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団体を立ち上げました ②

0. TAADについて


差別に反対し行動すること。社会で実際に起きている問題を知り、解決に向けた行動をする、そのきっかけを作ろうと、今年1月に立ち上げた学生団体です。

わたしの考える 「差別」 とは、人を 「その人」 として見ず、勝手にひとくくりにして決めつけること、多数の人が特定の人を根拠もなく理不尽に傷つけること、そしてそれが当たり前に行われることです。

わたしが特に伝えたい、なくしたいと思っているのは、「名前のついていない差別」 です。人種、民族、宗教、性、居住地、… の他にも、まだ多くの人に認知されていない、問題視すらされていない差別・偏見で苦しむ人がいます。広くて曖昧ですが、わたしはここにアプローチしていきたいと考えています。(後ほどまた書きます)

当団体では、構成員二人が別々で執筆をしているため、同じテーマの記事が2つ上がっています。これについても後述します。


1. 自己紹介


まえださきです。20歳です。
大学では法律を学んでいます。趣味はラジオとお笑いと短歌です。

入学してすぐ、自粛の只中で通学時 (月一ほど) のみ外出していたとき、大学帰りに安田菜津紀さんの写真展に伺いました。当時の高揚感を、今も鮮明に覚えています。

わたしは中学のときから法曹志望で、裁判傍聴の課題や国語の授業がきっかけで 「大学生になったら社会問題に関して何かしたい」 と漠然と思っていました。そしてこの展示を拝見して、わたしがやりたいのはこれだ、と強く思いました。

ニュースでは数字にされ、日々消費されていく、苦しんでいる当事者に寄り添い、「生」 に焦点をあてる。「インターネット上では簡単に流されてしまうけれど、こうして1枚1枚立ち止まって、向き合う時間を作る」 ということ。この展示は、わたしを芯から揺さぶり、行動を起こす力を与えてくれました。

当時は何も知らなくて、ただ自分も安田さんのように優しくて強くてあたたかい人になりたいと思って、SNSのフォロー欄や過去の記事を漁り、関係のある団体、自分も参加できそうな取り組みを片っ端から調べました。


(1) BOND〜外国人労働者・難民とともに歩む会〜


調べていくうちに、BONDに出会いました。今もここで活動しています。

ただ差別は良くないとか当事者が可哀想とか、そういう表面的なところではなく、本当に当事者が救われることを目指す。当事者の置かれている状況から出発して、「送還一本やり方針の撤回」 「帰国できない切実な事情を抱えた当事者に在留資格を付与」 「国際基準の難民認定」 を掲げ、具体的に事実を摘示しながら入管・国側と闘っていく。無闇に批判するのではなく、現実に即しているから、筋が通っているからこそ、入管からしても脅威になりうる。 

感情人間で、集団行動が苦手なわたしが、「連帯」 する心強さを知り、意味のある行動を継続できているのは、BONDメンバーが身をもって丁寧にこの道筋を示してくれたからです。

最近は情勢に合わせて抗議行動を集中して行っています。こちら、先日2/23に行われたデモの様子です。

マイクを通さずにありったけの声を出して、走り回って、抗議の姿勢を身をもって示しました。

400人ほどの人と連帯をするのは心強く、熱気に圧倒されましたが、これで終わっては意味がありません。デモは手段で、目的は当事者の救済です。入管法の改悪は緊急で止めなければいけない、でも、当事者が日本で安心して暮らせるまで、社会が変わるまで、私たちは声を上げつづけます。


入管法って?改悪って?と思った方は、こちらをご覧ください。
私たちの生きる社会では、人として生きることを認められない人がいるんです。「外国人」 だけの問題では決してありません。黙っていれば、肯定(加害)しているのと同じです。
今も、いつ死んでもおかしくないような、厳しい状況で生きている当事者がいます。どうか、私たちと一緒に、抗議の声をあげてください。



以下、ともに闘っている、尊敬するメンバーと受けた取材記事を添付します。


わたしが執筆を担当した文章です。
とくに最初の一文は、別の本で読んでずっと心に残っていたことです。わたしの問題意識が端的にまとまっているので、ぜひご覧ください。(この本そのものも)

そしてこれは、ちょうど1年前に書いた、同じ企画です。
気持ちベースで書いています。こうした率直な感情が原動力になることは間違いないのですが、主観ではなく 「当事者の置かれている状況」 という客観から出発することの大切さを、行動を通じて学びました。

BONDで学んだ最も大きなことのひとつに、「学生・市民の声には社会を変えていく力がある」 という考えがあります。入管を、社会を、変えられるのはわたしたちなのです。


(2) 個人


昨年一年試してみて、やり方を変えよう、と思った企画があります。「すべての中学校で、裁判を傍聴する機会を設けてください」 というオンライン署名です。

このイベントに最後まで参加し、やり方を教わりながら始めたものです。


反省は多いのですが、初めてひとりで行動をしたことで、前よりも見える世界が広がりました。以下、取り上げていただいた記事を添えます。

「提出をする」 のが目標だったのに、2000人以上の方に署名をしていただいたのに、それに至らなかったのは不甲斐ないのですが、思いを広く伝えたいという当初の目標を達成したことは自信につながりました。形を変えても続けていくことを心に決めています。


2. 団体を立ち上げた経緯


わたしが大学でボランティア関連の企画を立ち上げられる機関に所属していたので、BONDで学んだことを活かして、イベントを開催して、自分の通う大学の学生にも問題を知ってほしい、一緒に行動するきっかけの場を設けたいと思い、12月に講演会を企画しました。詳細は以下にまとめていただいています。

何かを成し遂げるときに自分主導で動くのが初めてで、思い通りにできない(ならない)こと、助けていただいたことばかりでした。それでも、大学側が 「前例がない」 といって開催にすら難色を示していた、入管問題についての企画を一から考え、100名以上の申し込みを集め、内容的にも成功させたことは、参加者にとっても社会全体からしても本当に意味があることだったと思います。

この講演会を提案したとき、真っ先に話しかけてくれたのが、今回一緒に団体を立ち上げた彼でした。彼と語り合い、講演会では二人で(学生視点での、差別や問題への向き合い方、行動の仕方について)トークセッションを行いました。

準備段階で、このイベントだけで終わらせたくないと思いました。彼とは、根底に流れているものが共通している、そして彼は自分にないものを持っている、と感じたからです。

感じてきたこと、やりたいことが違うから、アプローチの仕方も考えていることも違います。2人とも自分のやりたいことが明確にあって、相手を尊敬はしているけれど、分かり合えているわけではない。

ただ、そういう違った2人がいっしょにやることで、おたがいに見えていなかったものが見えるようになるのではないか、幅や視点が広がるのではないか、とわたしは思っています。

「私が代表でもついてこないだろう」 「自分から好きなように動きたいよね」 と思って(そこに善悪はない)代表を任せましたが、私は彼の言いなりになって動くつもりはありません。肩書きは(おたがい)モチベーション用で、関係性は対等です(そして、そうあるべき)。

「大学のうちだけ」 やって、その後は社会にのまれて、抑圧する側として生きていくのも、抑圧されつづけるのも、嫌だった。わたしは一生をかけて、何か意味のあることをしたいのです。


3. 実現したいこと


冒頭に述べた 「名前のついていない差別」 を、そして社会で 「存在しないもの」 とされてしまう苦しみを、そういう声なき声を拾い上げ、広く伝えて、ひとりひとりが生きたいように生きられる社会を作りたいです。

どんなときも抑圧される側に立ちたい、弱い立場にある人に寄り添いたいと思うようになったのは、自分も苦しんできた経験(大事なことなのにまだ言語化できない、言語化できたらここまで苦しんでいない)があったからです。

今のわたしの夢は、「刑務所で詩の教室をひらく」 ことです。寮美千子さんのご著書に模試で出会ってから、ずっと変わらず思っています。

そして小目標は、この団体としても個人としても、活動や企画を続けていくことです。大きな企画をたくさんできなくても、読書会や勉強会をしたり、その蓄積で展示空間を作ったりしたいです。


4. さいごに


苦しいことから逃げずに、目標を見失わないように、自分のやりたいこと、やるべきことに取り組んでいきます。

お読みくださり、ありがとうございました。


執筆担当:さき


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