放課後ランプ

部室で着替えて外に出ると、薄暗くなっていた。
夕日が沈んでいき、その後を追うように月が姿を現す。
友達と一緒に帰るために部室棟の前で待ち合わせしているが、いない。
お互い違う部活だから当然か。
さっきまで部活に励む声があちこちから聞こえていたのに、今は静かだ。
無数の屋外ランプが学校の敷地内を照らす。
見た目は小さいランプだが、力強く光っている。
放課後の時間帯になると自然に明かりが灯るらしい。
地面には伸びた自分の影。
影を見ていると、父から言われた言葉を思い出す。
“人生で一度しかない学生生活だから、後悔のないように楽しく過ごせよ“
多分、父は学生生活で未練があったのだろう。
時間は巻き戻せないし、待ってくれない。
今過ごしている学生生活を大事にしようと思う。
物思いにふけていると、いつの間にか地面の影が一つ増えていた。
「悪い悪い、遅くなった」
ランプの光に照らされながら、友達と一緒に校門へ向かった。


たらはかにさんの企画に参加させていただきました。
以下の記事に詳細あります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?