見出し画像

わたしのミクロな平和活動/碇雪恵(仕事文脈vol.22)

「ZINE作りは、論破カルチャーに対抗するひとつの手段! 」

 登壇するイベントの宣伝としてツイートしたこの一文がきっかけで、「NO!論破!」特集に原稿を寄せることになった。だけど今思えばかなりノリで書いた惹句だ。これに続くのが「長々と結論のない話を実際にすると嫌われますが、それを本にするとなぜか耳を傾けてくれる人が現れる不思議!」で、実はこちらの方が自分の実感に近い。とは言いつつ、この二つはちゃんと繋がってる気もする。考えてみたい。

 コロナ禍を機にTwitterの治安が急速に悪化した。確証はないが、コロナ禍で利用者自体が増えたという記事はあった。一つのトピックへの意見は以前に増して二極化するようになり、何より最初の緊急事態宣言中はみんなの不安がタイムライン上で増幅され、その巨大な渦は実際のコロナウイルスの脅威よりも恐ろしかった。

さらに言えば、治安云々以前の問題として、自分の考えが140字の枠に嵌っていることにも漠然とした危機感があった。書くことは考えることなのに、140字に収めるためには「無駄」を捨象しなければならない。

さらには、近しい人たちの当該のトピックへの意見を横目に見遣った上で、「寄せた」投稿をする癖もついていた。そういうやましさは、自分自身を損なわせている。そんな気がした。では字数制限がなく、タイムラインのないブログはどうか。その頃既にはてなブログを始めていたが、無料で誰もが閲覧できる場所ではそうのびのびもできない。

ここから先は

1,801字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

お読みいただきありがとうございます。サポートいただけましたら、記事制作やライターさんへのお礼に使わせていただきます!