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#6 『玉子料理四天王の完全攻略法』


料理は玉子にはじまり、玉子に終わる

いつでもどこでも安価で手に入り、日もちする上、調理法によって様々な食感や味わいの変化を楽しめる玉子栄養価も高く、子どもから大人まで幅広い層に愛されています

これから料理を上手くなりたいのであれば、まずは玉子を使った料理からマスターしていくことを強くおすすめします。

玉子料理は簡単なように見えて実はとても繊細。あつかいが上手な人と下手な人とでは美味しさに雲泥の差がでてくる食材です。

今回は玉子料理の四天王とでもいうべき超定番メニュー4品をプロのコツを交えながら完全攻略できるよう詳しく解説していきたいと思います。

何度もいいますが料理のスキルを身につけるためには繰り返し実践することこそが重要です。いくら長時間テキストを眺めていても技術力は伸びません。

さまざまなタイプの玉子料理を何度も作ることによって不思議と料理全体のコツもつかめるようになってきますので、たかが玉子とあなどることなく、楽しみつつも実際に作りまくって脱初心者を目指しましょう。

① プロのゆで玉子

ゆで玉子は単に玉子をゆでるだけのはずなのにやたらと多くのレシピが出回っています。

玉子を常温に戻したり、水からゆでたり、画鋲で穴を開けてみたり…。

それぞれに理屈や作り手の考えるメリットがあるのですが初心者の方は混乱するだけですので今回は他のレシピは忘れ、まずは僕の教える方法に一点集中して覚えてください。

[プロのゆで玉子の作り方]
1. 深さのある鍋に水をはって沸かす。水は全ての玉子が完全に浸かっても、まだ水面まで余裕があるくらいの量。作る個数が多ければ水の量も増やす。

2. 冷蔵庫から玉子を出し、おしりの丸い方(殻の曲線がなだらかな方)を平らなところで軽くコツンと叩いて、ほんの少しだけ殻にヒビを入れておく。

殻が凹むほどは力の入れ過ぎ。かろうじて見える程度の細いヒビが入れば充分です(※玉子のおしり側には殻の内側に薄皮で区切られたわずかな空洞があるため、ヒビを入れたくらいで中身は出てきません)。

3. のお湯が沸いたらお酢を大さじ1杯づつ入れて軽く混ぜる(※を入れることで万一、殻の中身が出てきそうになっても素早く凝固して最小限に食い止めてくれます)。

4. 玉子をお玉にのせるなどして慎重に底に沈めていく。

5. 目的のかたさに合わせたタイマーをセットしてスタート。

【目的のかたさに合わせたゆで時間の目安】
・半熟(写真手前)  … 6分
・やわらかめ(写真左)… 8分
・普通(写真奥)   … 10分
・かたゆで(写真右) … 12分

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6. 玉子をゆでている間にボウルに冷たい水をはっておく。

7. 2分経過頃と4分経過頃に菜箸で玉子をお湯の中でやさしく転がす(※黄身をゆで玉子の中心に安定させるため)。

8. タイマーがなったら、すばやく穴あきお玉などで玉子をすくい、用意しておいた冷水のボウルにそっと移していく(※急激な温度差で玉子と殻の隙間に空間ができ、そこへ冷水が流れ込むことでむきやすくなります)。

9. 冷水の中でヒビを入れたおしりのほうから殻をむいていくとツルッとかんたんにむけます。すぐに殻をむかない場合は粗熱がとれた時点でキッチンペーパーで水気を拭き取って冷蔵庫保管しておきましょう。


② プロの目玉焼き

目玉焼きなんて割った玉子をフライパンで焼くだけ!と言ってる方はきっと良くいえば豪快悪くいえば乱雑な目玉焼きを作ってるんだろうなぁと想像してしまいます。

美しく繊細なプロの目玉焼きを作るには、ちょっとしたコツが必要です。とは言っても決して難しいわけではなく、単に知っているか知らないかだけの問題で誰にでもかんたんにできることです。

上品で透明感のある至極の目玉焼きの作り方を伝授します。

[プロの目玉焼きの作り方]
1. 手付きザル(もしくは小さなザル)とボウルを用意して上下に重ね、手付きザルの上に生玉子をしずかに割り入れる(※白身のサラサラした水分だけが下のボウルに落ち、ゼリー状の卵白と卵黄だけが手付きザルに残ります)。

2. フライパンテフロンなどのコート加工されたもの推奨)を中火にかけ、手をかざして熱を感じるくらいにまで温まったら少量のサラダ油をしき、キッチンペーパーなどで薄く塗り広げる。

3. フライパンに適量のコショウをふりかける(※玉子を入れるより先に調味料をふっておく)。

4. 手付きザルの玉子をフライパンに近い位置から静かにのせる(※黄身を壊さないように注意)。

5. 火加減を弱火にし、指で卵黄の位置を白身の中心付近に移動させて留め、ゆっくりと10秒ほど数える(※フライパンにさえ触れなければ玉子自体は全く熱くありません)。

6. 玉子の位置が安定したらフライパンをコンロから外し、絞った濡れ布巾の上にゆっくりとフライパンの底をあてて一旦温度を下げる。

7. フライパンを再びコンロの上に戻し、フタをして弱火で3分ほど焼く(※水は一切加えません)。

8. 卵白の透明だった部分が卵黄のふもとまで完全に白くなったらフタを外し、余計な水分を飛ばすためにさらに30秒ほど焼きます(※常に弱火)。

9. ターナーなどを使って皿に移せば完成。

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③ プロのスクランブルエッグ

高級リゾートホテルの朝食ビュッフェに出てくるような、ふんわりトロトロのスクランブルエッグ

家庭でマネをしようと挑戦しても、少し火加減や加熱時間を間違えただけですぐにモソモソの炒り玉子みたいになりがちです。

かといって早めに火を止めてみても生玉子の生臭さが残っていたり、食感の悪い白身が残っていたりと、なかなか理想通りの仕上がりになりません

それもそのはず。

実はホテルのシェフは一般的に知られている作り方とは根本的に違う方法でスクランブルエッグを作っているからです。

この作り方を覚えれば料理初心者でも絶対に失敗することなく一流シェフと全く同じスクランブルエッグを作ることができますよ。

[プロのスクランブルエッグの作り方]

1. 以下の材料をボウルに入れて泡立て器で均一に混ぜ合わせる。

【スクランブル玉子液の材料】 ※材料は1人前
 ・ 玉子 … 2個
 ・ 生クリーム … 大さじ2(※牛乳でも代用可)
 ・ マヨネーズ … 10g
 ・ 上白糖 … 小さじ1
 ・  … 1つまみ
 ・ バター … 10g

2. フライパンに7割くらいの高さまで水を入れ、火にかけて沸騰させる。

3. お湯が沸いたら火加減を中弱火に落とし(グラグラとしずかに沸騰を維持した状態)、フライパンのお湯の上に玉子液を入れたボウルをしずかに浮かべる(※湯煎する)。

4. しばらくは玉子液をさわらずに待ち、少し底のほうが固まってきたら、スパチュラをつかって外側から内側へやさしく返すようにして軽く混ぜ、またそのまましばらくさわらずに待つ(※あまり無駄にかきまぜない)。

5. この少し混ぜては待つを10分ほど繰り返し、好みのやわらかさになったところで火から外して皿に盛れば完成。

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④ プロの玉子焼き

玉子焼きには出汁(だし)の入った出汁巻き玉子や、しっかりした厚みがあり、こんがり焼き色のついた厚焼き玉子など様々なバリエーションがあります。

ですが今回はお弁当などにも使われることの多い、もっともオーソドックスな玉子焼きの作り方を紹介しようと思います。

こちらもプロならではのコツがありますので、すでに作り方を知っているという方も目を通して頂ければ今の玉子焼きが3倍くらい美味しくなるかもしれません。

[プロの玉子焼きの作り方]

【玉子焼きの材料】 ※材料は2人前
 ・ 玉子 … 3個
 ・ 薄口しょうゆ … 小さじ1
 ・ 水 … 大さじ1
 ・ 上白糖 … 大さじ1
 ・  … 1つまみ

1. ボウルに玉子以外の調味料を入れ、よく混ぜて溶かす(※玉子は調味料をしっかりと溶かした後に加えます)。

2. 調味料を溶かしたボウルに玉子を割り入れ、菜箸で白身を数回切るようにつかみ、泡立てないように気をつけながら全体をよく溶きほぐす。

3. 別のボウルの上に手付きザルを重ね、玉子液を流し込んで漉す。

4. 最初のボウルの上に手付きザルを重ね、漉した玉子液をもう一度、手付きザルで漉す(※計2回漉します)。

5. 玉子焼き器(エッグパン)を強火にかけ、手をかざして熱を感じるくらいにまで温まったら適量のサラダ油をしく。

6. 玉子液の1/3量を流し込んで全体に広げ、気泡が出たら菜箸でつぶす。

7. 玉子の底が固まってきたら、奥から1/3くらいまでを手前側に折りたたんで10秒ほど待つ。

8. さらに半分に折ったら、手前まできた玉子を一番奥まで押して、空いたスペースに玉子液の1/3量を流し込む(奥に移動させた玉子焼きの下にも新しい玉子液が流れ込むように少し持ちあげます)。

9. 先と同じ要領で少し固まったら奥から1/3を折りたたんで10秒待ち、手前まできたら奥まで押して、また残り1/3の玉子液を流し込んで最後まで折りたたむ。

10. 玉子焼きの両サイドも玉子焼き器の内側面に軽く押し付けて焼き固め、皿の上に広げたキッチンペーパーの上に移して全体を包む。

11. そのまま1~2時間ほど放置し、常温程度まで冷めれば完成。温かいうちは崩れやすいので必ず冷めてから切り分けます。

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⑤ 要点まとめ

・ 料理は玉子にはじまり、玉子に終わる。
・ プロのゆで玉子。
・ プロの目玉焼き。
・ プロのスクランブルエッグ。
・ プロの玉子焼き。
・ 本気で学ぶ人へ宿題『上記を各10回づつ作る』。
・ 玉子料理四天王を完全攻略しよう。

※内容にご意見ご質問等ございましたらお気軽にコメントくださいませ。

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