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プロダクトのKPI 継続率(Retention Rate、Return Rate)について考える

こんにちわ。今回はプロダクトとそのKPIについて考えていきたいと思います。
様々なプロダクトがあると思いますが、今回は、継続率、が大きく影響するプロダクトについて考えていきたいと思います。


プロダクトの種類

プロダクトの種類について考えていきたいと思います。
一緒に分類していってみましょう。
以下のようなものが考えられるでしょうか。

  • メディア

  • SNS

  • EC(BtoC、CtoC)

  • ゲーム

  • コンテンツ配信

  • ソフトウェア・ツール

  • 交通や移動

  • 宿泊・予約

  • 飲食・飲料・テイクアウト

  • 学習・教育

  • ヘルスケア・ウェルネス

AppleやGoogleのストアのカテゴリーを見るともう少し細かくなっており、スポーツ、ビジネス、ファイナンス、漫画、音楽などあるようですが、今回は細かくすることが目的でないため、一旦上記のような分類にしてみます。

KGIとKPIについて

次にKPIとKGIを整理してみましょう。
了解しました。各サービスについてのKGI、KPIおよびそれらの関係性を以下に示します。

メディア

  • KGI: 収益性の高い広告ビジネスモデルの構築

  • KPI: 月間アクティブユーザー数(MAU)、セッション時間、クリックスルー率(CTR)

  • 関係性: KGI = (MAU × セッション時間 × CTR)の最適化


SNS

  • KGI: 収益性の高いユーザーベースの拡大

  • KPI: デイリーアクティブユーザー(DAU)、エンゲージメント率、広告収入

  • 関係性: KGI = (DAU × エンゲージメント率 × 広告収入)の成長


EC(BtoC、CtoC)

  • KGI: 高い収益を生むECプラットフォームの確立

  • KPI: 転換率、平均注文価値(AOV)、リピート購入率

  • 関係性: KGI = (訪問者数 × 転換率 × AOV × リピート購入率)の最大化


ゲーム

  • KGI: 収益を最大化するゲームの提供

  • KPI: デイリーアクティブユーザー(DAU)、リテンション率、アプリ内課金収入

  • 関係性: KGI = (DAU × リテンション率 × アプリ内課金収入)の増加


コンテンツ配信

  • KGI: 収益性の高いサブスクリプションサービスの展開

  • KPI: 月間アクティブユーザー数(MAU)、再生回数、平均視聴時間

  • 関係性: KGI = (サブスクリプション数 × MAU × 再生回数 × 平均視聴時間)の最適化


ソフトウェア・ツール

  • KGI: 高収益のソフトウェア製品とサービスの販売

  • KPI: アクティブ利用率、年間収益成長率(ARR)、継続利用率(Churn Rate)

  • 関係性: KGI = (利用者数 × アクティブ利用率 × ARR) - (利用者数 × Churn Rate)


交通や移動

  • KGI: 利益率の高い交通サービスの提供

  • KPI: 予約数、運行効率、顧客満足度

  • 関係性: KGI = (予約数 × 運行効率 × 顧客満足度)の結合効果による利益率の向上


宿泊・予約

  • KGI: 高収益を維持する宿泊施設の運営

  • KPI: 平均宿泊日数、オキュパンシーレート、宿泊ごとの収益

  • 関係性: KGI = (オキュパンシーレート × 宿泊ごとの収益 × 平均宿泊日数)の増加


飲食・飲料・テイクアウト

  • KGI: 高い収益マージンを持つ飲食サービスの展開

  • KPI: 注文回数、顧客あたり収益、顧客満足度

  • 関係性: KGI = (注文回数 × 顧客あたり収益)の増加と顧客満足度の維持


学習・教育

  • KGI: 教育サービスを通じた収益の最大化

  • KPI: コース完了率、試験合格率、新規登録者数

  • 関係性: KGI = (登録者数 × コース完了率 × 試験合格率)の最大化


ヘルスケア・ウェルネス

  • KGI: 収益性と患者ケアの両立

  • KPI: 患者満足度、予約率、サービス利用の周波数

  • 関係性: KGI = (予約数 × サービス利用の周波数)の最大化と患者満足度の向上

各サービスで重要なKPIは異なると思います。今回は、この中でも継続率について考えていきたいと思います。

継続率(Retention Rate、Return Rate)の集計

継続率は、アプリをどれだけ続けたかを示す値で、ToCのアプリケーションでは非常に重要視される指標です。

RRは主に以下のような日付単位で計測されることが多いと思います。
1day、3day、7day、14day、30day、60day、以降は30日毎に集計。

継続率は以下のようにインストール(開始日)を0日として集計することが一般的です。あまり聞いたのとがないですが、1dayをインストール日とする企業もあるかとは思いますが、どちらでも良いですが、基本的な考え方は、開始日から何日後に何人が残っているかを計測していきます。

  • インストール日:0日

  • 翌日     :1day

  • 翌々日    :2day

  • 3日後      :3day

  • 以下同様


3月31日に1000人が利用開始
4月30日に300人がアクセス
上記の場合は30DayのRRは、300/1000=30%となります。

また、4月30日に同様に1000人が利用を開始
30日後の5月1日280人がアクセスした場合は、
30DayのRRは、280/1000=28%となります。

表で表すと以下のような形です。

Retention Rateのイメージ

縦軸に登録日、横軸に日付を取ると上記の表のように登録日毎にRRを計算します。
1Dayや3DayなどDay毎に色を付けると以下のようになります。

Retention Rateの色付け表

上記の通りなので、
1DayのRRの平均は、同じ色のセルの平均となります。
ただし、全期間で平均してしまうと、環境の差や施策のあり、なしで変わってしまうため、通常は上記の状態を以下のようなグラフにしてKPI管理することが多いかと思います。

上記の表をグラフにすると以下のような形になります。
ただし、以下のような形で登録日毎のRRを見ることができます。
登録した日毎に先グラフにして表現しています。
3月31日に登録した人は経過日毎にアクセス人数減るため、%が落ちていくグラフになっています。

日毎のRRの集計表

次にRRをDay毎に整理した表が以下ですが、RRが出しやすいですね。

RRのDay集計イメージ

上記の表のRRの各日付(1Day、3Dayなど)を平均してグラフにすると以下のような形となります。

RRのグラフ

継続率の目安

継続率の良し悪しについては、アプリケーションによって異なりますが、Statistaのレポートでは以下の通りです。

Retention rate on day 30 of mobile app installs worldwide in 3rd quarter 2022, by category

なかなかシビヤですね。あなたの作ったアプリが上記の数値を同じようなRRであればあまりアプリケーションが良い状態とは言えないでしょう。
ただし、日々の継続率ですので、後ほど書きますが、月間で測った方が良いビジネスモデルもあります。

30日のRRの目安です。

  • 50%以上:非常に良い(非常によく、利用率としてはトップアプリ)

  • 30%以上:とても良い(アプストア50以内などトップアプリ)

  • 20%以上:良い(20%以上あれば通常はかなり良いです。)

  • 10%以上 :普通(ただし、ビジネスとしては難しい)

  • 5%以上. :よくない

  • 5%以下  :悪い

  • 3%以下  :非常に悪い

以下はLocalyticsの2017年と少し古いデータですが、14日のRRが 12.1%です。
アプリの平均ですので、上記に書いた事例と併せてに参考としてください。
平均ですので下回るようでしたら、改善が必要だと思われます。

Day User Retention Average for All Apps

月毎の継続率

継続率について記載しましたが、これまで説明してきたものはDailyの継続率です。
ビジネスによっては、月毎で集計した方が良いものもあります。

以下は、Localyticsが集計している月間のRRの3ヶ月の各アプリの平均です。
定義は、その月に1度でもアクセスしているということになりますので、DaliyのRRの定義よりもかなり緩いです。

Three Month User Retention & Churn Average for All Apps

ビジネスによっては、Dailyではなく、Monthly(月)での計算になるものもあると思います。
Dailyで使うアプリ、メッセージングアプリ、ソーシャルメディア、ニュース、音楽ストリーミング、学習、ゲームなどはデイリーのRRで計測した方が良いでしょう。
一方で、旅行アプリ、ECやチケット購入、デリバリー、医療系アプリなどは必ずしもデイリーで使うものはないと思います。Weekly(ウィークリー)やMonthly(マンスリー)での継続率を確認していく方が良いでしょう。
MonthlyのQで3ヶ月目で30%あるとまずまず平均的といったところでしょう。


継続率を上げるために

ここまで色々みてきましたが、継続率を上げるにはどうしたら良いでしょう。

継続率を上げるための3つの活動

  1. UXの悪い部分の改善

  2. 利用者の必要な価値や独自価値の提供

  3. 適切なコミュニケーションとエンゲージメント

主に上記の3つがRetention Rateを上げるために有効です。

1.UXの悪い部分の改善

私は、よくサービスをなめらかにすると表現していますが、なめらかとは違和感がなく、ストレスがなく、マイナスポイントが少ないことです。
こちらは非常に難しいですが、以下のような部分がポイントになるかと思います。

  • 表示速度が速いこと(1秒以内が良い、遅くとも2秒以内、Webサイトだと3秒以上で50%離脱)

  • 検索で不必要なものが出てこない

  • 入力がしやすく手間がかからない

  • アクセシビリティの基準に沿っている

  • インタラクションのフィードバック適切

  • エラーが少ない、分かりにくいシステムエラーが出ない

  • 導線が適切。アクセスの間に不要なポップアップなどがでない

  • パフォーマンス(過度な電池消費や端末が熱くなる、通信量量がでかいなど)

上記のような部分を一つ一つ改善して、なめらかに操作できるようになっていることが大切です。
こちらは、どうしても開発者側は品質に慣れてしまうので、定期的に他のアプリやトップティアーのアプリと比較して改善すべき部分は、愚直に改善することが求められます。

2.利用者の必要な価値や独自価値の提供

使い続けてもらうために必要なことはやはり価値でしょう。
先ほどのマイナスの改善の逆で価値を提供することです。

2種類の価値

  • ユーザーがやりたいことができること
    (課題が解決する、欲しいものが手入るなど)

  • このアプリでしかできないことができること

価値は主に上記の2つかと思います。
ユーザーがやりたいことが出来るというのは、当たり前ですが、動画アプリであれば、動画がスムーズに見れること。
独自価値は、そのアプリでしか見れない動画があったり、そのアプリでしか見れないコメント、そこでしかもらえないグッツがあるなどそのアプリやサービスの独自の価値です。
この2点を研ぎ澄ますことが継続率を上げる2つ目のポイントです。

3.適切なコミュニケーションとエンゲージメント

3つ目は適切なコミュニケーションです。
コミュニケーションで最悪なものはユーザーのことを考えないPush通知やとにかく多すぎるメルマガ、不適切・返信が遅いサポートなどです。
上記とは少し違いますが、解約しようとした時に解約できないSaasサービスなどは、最悪なUXかつ最低なユーザーとのコミュニケーションです。

利用者との適切なコミュニケーションのポイント

  • フィードバック(ユーザーの声)を上げることができて、そこへのサポート(回答)が示されること、また、その速度や頻度が適切なこと

  • サービスの方向性や改善のマイルストーンの共有、また適切な頻度での方向性やアップデートの事前告知がされること

  • コミュニティや掲示板、イベントなどの利用者と開発者を含めたコミュニケーションの場の設置・実施

終わりに

さて今回は、KPI、特にRRについて見てきました。RRについては、さまざまな企業様を支援する中でも聞かれることが多いため、一度整理してみました。
特にどの程度の値が適切か?という質問も良く受けるため、各サイトや私のこれまで運用してきたアプリケーションやサービスを参考に記載いたしました。

サービスの性質(課題解決型、市場開拓型)によっても大きく違うとは思いますが、是非利用者の本質的ニーズを捉えたサービスを作っていただければと思います。

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