週末レビュー(2021年2月14日)
祝日が挟まって特段進捗のない一週間だった。
週の出来事と雑感
頭の中でやらないといけないと思っていることを整理し、物事を進められてると感じていても、こうやって一週間単位で振り返るとほとんど目に見えた進捗がなくてびっくりする。客観的に成果を図るようにしないと、検討の深度と組織内部の相対的スピード感で自己満足に陥ってしまいがちだ。客観的に見たマーケットへのインパクトとそれを実現するためのスピードに執着して働かないといけないな。また小さく、自己満足に近い形で働いてしまっていた、反省。
正しい方向に、正しいスピードで進んでいるかというのは物事の渦中にいると、見えているようで全く見えていないことが多いので、週の初め、週の半ばで組織運営や日次の意思決定とは離れて思考を切り離してチェックをしないといけないな。1-2時間くらい早起きしてオフィスじゃないところで集中して整理をする癖を日曜日と水曜日につけようと思う。
それと先週から本業とは別にジムの経営のお手伝いを始めた。経営者、スタッフ共に良い人たち揃いなんだけど、いわゆる経営がガタガタになっていて、
数字ではなく、声の大きい人の意見に基づいた意思決定システム
成果単位ではなく、担当業務ごとの局所最適した担当分けの組織設計
トップダウンの目標設定はなく、ボトムアップで実績ありきの数値目標設定
実力主義ではなく、温情ありきで能力のない人間にも権限を付与
指示・フォロー/責任権限の委譲ではなく、あいまいな指示と責任の追及
とお手本のような機能不全に陥った組織になっていた。よしみでの取り組みとはいえ、骨が折れる。
こういった危機の局面は、傍から見ると、組織の機能不全は自明で、組織に切迫した危機感がなく、縦割りで「誰かがどうにかしてくれるだろう」といったどこか他力本願の大多数のスタッフがいることに違和感しか覚えないのだけど、内部からすると、いわゆる「ゆでガエル状態」になっていて、時間をかけて悪化してきたために、大半の人間は違和感すら覚えず、危機感を持って改善に取り組んできた人間は諦めているか、現実を直視できない経営者に更迭されたか、それを見て、組織を立ち去っている状態になってしまっている。数年前に万能感を持って”経営ごっこ”をした自分が作ってしまったダメな組織を思い出した。あの最悪の状態を立て直すのに二年かかったけど、その経験を活かして今回はもう少しうまくやれるだろう。
改革は、まず小さな成功体験を積み、核になる人間をコミットさせ、他大半の全面改革への機運を上げ、人員補充と資金の調達をしながら、半年以内の時間軸で一気呵成にやり遂げないと、さらに変化に硬直した組織になってしまうので、
まずはキーマンになる人間を現行の組織から発見し、マネジメントに引き上げること
現行の経営者に膿を洗いざらい認識してもらい、Do’s・Dont'sを明確にすること
Howが分からないメンバーについては指示・フォローを徹底して行い、成果を出すまでやり切るというスタンダートを作り上げること
を早急に行い、その間で事業計画を再考することにする。しかし、書きながら思うけど本当に骨が折れる。
読んだ本・見たもの
宇佐美りん、『推し、燃ゆ』
僕は努力至上主義的・能力至上主義的な思想を持っているところがあって、何かを信仰する人や、進歩のためには努力や変化を嫌う人を無意識的に嫌うところがあったのだけど、それはたまたま自分が身体的に恵まれていたからであって、他の人に強要するのは改めて間違っているなと。生来的に人はそれぞれ異なるし、何かを信仰することで生きる活力を得る人も、今の現状の自分の範囲内で一生懸命生きることも何も悪いことではなく、それを悪しとしているのは、そう思っている自分自身の意識だなーと、もう少し寛容な人間になりたい。
小山田浩子、『穴』
都会で生活をし、大きな会社を軸に生活していると、多様性に接する機会が少なく、動物としての感覚はなるべく抑え、理性的であるために不必要の情報は切り捨てるということがいつの間にか普通のことになってしまうのだろうけど、その当たり前がいかに不自然で奇妙かを”穴”と”奇妙な動物”というものを切り口に強烈に描き出していて、一気に読み上げてしまった。ドストエフスキーやガルシアマルケスの文体のように、視覚情報を巧妙に文字情報に落とし込んでいて、現実よりも現実感が強く、それでいて現実とは少し違う「世にも奇妙な物語」のような感覚を得られる本だった。
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