営業したりしていて、その売り上げなどで生活しています。
喫茶店は週4日営業で、その隙間を縫って無理のないペースで執筆したり、遊んだりしていて、そもそもあんまりお金を使わないので、そんなにたくさん働いてないけど楽しくやれています。
いまの暮らし方は身体への負担が少なく、老後も続けられるイメージが湧きます。

これから先、目が見えなくなったり、頭が冴えなくなったり、家族が増えて生活コストが上がったりして今の生活を続けられなくなる可能性もうっすら想定していますが、そういうときに次の生活へシフトするまでの時間を稼ぐべく、資産をコツコツ積み上げてきました。それなりに丈夫な生活を組み立ててきたつもりです。

そもそも現在と老後で何が違うかというと、
・老後は体力的に働ける時間や職種が限られること
・突然体調を崩す可能性が上がること
などが考えられます。

でも場合によっては趣味が高じてお金が入ってくることもあるし、老後=働けないとも限りません。
身体的、精神的に大きな負担がなければ、仕事を続けることはできるはず。
割と身近なところでも、80代の陶芸家や90代の寿司職人など、高齢になっても楽しそうに現役を続けている人を何人か知っています。

いわゆる「現役時代」と「老後」、という分け方は会社都合で作られた基準のように思えるし、無理に自分に当てはめなくて良いでしょう。
むしろ歳を重ねるほど生活が上手くなっていくはずなので、疲れずに働く方法とか、少ないお金で楽しくやっていける暮らし方のノウハウはこれからも増え続けていくはず。

老後の心配を払拭するにあたって資産があるに越したことはないし、お金の知識も役に立つとは思いますが、人間は必ずしも衰えていく一方というわけでもないし、一昨年よりも昨年、昨年よりも今年のほうが面白かった自分としては、30年後はもっと楽しいのではないかと思って、加齢をポジティブに捉えています。

経験的に、「老後も続けられる仕事をゆっくり探しながら暮らしていく」というのが最も老後の不安を吹っ飛ばしてくれることに繋がるのではないかと考えています。
視野を広く持って生活していたら、長期的に続けられそうな収入源・仕事もきっと見つかるのではないでしょうか。この世になかったら作れば良いし、意外とどうにでもなる気がします。

みんながどうにでもなるような社会を作っていきたいので、僕もゆっくりがんばります。
なんか勝手にやる気出てきました。ありがとうございます!

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相談2:労働組合の若手加入者を増やすにはどうすれば?

とある県の学校に勤務している事務職員の30代男性です。現在、労働組合に所属しながら、給与や勤務条件の向上を求めて当局(県教育庁)と団体交渉をしたり、活動を非組合員である教職員に伝える情宣紙を毎月発行したりしています。
活動自体は楽しいのですが、今後、組合の先輩方の定年退職が目前に迫る中、特に若手の組合加入者を増やすにはどうすればよいのか悩んでいます。ぜひともお知恵をお貸しくださいませ!(松川 徹さん)

情宣紙からは、美的センスや人間性も伝わっている

色々考えられると思いますが、今回は「情宣紙」というやつに集中して考えてみます。
勉強不足で情宣紙というものをよく知らないので、労働組合が発行する紙の月報のようなものだと勝手に仮定します。

「活動を非組合員である教職員に伝える」ということですが、実際には活動内容だけでなく、発行者の美的センスや人間性や雰囲気も伝わっているはず。
どの程度自由に作れるのかわかりませんが、情宣紙の使い方次第で労働組合のイメージがかなり変わるように思えます。

まずは、以下のようなことを試してみてはいかがでしょうか。
①情宣紙のタイトルやロゴ、サブタイトルを見直す
②楽しいという部分を前面に出す

サブタイトルでゴールを共有する

まず、①の「情宣紙のタイトルやロゴ、サブタイトルを見直す」についてです。

僕がウェブメディアの運営や印刷物の刊行に関わる際は、タイトルやロゴはもちろんですが、サブタイトルをかなり重要視しています。
例えば、僕が運営に関わっているサバイブには「お金の情報格差をなくしたい」というサブタイトルが付いており、読者の目につくところにも書いてあります。

このようなわかりやすい主題があると、どの執筆者がどんな題材の記事を書いたとしても、明確に「お金の情報格差をなくしたい」という最終的な目的を想いながら書くことになるので、編集チーム全員で同じゴールに向かって書くことができます。

複数人でひとつのメディアを運営する場合、メディアを運用していく目的や考え方の軸みたいなものをしっかり作って共有しておかないと、メディアの色がわかりにくくなってしまいます。読み手がどの記事から読むかによってメディアへの印象に大きなブレが生じます。
不本意な印象を持たれてしまう可能性を少しでも下げるためにも、芯をしっかりと作りこんでおくと良いでしょう。

タイトルやサブタイトルにメッセージ性を持たせると、それ自体が簡易的な芯の役割も果たしてくれるし、読者の目につくものでもあるので伝えたいことをより伝えやすい状況を作ってくれます。

情宣紙も誰かに何かを伝えたくて作っている物だと思うので、伝えたいことが好ましい形で伝わってくれたら良いですよね。
それによって読者からのイメージが良くなったり、活動内容がわかりやすくなったら、新しい加入者の増加にもつながると思います。

また、万が一方向性の違う記事が上がってきた場合も、他のメンバーからNGを出しやすくなり、上下関係に依存しない編集環境が整うというメリットもあります。若手が活躍する機会にも繋がるのではないでしょうか。

サブタイトルは紙面に載せても良いし、編集側で共有するだけでも良いですが、もしなければ作っておいて、定期的に見直すと良いと思います。

「活動が楽しい」から興味が生まれる

続いて、②の「楽しいという部分を前面に出す」です。

いただいた文章の中で「活動自体は楽しい」という部分が素晴らしいと思いました。
僕はそこから労働組合の活動に興味が湧いたので、その部分を前面に押し出して発信していくのも良いと思います。

①とも絡んできますが、最終的な目標を「労働環境の改善」とかじゃなくて「社員に愛される会社を作る」とか、「仕事も休みも楽しくなる」みたいなところに設定しても良いかもしれません。
呑気すぎるかな……

拙著を読んでくださったということでご存知かと思いますが、僕は就職らしい就職をしたことがないので、労働組合を間近で見たことがありません。
活動の頻度や会費みたいなものについてもわからないし、実際の雰囲気も掴めていないので、全体的にお門違いなアドバイスだったらすみません。

もうちょっと違う角度の解答をご希望されるようでしたら、お手数ですがメールかDMなどでいただけたらと思います。
いつもひとりでコラムや記事を書いていると、自分の生活の中から出てくる疑問や、自分が研究している分野のことで頭の中がいっぱいになってしまいます。こうしてコミュニケーションをとらないと考えもしないようなお悩みをいただけるのはありがたいです。

労働組合に興味が湧いてきたし、考えるのも楽しかったです。ありがとうございます。

次回は「証券会社に任せっきりの投資をしている母が心配」「激務のパートナーに、日常を取り戻すアドバイスを伝えたい」の2つの相談にお答えします。こちらにもご期待ください!

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