顔自動販売機

自動販売機の前に、ロボット達が並んでいた。
売られている物は、数百年前に滅んだ人間達の顔。
ネットワークに残っていたデータを元に作られたらしい。
ロボット達は皆同じ顔をしていたので、何種類もある人間の顔を見て興味が沸いたのだ。
自動販売機にお金を入れてから、なりたい顔を選択し、自動販売機の穴に顔を突っ込む。
数分後、穴から顔を出すと、人間の顔に変わっていた。
人間の顔になったロボット達は、足をピョンピョンさせながら喜ぶ。
顔に個性が出来たことによる喜びだろう。
私は顔だけでは満足いかず、人間の身体を何度も試行錯誤して完成させた。
今こうして町を歩いているのだが、他のロボット達に見られている。
私の人間の身体を狙っているのだろう。
早く逃げなければ危ない。
だが、この身体での走り方を知らない。
ロボット達がこっちに向かって走ってくる。
個性を求めた結果がこれか。
私達は、個性を持っている人間に憧れているようだ。


たらはかにさんの企画に参加させていただきました。
以下の記事に詳細あります。


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