感想文部

夏休み後半、誰も使っていない部室で部活が行われていた。
部員は夏子一人。
「二十人から依頼がくるなんて…」
読書好きの夏子は、宿題の読書感想文を代わりに書いてほしいと頼まれ、引き受けた。
パソコンで文字入力するので、先生に字でバレる心配がない。
「でも、今まで読んできた本の想いを語れるし…燃えてきたわ!」
夏子は生徒用のノートパソコンを開き、感想文を打ち始めた。
部室中にキーボードの入力音が響く。
「第一号出来たー!原稿用紙十枚分になったけど…いっか!送信っと」
出来上がった感想文はメールに添付し、依頼者へ送る。
「よし、次行くわよ!」
午前中だけで五人分の感想文を打ち終えた。
新しく感想文を打つにつれ、入力する速度が速くなり、枚数が増えていく。
「全部終わった…」
夏子は満足げな顔で、部室の窓からオレンジ色に変わった外を見た。
後日、依頼者全員から感想文の感想がメールで夏子の元に届いたが、全てクレームだった。


たらはかにさんの企画に参加させていただきました。
以下の記事に詳細あります。


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