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おじいちゃん走る!Kazumasa Oda Tour 2022「こんど、君と」@横浜アリーナ【アラ還の徒然ライブ記】

オフコースとの出会いは私が中学1年生のとき。
同級生の佐藤雅明君の影響で小学生で伊勢正三にはまり、そこからTULIPを聴くようになり、学校から帰って、夕方のラジオのヒットランキングを家で聴くことが日課になった。
ある日聴こえてきた、フォークソングとも違う、ロックでもない、耳に残る気になる曲。それが「眠れぬ夜」だった。

それ以来、私の青春は(うあ、恥ずかしい)オフコースとともにあった。
高校の文化祭のクラス対抗歌合戦で「YES-NO」を演って(ボーカル!)、イントロからのいきなりの転調で音程を外しまくって24クラス中20位だった思い出。
大学時代、私の下宿で同級生の細田君と「YES-YES-YES」を聴きながら、ちょっと奮発してスーパーニッカを飲み、恋バナをして一緒に涙した思い出。

そんな私ももうすぐ還暦を迎える。
小田和正(尊敬を込めて敢えて呼び捨て)は今年9月で75歳になった。
75歳って。
大変失礼だが、今見逃すと次はないかもしれない、と思わざるを得ない。

このツアーは見逃せない。
1982年の伝説の武道館ライブにも行った嫁と一緒に、
明治安田生命Presents Kazumasa Oda Tour 2022 「こんど、君と」@横浜アリーナに参戦した。

会場に到着すると、やはり、私たちと同世代の夫婦連れやご婦人のグループが多い。
それでも中には若い人たちも結構いる。いつの時代もいいものはいいのだ。

小田和正のライブは、よくあるような会場の片面にステージ、というレイアウトにはならない。
ステージから花道が大きく伸びて、会場のどこででも歌えるように、すべての観客が間近で応援できるように、空間を作る。

小田和正

そして今回も、小田は会場内を歩き回り、時には走り回ったのだった。

ステージは、8年ぶりにリリースされたアルバム「early summer 2022」からの「風を待って」で始まった。
今は戻らないから大切なんじゃなくて、今を重ねて明日へつながってゆくから。ずっと待っていた風が今吹いた。
テレビCMで耳にしたことがあると思う。

小田の曲はよく風が吹く。とても風が吹く。
オフコースという名前は、コースから外れる(off course、もちろんの「of course」ではない)という意味だ。
勝手な解釈だが、小田は今の場所に留まることが嫌なんだろう。
自由に動き回る風のように、たとえコースから外れたとしても、変わり続けていたい、ということなのだろう。

3曲目の「愛を止めないで」から「秋の気配」へと続く。
「秋の気配」は、5人編成になる前のオフコースでは一番の名曲と言ってもいいだろう。
横浜の「港が見える丘公園」から港を見下ろすと、頭の中には「あれがあなたの好きな場所」この曲が自然と流れてくる。

小田がMCを始める。むかし通った、伊勢佐木町のおいしいお店や、日ノ出町の映画館の話。でも今はもう全てない。
からの「my home town」。おっさん的には泣くしかない。
畳みかけるように「言葉にできない」でダメを押す。

「たしかなこと」「キラキラ」と、ソロになってからの名曲をそろえて、前半を終える。
「たしかなこと」をカラオケで演って、女の子を泣かせたことを思い出した(自慢)。

幕間は恒例の「ご当地紀行」だ。小田和正がライブのご当地を散歩する様子をVTRで流す企画だ。
小田だと気付いた地元のご婦人方は当然ながら握手やサインを求めて小田に迫る。それに対して小田は快く応じながらも「ばばぁ」と悪態をつく、というのが一つのお約束となっている。
会場からは笑いが起こるのだが、笑っているあなた方も「ばばぁ」なんですが・・・。

今回は地元横浜、ということで、これまでの横浜近郊の「ご当地紀行」を振り返る。三渓園にはよく通っているようで、ここのお汁粉がお気に入りなんだそうだ。

後半戦は、新しいアルバムの「so far so good」から。
そして因縁の「YES-NO」。やっぱり盛り上がる。
イントロのギターの「チャカチャーン」が印象的な「ラブストーリーは突然に」。この曲をいまだにオリジナルのキーで歌えるのは本当にすごい。

センターに移動してピアノに座る。
「生まれ来る子供たちのために」
サビの「君よ」で背筋がざわついた。
RSRでの渋谷龍太(Super Beaver)のカバーもよかったが、申し訳ないが、本物はやはり次元が違う。

「今日もどこかで」「こんど、君と」と続いて最後は「君住む街へ」。
君住む街まで飛んでゆくよ 一人と思わないで いつでも。
まだこの「こんど、君と」のツアーは続く。多くの人が小田に元気付けられることを待っている。

その後の2度のアンコールを含めて、全24曲、ほぼ2時間半のライブが終わった。
とにかく凄い、の一言に尽きる。
途中歌が途切れる場面は確かにあったが、何より、75歳であの声は信じられない。
自分も「歌って踊れるおじいちゃん」を目指しており、小田和正レベルは無理だとしても、少しでも近づきたいと思った。

小田和正はもう少し大丈夫そうかな。
今年の「クリスマスの約束」、観覧応募しなきゃ。なかなか当たらないんだよな・・・。

ライブが終了し、ちょっと遅い夕食を取るために、新横浜の繁華街に出た。
多くのお店の開け放たれた扉から、窓から、小田和正の曲が流れていた。今日の新横浜は街を挙げての小田和正DAYだ。
なんか、今、横浜に住んでいてよかった、と思った。

今度、三渓園のお汁粉を食べに行こうっと。

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