【作成中につき5部限定割引中】足関節捻挫後に対する治療戦略〜受傷直後から競技復帰・再発予防まで〜
こんにちは!
だいじろう(@idoco_daijiro)です。
今回は、セラピストやトレーナーが対応することが多い「足関節捻挫」についてまとめていきたいと思います!
足関節捻挫は、スポーツ現場はもちろんですが、整形外科領域でも多く遭遇する疾患です。
さらに言うと、診断を受けていないケースも含めてかなり多くの方が足関節捻挫の既往があるのではないでしょうか?
そして、その多くが足関節の不安定性や可動性低下、筋機能低下などの機能障害を引き起こし、足関節だけでなく、膝関節や股関節、体幹などのさまざまな部位の疾患の発生要因となり得ます。
なので、外傷・障害予防の観点からも足関節捻挫に対する知識をもっておくことは大切だと思います。
しかし…
残念ながら整形外科領域においてもまだまだ足関節捻挫は軽視されている傾向にあります。
軽症例であれば「湿布を貼っておきなさい」と。
重症例であってもギプス固定して固定が外れたら「もう大丈夫」と。
そういった医療機関もまだまだ多いのが現状だと思います。
実際にTwitterでアンケートをとってみると…
リハ処方があるところとリハ処方がないところは半々という結果でした。
やはりまだまだ足関節捻挫についてはリハの重要性が認識されていませんね。
先程も言ったように足関節捻挫後にはさまざまな後遺症が残ります。
✅足部・足関節の不安定性
✅距腿関節の可動性低下
✅足部・足関節周囲の筋機能低下
など。
とくに臨床的に多く見られるのは、足関節捻挫の後遺症として、足関節の不安定性が生じたことにより、足部外側への荷重ができなくなり(怖いため)荷重線が足部内側に偏位し、扁平足を呈しているケースです。
この荷重線の内側への偏位によってKnee-in Toe-outが生じ、さまざまな外傷・障害のリスクとなります。
それによって膝の靭帯損傷、膝OA、腰痛が引き起こされます。
さらには肩の障害につながるケースも。
また患側への回旋動作(足部内転)の制限によって腰椎での回旋が過剰に生じてしまい、分離症を発症してしまうケースもあります。
こういったことからも足関節捻挫後の後遺症を残さないようにすることが非常に重要になります。
しかし、足関節捻挫の処方がでなければどうしようもない…という現実もあります。
そういった状況でも足関節捻挫・足関節不安定性に適切な対応ができるようになるために、この『足関節捻挫後に対する治療戦略』を書いています。
本noteでは
✅病態
✅評価
✅アプローチ
✅競技復帰までの流れ
について、重症度毎にまとめていきます。
「足関節捻挫」の症例だけでなく、足関節の機能障害を呈している症例にも活用いただける内容にしていきます。
ぜひ日頃の臨床の参考にしてみてください!
本ノートの内容についてご不明な点や疑問・質問などがありましたら、私のTwitterにDMをいただけるとすべてお応えいたします。
では、早速本編に入っていきたいと思います!
の前に…
足関節捻挫に対する治療を考える上で、足関節捻挫の病態について理解しておく必要があります。
そう考えると足関節の機能解剖や運動学も…
復習がてら見ていきましょう!
ということで目次は次のようになります!
1〜4までは調べたら分かる内容ですので、無料公開しています。
とくに機能解剖や運動学について十分な理解のある方は4以降から読み始めることをオススメします。
1:足部・足関節の機能解剖
基本的な機能解剖として骨・関節・靭帯・筋・神経・動静脈・その他について解説していきます。
1−1:骨
骨については、それぞれの部位名だけでなく、筋や靭帯の付着部を視覚的に覚えておくことが大切です。
この部分をしっかりイメージできるかどうかで臨床スキルが大きく変わってきますので、面倒臭がらずに覚えていきましょう!
・脛骨
部位名:骨幹部・内果・内果下端・腓骨切痕
筋:
靭帯:
・腓骨
部位名:
筋:
靭帯:
・距骨
部位名:
筋:
靭帯:
・踵骨
部位名:
筋:
靭帯:
・舟状骨
部位名:
筋:
靭帯:
・立方骨
部位名:
筋:
靭帯:
・楔状骨(内側・中間・外側)
部位名:
筋:
靭帯:
・中足骨
部位名:
筋:
靭帯:
・趾骨
部位名:
筋:
靭帯:
1−2:関節
関節については、関節面の形状やその関節を支持する靭帯を確認していきましょう!
・近位脛腓関節
靭帯:
・遠位脛腓関節
靭帯:
・前下脛腓靭帯
靭帯:
・距腿関節
靭帯:
・距骨下関節
靭帯:
・距踵舟関節
靭帯:
・踵立方関節
靭帯:
・楔舟関節
靭帯:
・足根中足関節
靭帯:
・中足趾節関節
靭帯:
1−3:靭帯
足関節捻挫や足部機能において重要な靭帯について確認していきます。
・前距腓靭帯
・踵腓靱帯
・後距腓靭帯
・三角靱帯
・二分靱帯(Y靭帯)
・底側踵舟靱帯(スプリング靭帯)
1−4:筋
外在筋と内在筋とに分けて確認していきます。
【外在筋】
・前脛骨筋
起始:
停止:
神経支配:
髄節:
作用:
・長母趾伸筋
起始:
停止:
神経支配:
髄節:
作用:
・長趾伸筋
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停止:
神経支配:
髄節:
作用:
・第3腓骨筋
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停止:
神経支配:
髄節:
作用:
・長短腓骨筋
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停止:
神経支配:
髄節:
作用:
・後脛骨筋
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停止:
神経支配:
髄節:
作用:
・腓腹筋
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停止:
神経支配:
髄節:
作用:
・ヒラメ筋
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停止:
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髄節:
作用:
・長母趾屈筋
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停止:
神経支配:
髄節:
作用:
・長趾屈筋
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神経支配:
髄節:
作用:
・足底筋
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停止:
神経支配:
髄節:
作用:
【内在筋】
・短趾伸筋
起始:
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髄節:
作用:
・母指外転筋
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停止:
神経支配:
髄節:
作用:
・短母趾屈筋
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神経支配:
髄節:
作用:
・母指内転筋
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髄節:
作用:
・足底方形筋
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作用:
・短指屈筋
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停止:
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作用:
・小趾外転筋
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作用:
・短小指屈筋
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髄節:
作用:
・虫様筋
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作用:
・背側骨間筋
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停止:
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作用:
・底側骨間筋
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停止:
神経支配:
髄節:
作用:
1−5:神経
捻挫後に神経症状を呈する症例も少なからずいますので、足部・足関節の神経についても確認していきます。
1−6:動脈
動脈についてはMCR(マイクロカレント)を当てる際に走行を把握しておくことが大切です。
主要な靭帯に栄養を送る動脈について確認していきます。
1−7:その他
その他の足部・足関節の機能に関わる組織として、支帯や脂肪体などについて確認していきます。
2:足部・足関節の運動学
この章では運動学について確認していきます。
足関節、足部、足部・足関節に分けて確認していきましょう。
2−1:足関節の運動学
・足関節背屈
・足関節底屈
・足部内転
・足部外転
2−2:足部の運動学
・後足部回内
・後足部回外
・足根間関節・足根中足関節(矢状面)
・内側列
・外側列
・中足趾節関節
2−3:足部・足関節の運動学
・内がえし
・外がえし
3:足関節捻挫の基礎
3−1:足関節捻挫の概要
捻挫とは
生理的な可動運動範囲を超えるような外力が加わることにより関節構成体に損傷が生じ、外力消失後に関節の解剖学的な位置関係が正常に戻った状態
をいいます。
本来の捻挫とは、骨折や腱断裂を含まず、主なる損傷は関節包や靭帯、皮下組織などであり、靭帯の完全断裂は含まず「狭義の捻挫」と言えます。
一般的な捻挫と言えば、靭帯の断裂を含めてよぶことが多いため「広義の捻挫」となります。
足関節捻挫は、その受傷した際の肢位により内反捻挫と外反捻挫とに区別されます。
【内反】
足底の内側縁を挙上するような動きで
足関節底屈、後足部回外、前足部内転の複合運動
【外反】
足底の外側縁を挙上し外方に向ける動きで
足関節背屈、後足部回内、前足部外転の複合運動
1991年のスポーツ安全協会の報告によると、
全傷害発生277,376例中、手指部21.2%、足関節14.1%、膝部10.7%の順で多く、足関節部傷害39,060例中、捻挫は80.4%を占め、骨折8.4%の約10倍
となっています。
スポーツ種目別傷害部位の頻度をみると、
足関節捻挫は、バレーボール、バドミントン、バスケットボール、テニスなどの種目で1位を占めており、その他、多くの種目でも3位以内
となっています。
3−2:内反捻挫と外反捻挫
【内反捻挫】
足関節捻挫では内反捻挫が多くみられ、ATFL、CFL、PTFLの損傷が引き起こされます。
とくにATFLの損傷が多いのですが、ATFLは関節包靭帯であるため、ATFLが損傷した場合には後足部外側縁に皮下出血などがみられることも多いです。
純粋な足関節内反捻挫だとしても、ATFLやCFL、PTFL以外の靭帯損傷や軟部組織の損傷を合併していることが多いので、細かく評価していくことが大切です!
【外反捻挫】
外反捻挫の発生率は10%程度と低いとされていますが、受傷すると靭帯だけでなく、骨傷を合併することが多いとされています。
さらに外反捻挫で損傷されやすい三角靭帯は荷重がかかる際に伸張されるため、治癒に時間がかかります。
※内反捻挫の発生頻度が高い理由
①外果に比べて内果の位置が高く、内反にたいする制動性が低い
②足関節底背屈軸の影響で、底屈時に足部が内がえし方向へ誘導され、底屈時にはLoose Packed Positionとなる
③内反可動域の方が大きい
④内側の靭帯に比べて、外側の靭帯が脆弱である
⑤足関節の外反に関与する筋がPL・PBだけであり、内反の制動力が少ない
3−3:足関節内反捻挫の病態
底屈・内がえしを受傷機転として発生します。
外側靭帯は、ATFL・CFL・PTFLの3つから構成され、底屈位にてATFLが背屈位にてCFLが最も伸張されます。
このため、底屈・内がえし時にはATFLが最も多く損傷され、背屈・内がえし時にはCFLが損傷されます。
臨床的にはCFLが単独で損傷されることは稀で、底屈・内がえし時にATFL損傷に合併して損傷されます。
足関節が底屈・内がえしを強制されると、関節包および靭帯に損傷する神経終末からの入力により腓骨筋群が収縮し制動効果を発揮します。
その制動効果を超える底屈・内がえしが強制されることで内反捻挫が発生することになります。
内反捻挫では、損傷の程度による重症度分類(grade分類:下表)などを治療法の選択の参考にしていきます。
(Frey,C.:Ankle sprains.Instr.Course Lect.50:515-520,Review 2001)
3−4:三角靭帯(Del)損傷の病態
三角靭帯は、足関節の靭帯のなかで最も大きく強靭な靭帯とされています。
この靭帯は外がえしや外転が強制された際に損傷されます。
三角靭帯が単独で損傷されるケースは稀で、多くは外果骨折やAITFLの損傷を伴います。
X-pでは小さな骨片や剥離骨片が認められることも多いとされています。
三角靭帯は荷重の度に伸張ストレスが加わる部分ですので、ATFやCFなどの外側の靭帯と比べると適切に管理しておかないと予後不良になることがあります。
3−5:前下脛腓靭帯(AITFL)損傷の病態
遠位脛腓関節の固定性については
前下脛腓靭帯が36%
後下脛腓靭帯が42%
下腿骨間膜が22%
を担うとされています。
足関節背屈に伴い、腓骨遠位は外側に1.5mm、長軸に対し2.5°外旋します。
つまり足関節背屈が過度に強制されるとAITFに伸張ストレスが生じ、損傷してしまいます。
AITFLの損傷では足関節果部骨折に合併しやすく、単独損傷は少ないとされています。
受傷機転としては、スポーツ動作中のピボット動作やカッティング動作で受傷することが多いです。
AITFLも歩行時の背屈運動によって伸張(離開)ストレスが加わるため、治癒には時間を要することが多くなります。
3−6:距骨下靭帯損傷の病態
距骨下関節を固定する靭帯として、骨間距踵靭帯、距骨頚靭帯、外側距踵靭帯があり、臨床上は骨間距踵靭帯損傷が最も重要とされています。
骨間距踵靭帯(下図)は足根洞の深部に存在し、多くは内がえし損傷による外側靭帯損傷に合併します。
踵腓靭帯損傷が認められる場合は、距骨下関節(ST関節)の不安定性を引き起こします。
3−7:二分靱帯損傷の病態
二分靭帯損傷は、足関節捻挫で足関節回外と同時に足部の内がえし、内転が強いときに発生します。
足関節捻挫の既往をもつ患者の約40%に二分靭帯損傷があるとも報告されており、実際の発生頻度は予想以上に高いと考えられます。
日常の診療では部位が近いことからもATFLとの鑑別が重要であり、見逃されていることも多いとされています。
3−8:各種骨折・骨傷
足関節捻挫の合併損傷として「骨折」があります。
【骨折の好発部位】
・腓骨骨幹部
・外果
・外果下端
・脛骨骨幹部
・内果
・内果下端
また足関節捻挫によって、脛骨天蓋部分や距骨関節面に骨挫傷やOCD(離断性骨軟骨炎)が起こるケースもあります。
骨折や骨傷の有無の判断はX-pなどの画像所見が必要ですが、受傷直後の著明な荷重時痛の有無や叩打痛の有無も参考になります。
詳細については後述していきますね!
4:足関節捻挫の診断と治療
足関節捻挫の診断と治療の基本的な部分を確認していきます。
4−1:新鮮足関節外側靭帯損傷の診断と治療
4−2:陳旧性足関節外側靭帯損傷の診断と治療
4−3:遠位脛腓靭帯損傷の診断と治療
4−4:三角靭帯損傷の診断と治療
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※ここから本編!←やっとw
これまでの内容は基本的に調べたら出てくる内容ですので、無料で公開しています。
本編では実際の医療現場やスポーツ現場での治療戦略について解説していきます。
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